派閥(明治偏) 12 大久保が木戸の部屋へ行き、元薩摩藩士村上真一君ですと紹介するとイスを勧めるので座ると、大久保君から聞いています、外国の事情に詳しいそうですが外国はどこに


派閥(明治偏) 12


大久保が木戸の部屋へ行き、元薩摩藩士村上真一君ですと紹介するとイスを勧めるので座ると、大久保君から聞いています、外国の事情に詳しいそうですが外国はどこにと聞くのでアメリカ、

です、もう随分前ですがといい、まだ幕府が外国に行く事を禁止していた時代に琉球へ藩の用事で行く途中にシケに会い船が難破してアメリカの捕鯨船に助けられたのです、土佐の万次郎、

さんも同じ事でアメリカに行ったそうですが、


私は万次郎さんが日本に帰って来た後の事です、アメリカに一年いまして、その文明を見てヨーロッパが見たいと思って、政府の人間に頼みましたら軍艦がイギリスに表敬訪問に行くと、

いうので便乗させてもらったのです、イギリス、フランス、オランダと回りまして、オランダの商船が長崎に行くというので便乗させてもらって、アフリカのケープタウンを回ってインド、

を経由して香港についたのです、


そこでまだ日本は海外渡航は禁止している事を聞き、上海で待つ事にしたのです、そして鳥羽伏見の戦いが起こった事を知り、急ぎに帰ろうとしましたがあいにく乗せてくれる船がみつか、

らず、やっと見つかって返ってきたら北越戦争の真っ只中だったのです、すでに薩摩には自分の墓がありましたので、藩に願い出てお家を退散し町人になって、横浜で毛皮の貿易をやろう、

と、


毛皮の買い付けにウラジオストツクに航海中難破して蝦夷に漂流して、薩摩の黒田さんと知り合いになり、そして大久保さんに内務省の顧問になるように勧められたというわけですと話、

したのです、そうでしたか、ヨーロッパの事情に通じているとは頼もしい、また黒田君が持って来た万国公法論もこれからわが国は学ばなければなりませんと言ったのです、


大久保が我々に話した世界事情を木戸さんにも話してあげなさい、木戸さん政務が終わったら今日村上君の話しを聞いたらどうですと言うと、是非お願いしたいというので承知しました、

と答えると、大久保があいにく私は所用があるのでいけませんがと言うと、木戸がわかりました、それでは村上君をお借りします、後程家まで向えにやらせますというので、太政官を、

出て家に向ったのです、大久保と西郷には事情があって生国はあかせないが、薩摩の身分の低い士族という事にしてくれるよう頼んであったのです、


家に帰るとユキが帰っていたので事情をはなすと、いつてらっしいませ旦那様といい、但し浮気はダメですよと言ったのです、何処に行って来たかと聞くと、浅草あたりを散策したけど、

仲見世、浅草寺は全然変っていなかったわ、船で行ったんだけど、掘割がたくさんあり、船だと早く移動できるのでビックリしたわと言ったのです、あんみつがとても美味しかったよと、

喜んでいたのです、


迎えに来たので家をでると料亭は深川ですぐ近くだというので歩いて行き座敷に案内したのです、そこには木戸と一人の男が座っており、木戸が伊藤君だよと紹介するので、村上ですと、

挨拶したのです、席に座ると女将が酌をして盃を重ねたのです、伊藤がアメリカにおられたと聞きましたが、なにが一番ビックリしましたかと聞くので、それは蒸気機関車と蒸気船で、

すよ、


特に蒸気機関車はアメリカは土地が広いせいか遠くまで伸びていまして、あの砂漠みたいな土地に延々とレールが敷いてあるのには驚きましたというと、私もですあんな鉄の塊が走るんて、

ビックリしましたよと言ったのです、木戸がインドは熱い国と聞きましたが、なぜイギリスはあんな所を植民地にしているのですかと聞くので、香辛料の為です、ヨーロッパでは香辛料、

