派閥(明治偏) 15 居酒屋を帰ろうとした時目つきの悪い8人が真一の脇を通り抜け裏口に行ったので、女中に裏になにかあるのかと聞くと、はなれがあるとの事である。殺気だっていたな


派閥(明治偏) 15


居酒屋を帰ろうとした時目つきの悪い8人が真一の脇を通り抜け裏口に行ったので、女中に裏になにかあるのかと聞くと、はなれがあるとの事である。殺気だっていたなと思いユキにここ、

にいるようにと言い、裏口に行ったのです、男達はいないので離れを見ると二階建てになっており、二階には明かりがついたおり誰かいるみたいです、引き返そうとした時、ぎや~つと、

悲鳴が聞こえたので、


木戸をあけ階段を上ると8人の男が刀を抜いて切りかかつていたのです、警棒をクツから取り出し一人の男の肩を後ろから叩くと刀を落としたのです、全員が振り返り一斉に切りかか、

って来たので、手首をピシ~、ビシ~と打つと全員が刀を落としたのです、何者だと言うのテングさというと、みんなてが痺れて刀を握れないので左手で隣の者の小刀を抜ききりかかって、

きたのです、


これも左手首をぴ~と打つと刀を落とし、一人の男が引き上げろというと全員真一に突進して来たのでよけると階段をかけ降りて逃亡したのです、切られた男を見ると大村です、傍に一人、

の男が倒れていたので首筋に手をあてると絶命しています、大村のキズはこめかみをはじめ数箇所切られて気を失っていたのです、階段をかけおりユキを二階に連れて来て応急手当を頼ん、

だのです、


店の者に長州藩邸に行き大村益次郎が刺客に襲われてキズをおっていると伝えるように頼んだのです、ユキにキズの具合を聞くと一番深いキズは右大腿部のキズで動脈から骨に達している、

ので、多分助からなといったのです、足の付け根をタオルで縛り止血したのです、下から酒をもって来て傷口に噴きかけ消毒したのです、程なく長州藩士がかけつけ顔をみると函館であっ、

た長州の山田参謀である、


あんたは村上さんといい、刺客はと聞くので逃亡した事をつたえ、一刻も早く医者にみせるのだと言うと、戸板に乗せ運んでいったのです、長州藩士に伏見の薩摩屋敷にいると伝えて店を、

出て薩摩屋敷にもどり、黒田に顛末をはなすと、ヤツパリここに来たんですかと言うので、ここにいる事を知っていたのと聞くと、太政官で大村さんの命を狙っている者がいるので木戸さん、

が、


京、大阪に行く事を止めたそうなんですが、これだけは早急にやっておかなければならないと制止を振り切って行ったと聞きました、というのでそうですか、一応命は助かりましたが、もう、

一人は絶命していましたと言ったのです、部屋に戻りユキになぜ歴史は大村に会わせ、暗殺現場に行き合わせたのだろう、たしか刺客に襲われキズを追いその後死ぬ事になっているはずだ、


死ぬ運命にある者の命を救えば、未来の歴史がかわってしまう、あの状態ではあそこで絶命しても不思議ではないが、一カ月寿命を延ばす為になんで真一を送りこんだんだろうと言ったの、

です、ユキが多分その一カ月の間に大村さんが生きていなければ、未来の歴史が変る事になるのではと言ったのです、暫くして山田がやって来たので様子を聞くと、右足のキズが深手で、

出血がとまらず危険な状態です、


貴方が現場に行き合わせなければ、あそこで惨殺されていだしょうかたじけないと言い、京、大阪のすべての手配が終わり明日私に引き継いで東京に帰る予定だったのですと言ったのです、

そうか、あそこで死んでしまっては、この山田に後の事を伝えらないからだ、伝える事の中に歴史を変える重大な事が含まれているのだろう、そこで真一に延命させるよう行き会わせた、

に違いないと思ったのです、


真一が思ったとおり、大村は息をふき返し、山田に大阪で4斤砲を沢山作り西からの脅威にそなえよ、また元込め銃の玉が製造できるのは、薩摩が持っている工作機械のみである、その機械、

を政府が接収するのだと言い残し、手当てのかいなくこの世を去るのです、その後大村の言いつけ通り、4斤砲を数多く作り、薩摩から工作機械を運び出したのです、


この為薩摩軍は政府軍の4斤砲の猛砲撃にさらされ敗走する事になり、また薩摩軍は元込め銃の玉を手にいれる事ができず、旧式の先込め銃しか使えず、政府軍の火力に圧倒されたのです、

しかしそれでも8ケ月も政府軍と戦いぬいたのです、もしこの大村の遺言が生かされていなければ薩摩軍が勝利し歴史が大きく変ったかも知れないのです、


京都見物をして明日鹿児島へ出発するので、大村を見舞う事にし病院に向ったのです、山田が傍についているらしく息を吹き返しましたと病室に案内したのです、前のイスに座ると、

助けてくれたそうでかたじけないというので、ゆっくりキズを治してくださいというと、もうダメだと思います言い残す事は山田に伝えました、こころ残りはありませんと笑った、

のです、


キズは案外軽い出血も止まっているようです、熱ももうすぐ下がりますよと言うと、私も医者ですキズの深手はよくわかりますよ、歴史は必要なとき私を呼び必要なくなつたら、坂本さん、

のように葬りさるものなのです、自分の思っていた事を実践できて楽しい人生でしたよといい、少し眠りますと目を閉じたのです、


医師に状態を聞くと右足から細菌が入り敗血症を起こしています、大村さんに体力があればいいのですが、随分出血しましたので何ともいえませんと答えたのです、別室で山田と話したの、

です、山田が先生にもしもの事があれば後の事を私ごときができるのでしょうかと言うので、大村さんが今後の段取りを付けてくれたのでしょう、貴方に出来ないはずはありませんよと、

言うと、


山田が、私達がこの国を守ろうと言う考えは、旧態以前の武士達には理解出来ないのでしょう、残念な事ですと言うので、それでも誰かがやらなければならないのです、情熱を失っては、

いけません、大村さんの言いつけを守れば事はうまく行きますよと言つて病院を後にしたのです、ユキにそれでは坂本龍馬にあって行こうといい、東山の龍馬の眠っている墓所へ向った、

のです、


墓は京都の町が見下ろせる中腹にあります、一緒に犠牲になった中岡慎太郎と仲良く墓石が並んでいます、その前には犠牲になった下僕も祀られていたのです、線香を手向け明治維新の、

英傑に手を合わせたのです、その回りには維新を見る事なくこの世を去った大勢の志士たちが京都の町を見下ろしていたのです、



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