派閥(明治偏) 74 皆がこの戦争で近代戦の恐ろしさを知ったのです、日清戦争では約12000人の戦死者がでたのですが日露戦争では10万人の戦死者が出る事になったのです、中国から続々


派閥(明治偏) 74


皆がこの戦争で近代戦の恐ろしさを知ったのです、日清戦争では約12000人の戦死者がでたのですが日露戦争では10万人の戦死者が出る事になったのです、中国から続々軍隊が帰還し日本、

全国に凱旋ムードが広がり、ちょうちん行列の波で沸き返ったのです、これにより自他ともに日本は世界の列強の一員となったのです、しかしこれがさらなる災いを生む事となり、この後、

世界は、


大国同士の大きな戦いとなり戦争による破壊で世界が焦土となってしまうのです、日本の軍部はやっと勝った事を忘れ、さらなる軍備拡張路線を歩み、軍国主義へと進んで行く事になるです、

ユキが私もこの時代に来たわけが分かりましたと言うので、どういう事と聞くと、佐世保の海軍病院に高野五十六少尉が瀕死の重傷で担ぎこまれたの、高野といえば後の山本五十六だと言う、

と、


そうその山本五十六よ左指損傷と左腕と左大腿部に砲弾の破片が入っており、一時は左手切断をしなければならない状態だったんだけれど、吟子さんの外科手術が上手く行き左指損傷だけで、

済んだのよ、今は大分回復して後一月もあれば退院できるそうよと言うので、そうか、そこで山本が死ねば未来が大きく変るわけだ、それでユキをこの世界に送り込み、吟子さんとともに、

佐世保に行くようにしたのかと言うと、


きっとそうだと思うわとユキがいい、もう少しで敗血症をおこし危ないところだったわと吟子が言ったのです、でもみんなが大活躍だったのよとユキがいうと、兵隊さんがありがとう、あり、

がとうと何回も言って涙をながすのよ、看護に来てよかったと何回も思いましたと春が言ったのです、うめがユキ様と吟子先生のテキパキとした指示はさながら戦場での指揮官みたいで、

とても格好良かったですよと笑ったのです、


翌日から臨時国会が開催され、小村寿太郎が辞任した為真一が外務省欧米局次長としてポーッマス会談の経過について答弁する事になったのです、野党議員の賠償金を一円も取らず調印した、

のは国民にたいする裏切りだとして、現内閣は総辞職するべきだと追及したのです、伊藤がこれ以上の戦争継続は不可能でこの条件で合意するしかなかったと答弁すると、わが方の満州軍は、

無傷である、


一気にロシア領に攻め込み、ウラジオスシック以下相当のロシア領を占拠できたのではないかと質問するので、陸軍大臣が答弁に立ち、あの時点では弾薬、糧秣がほとんどなく侵攻は不可能、

であったと答弁すると、それではなぜ外務大臣は辞職したのかと聞くので、真一が答弁に立ち、ああしなければ国民に理解を得られないからである、貴方は日露戦争の時どうしていたのです、

かと聞くと、


銃後の守りを固めていたのだと言うので、お茶屋で芸者と銃後の守りを固めていたのでしょう、そんなやからにとやかく言われる覚えはない、戦場に立ち敵の機関銃におおくの兵隊がなぎ、

倒されていくのを見た事があるのか、死ぬと分かっていても勇猛に突撃して行った者達は、ロシアの金が欲しくて死んだのではない、自分のお父さん、お母さん、兄弟達を横暴なロシア、

から守る為に戦ったのだ、


戦争をやるのは相手から金を取る為ではない、自分の愛する者を守る為に戦うのである、今回の勝利でロシアは中国から撤退し、彼らが持っていた鉄道を初め、全てのインフラは日本の物、

となったのだ、これから上がる国庫金は今後膨大なものになるであろう、今回戦争のために消費した15億円は直ぐに補填できるはずである、また南カラフト割譲の件に関しては不毛の土地、

には何の価値もないと思うだろうが、


その回りの海には多くの水産資源があるではないか、また海底油田もあるかもしれない、金だけに固守するのばバカの考える事である、もう少し勉強されたがよろしかろうと言うと、満場、

から拍手が起こったのです、野党議員はご高説拝聴した、質問に非礼があった事はお詫びする、私の質問はこれで終了しますといい、質問を終ったのです、


この話は翌日の新聞の一面に掲載され、外務省欧米局次長野党場員を叱るとのみだしに、真一が答弁した事が一句一時もらさず掲載され、今後のわが国の発展と欧米列強の一員に加わった、

事が報道され、騒ぎの火種はあえなく沈下し、街頭演説には国民が逆に石を投げる始末となり、戦争推進過激派は意気消沈したのです、あまりの雄弁なスピーチに伊藤以下閣僚はビックリ、

して、


これで小村君を呼び戻せるよと喜んだのです、大山と児玉がさすが真一さんだ、あの野党議員の情けない顔は大笑いしましたよ、しかし気をつけてください、右翼が真一さんを狙うかも、

しれませんと言うので、まいりました、ちょっとやりすぎましたかなと笑ったのです、帰りにプリンス商会の横のカフエでコーヒーを飲んでいると、東郷がやって来て、ここだと思い、

ましたと前の席に座るので、


ビールでも飲みましょうとビールとチーズを頼んだのです乾杯して、あの東郷ターンは見事でした、私は見ていませんが外務省を訪れた三笠に載っていたアメリカの観戦武官スミス少佐が、

一番砲撃し易い距離での東郷ターンだったと褒めていましたよというと、真一さんの言いつけを守ったのです、じつは佐世保に行ってからあの訓練を何十回もやったのですよ、理由を、

教えないので、


みんなは何の為にやるのかブツブツ言っていましたが、最後まで秋山と私しか知りませんでしたといったのです、あの方法は昔から戦術としてはあるのですが、正確にターン出来ないので、

机上の空論と言われていたのです、しかし訓練すれば可能だったんです、私も一かばちかでしたがと東郷が笑ったのです、秋山が真一さんの考えは凄い、なんか神様みたいな人だと言う、

ので、


お釈迦様の使いらしいと言ったら、絶対そうですよと言うので大笑いしたんですよ、しかし秋山はターンする時操舵手に微妙に舵の角度を指示し距離を一定に保つのですよ、頭にそろばん、

でも入っているんですかねと言ったのです、おそらく相手のスピードと舵の聞く時間と回頭が終って平行になる時間を何回も図上で試していたのですよと言うと、なるほど私は計算が遅い、

から無理ですねと笑ったのです、


しかし東郷さんこれからが大変ですよ、みんなはやっと勝ったことはすぐ忘れて己の力を過信するものなのです、アジアで一番優秀な民族だなんて言って、他のアジア人を風下におくように、

なると、アジア人同士の争いになり、うまく列強に利用しかねられません気をつけて下さいと言うと、海軍は船の上ですからいいのですが、陸軍は直接交わりますのでそれが心配ですよ、


この戦争を知っているものが指揮官の内はいいですが、後30年も経てば殆んどが引退して、これから軍隊に入る者が幹部になります、実践経験がありませんので、机上の空論や精神論で、

敵と戦えば身を滅ぼします、そういう点では日本は勝ちすぎたのかもしれませんと東郷が言ったのです、しかしこの東郷の危惧した事はやがて現実となって行くのです、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る