はあまり取れないのです、


ところがインドは香辛料が豊富で何百種類もの香辛料が取れるのです、香辛料は食欲を増進する為に料理に入れるのですが、ヨーロッパではあまり取れない為、インドから持ちかぇったら、

飛ぶように売れたのだそうです、何と言っても最初は香辛料の重さは金の重さと同じ価値があったそうなんです、そして、インドが簡単に植民地化できたのは、日本の藩みたいな組織で、


国内にいくつものマハラジャという豪族がいるのです、インドという一つの国にまとまっていなかったわけです、イギリスはこの豪族を手なずけて懐柔し特権を認める事により全土を、

制圧して香辛料を独占したわけです、反乱があまり起きなかったのはカーストという厳しい身分制度があった為です、しかし何世紀もたっと香辛料もインドだけでなく手に入るように、

なり、うまみがすくなっていったのです、


インドは国土が広く南は熱いですが北には草原があり寒くないのです、そこには野生のケシが一杯あつたのです、ヨーロッパで外科手術がさかんになると麻酔が必要になり、インド

ではたくさん取れるので、それに目をつけた商人が沢山ヨーロッパに持ち込んだ為麻薬中毒になる人が増え、各国が医療用の使用を除き禁止した為、こんどは隣の中国へ持ち込んだ、

のです、


中国も禁止していたのですが、列強の商人は無視して販売していたので、当時の中国の香港の総督が麻薬を積んだ列強の商船を焼き討ちしたのです、列強は多額の賠償を清に要求しました、

が拒否した為、列強の連合艦隊を派遣し清を攻撃したのです、清国はこの戦いに敗れ、多額の賠償金と香港をイギリスにその他の場所もドイツ、フランス、に租借されてしまったのです、


それを見ていたロシアが中国弱しとみて、満州の一部であるウラジオストックを割譲させて、軍港をつくり、遠くロシアまでシベリア鉄道を敷き南下の機会をうがっているのですウラジオ、

ストックから蝦夷までは50kmしか有りません、ロシアは蝦夷を狙っているのです、また、東南アジアのビルマ、マレーシア、インドネシア、ベトナムは列強の植民地になっています、


ここには近代必要になってきた、ゴム、スズ、ボーキサイトなどの鉱物とコーヒーなどを栽培する農園を開墾しその国の人々を奴隷の如く働かしているのです、かろうじて独立を保って、

いるのはシヤムと日本だけなんですよと話したのです、木戸がなるほど良くわかりました、ところで列強に侵略されない為には今後の日本はどうすればと聞くので、まずは海軍を増強、

し、


教育を充実して、殖産を奨励し、重工業を発展させなければなりませんと言うと、しかし莫大な金が必要ですと言うので、まず軍艦が国産できるようにするのです、外国から買えば日本は、

益々貧乏になります、教育を無償にして人材を育成するのです、10年も教育すれば次ぎから次ぎと人材が育成されるので、技術を習得して重工業を発展させて、国産化するのですというと、


今の政府にはそれをやる金がありませんと言うので、大久保と西郷に話した事を教えると、しかしその西郷が参議をやめると言つているではないかと言うので、まったく西郷さんの我が、

ままにもこまります、今日は説得に行ったのですが、上手く行きませんでしたといい、一胆わがままを聞いてやり薩摩に帰し、大久保さんに迎えにいってもらえばいいのです、その間に、

薩摩で近衛兵を西郷さんに集めさせるのです、


西郷さんは戦いを生きがいとしていますから、函館戦争も終わりやる事がなくなったので寂しいのですよ、兵を集めて再度改革する事を大久保さんが薩摩に行き話せば必ず上京します、

長州は農民兵を主体としていますから山形さんが抑えれば反乱は起きませんでしょうと言うと、木戸がなるほどその策は一石二丁かもしれないというと、伊藤がさすが世界を回って、

きただけの事はありますねと酌をしたのです、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る