派閥(明治偏) 42 暫くして女将が茂三もまつとうな人間になったようです、真一様が女郎の証文を燃やしたので、女郎達に帰りたいものは帰ってもいいと言ったところ、全員が自由奉公で


派閥(明治偏) 42


暫くして女将が茂三もまつとうな人間になったようです、真一様が女郎の証文を燃やしたので、女郎達に帰りたいものは帰ってもいいと言ったところ、全員が自由奉公で働きたいと言い残った、

そうです、借金がなくなったのでお客の扱いも丁寧になり評判の温泉宿になって繁盛しているようです、それで真一様にお礼が言いたいと下に来ているのですがと言うので、通してください、

と言うと、


部屋に入って来て、その節はご迷惑をかけて申し訳ありませんと頭を下げ、知り合いのアイヌが鹿の肉を分けてくれましたのでお持ちしましたと渡したので、それは珍しいありがたく頂戴する、

とうけとると、まつとうな商売がこんなに儲かるとは思いもしませんでした、お陰で人足も女郎達も頑張ってくれています、これはほんのお礼です、私では何に使っていいやら分かりません、

ので、


村上様にいい使い道をしていただけたらと風呂敷に包んだ金を渡したので開けると、2000円入っています、女将にこれでこれから函館近辺で酪農や農業をやりたい人の補助金にしてください、

金になるまでは時間がかかるでしょうからと言うと、それでは私も2000円出します、都合4000円あれば多くの人達を支えられますと言い、この函館の町がもっともっと大きくなるよう茂三、

さんと力を会わせましょうと言つたのです、


それでは鹿鍋を作りましょう、酒のつまみにピッタリですよと下に降りていったのです、茂三に酒を勧めるともったいないと飲み干し返杯して、それではみなさんごゆっくりと帰っていった、

のです、ユキが茂三もすっかり善人になりましたねと真一に酌をしたのです、坂本がなるほど根っからの悪人はいないと言う事ですなあ、刑務所に入れるのは簡単だがその悪人をいかにして、

世の中の役に立たせるかが肝心なんだと頷いたのです、


吉之助さん私達もそれをやりましょう、決して表舞台には立たず全国を旅して悪人を善人に変えるのですというと、しかしわしは真一さんみたいな剣の腕は持っていないぞと言うと、それは、

私に負かしてください、これでも示現流の目録持ちですよ、西郷さんは善人にする策を考えてくれればいいのですと新八が言うと、なるほどしかしそれには金がいるぞと言うと、龍馬がそれ、

は僕に任しておいて、


僕は貿易会社を作り儲けて二人に資金を提供しょう、その為に真一殿の世界に行き色々学びましょうと言ったのです、真一が一つだけ心配事があるのですが、多分私達が元の世界に戻ると、

ここで過ごした7年後ではなくこちらの世界に来た同じ日の同じ時刻にもどるのではないかと思います、したがって皆さんが向こうの世界に行って7年の時間を過ごしてもこちらから行った、

同じ日と時間に戻るわけで、


戻ったとき7年は経つていない事になります、ほとぼりは冷ませないかもしれませんと言うと、龍馬がそれなら戻ったときにほとぼりを冷ます為に、アメリカに行けばいいですよ知り合いも、

沢山いるので、アメリカで7年過ごし戻って来て人助けをやればいいわけですと言うと、西郷と新八がそれは良い策です、坂本さんにアメリカを案内してもらいましょう、外から日本を、

見た方が、


色々世界の情勢も分かると思いますと言ったのです、鹿鍋ができましたよと女将が持ってきたので鍋をつつくと、柔らかくてとても美味しいので、みんなが美味い、美味いと食べたのです、

山形から12月1日に函館に入港し翌日稚内へ出航し、到着は3日の予定だと電報が来たのです、12月2日になり春日丸から迎えが来たので女将にお礼を言って馬車に乗り込んだのです、女将、

が又必ず寄ってくださいと手を振ったのです、


船に乗り込むと山形がいよいよ明日でお別れですね、今日はお別れの壮行会を開きますと言ったのです、春日丸はイカリを上げ進路を北にとり稚内へ向かったのです、夕食の時間が来たの、

で仕官食堂に行くと全員が起立して敬礼をしたのです、艦長が明日でお別れです今日は心行くまで楽しんでくださいと挨拶して乾杯して食事に入ったのです、食事が終り隊員は持ち場に、

戻り、


艦長が稚内の網元に話がしてあります、馬ソリと防寒義と食料の用意をしてあります、気をつけて行ってください、もし戻れない場合は引き返してください12月8日までは函館に停泊して、

いますので、電信を打つてください直ちに向かえに稚内まで行きますと言ったのです、次の日には稚内に着きみんなに見送られて上陸したのです、馬ソリで網元の家向かい、家に着くと、

よくきなさりました、


と座敷に案内したのです、随分大きな家ですねと言うと船子が大勢いるんですよ、今はにしん漁の為道内から沢山の船子が集っているのですと網元が言ったのです、窓から海を見ると、

浅瀬に沢山のクイが打ってありますあそこに網が仕掛けてあるのですかと言うと、そうです沖にニシンが来ると小船で追い立ててあの網まで追い込むのです、追い込むのは結構年季が、

必要なんですよと言ったのです、


にしんがきたぞ~と声が聞こえ一斉に小船が沖合いに漕ぎ出したのです、黒い塊が沖を移動しています、小船はその回りを取り囲むようにして網の方へ追い込んでいきます、やがて黒い、

塊はクイの打ってある網の入り口に達し中へ怒涛の如くはいると入り口を閉じたのです、中にはニシンの大群がおり船子が網ですくい小船に積んで砂浜へ乗り入れ番小屋へ運んでいきます、


番小屋では腹を割き数の子を取り出して塩水のタライに入れるのです、網元が今日は大漁でしたといい、子持ちニシンを焼いたものは絶品です、夕食に出しましょうといい、ゆつくり、

してください、風呂が沸きましたら呼びますよと下に降りていったのです、初めてみるニシン漁にビックリしたのです、ふろが沸いたので順番に風呂に入り、上がってくると網元が、


ビールをもって来たので皆で飲み、風呂上りのビールはたまりませんというと、札幌にビール工場が出来てここら辺まで船で運んでくるんですよ、一杯飲んでくださいといいこれは女中、

のお絹です、何なりと申し付けてくださいと言うと、絹ですご逗留の間お世話させて頂きますというので、みんながよろしくと挨拶したのです、夕食が運ばれて来たので見ると、毛蟹、

鮭、ホタテ、に子持ちニシン焼き等の、


海鮮料理です子持ちにシンを食べると卵がこりこりしていて歯ごたえがありとても美味しいのです、みんながこれは美味い、美味いと食べたのです、お絹が旦那様が喜びますよ、なんと言っ、

ても、北海道開拓次官の黒田様のお知り合いだとかで、旦那様も張り切っているのですと笑ったのです、お絹さんの生国はと聞くと青森です、お父とうとお母あが札幌に移住して農家を、

やつています、


ここは給金がいいのでニシン漁の時ここに奉公しているのですと言ったのです、農家は上手くいっているのと聞くと、小麦、トウモロコシ、じゃがいもを作っています、青森にいる時よりは、

生活も楽になりましたよ、金を溜めて機械を買うんだと張り切っているので、すこしでも助けになればと奉公しているのですと笑ったのです、そうか北海道は土地が広いから作物を育てる、

のも大変なんだと真一が言ったのです、

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