派閥(明治偏) 4 女将と仲居が夕餉の支度ができましたと部屋に入ってきて膳を置き一献と酌をしたのです、飲み干して料理を見ると海鮮料理です、箸を付け一口食べて美味しいという


派閥(明治偏) 4


女将と仲居が夕餉の支度ができましたと部屋に入ってきて膳を置き一献と酌をしたのです、飲み干して料理を見ると海鮮料理です、箸を付け一口食べて美味しいというと、近隣の漁師が、

もって来てくれるのです一杯召し上がってくださいといい、ユキ様が牧畜、酪農の手習いをやると聞きましたがというので、ユキは獣医と言って牛馬の病気を治す医師なのです、従って、

牧畜、酪農の事を良く知っているのですと答えると、


女子が医師になれるのですかいというので、ユキがメリケンでは牛の乳や牛肉を沢山たべるのです、日本では最近まで禁止されていましたので、牧畜、酪農をやる人はいませんでしたが、

禁止ではなくなりましたので、これからは沢山牧畜や酪農をやる人が増えるでしょう、特に蝦夷は広大な草原がたくさんありますから牧畜、酪農には適しているのですよ、わたしは、

メリケンに留学して、


それを学んできたのです、これからは女子が医師や教師になって活躍するじだいがくるのですよと言うと、女将が私でも出来るのでしょうかと聞くので、勿論ですと答えると、それでは私、

も手習いを受けさせてくださいというので、構いませんというと、仲間を誘って受けます、蝦夷の大地に牛や馬が沢山放牧されているのを見るのはわくわくします、それではごゅっくり、

夕餉を取ってくださいと部屋を出ていったのです、


これで良かったと聴くので、上手かったよと手を叩くと、よろこんでいます、食事が終わり一服していると、女将が榎本様がお見えですと部屋に入って来たので見ると、3人の男を連れて、

います、座ると女将が酌をして、榎本が新撰組副長の土方君、幕臣若年寄、大久保さん、陸軍奉行大鳥くんだよと紹介したので、村上真一にユキですと挨拶したのです、土方が村上さんは、

最近まで横浜にいたという事ですが、


流山で死んだ近藤局長の最後の事はご存知ありませんかと聞くので、近藤さんはあなた達が会津に転戦した後、隊を解散して単独で官軍に出頭したのです、幕臣若年寄並、大久保大和と、

名のっていましたが、官軍のの中に元新撰組隊士がいまして近藤局長だと証言したのでそうです、官軍の土佐藩と薩摩藩で処遇に意見が紛糾し、近藤さんは切腹を願い出ていたのですが、


結局斬首に処せられたそうですというと、土方がだから会津行きをすすめたのにと盃を干したのです、真一が近藤さんが会津に転戦しなかったのは、これ以上隊士を死なせたくなかった、

のですよ、自分がいけば大勢の隊士が行かざるをえないので、一人で切腹しょうと思ったのですといい、たたみかけるように、土方さんは近藤さんと別れたときに終わったと思った、

のでしょう、


それからは死に場所を求めて転戦しここまで来たわけですねというと、黙って酒を飲み干し、村上さんの生国はと聞くので、肥前鍋島藩の下級武士でしたが今わ町人ですというと、剣術、

の方はと聞くので、武士でしたから多少は出来ますと答えると、その指の竹刀ダコからみて相当の使い手と見ました、それがしに一手指南願いたいというので、とても土方さんには、

叶いませんというと、


元武士なら武士の申し出を断るわけには行かないでしょうと立ちあがるので、やもうえません木刀ですよというと、木刀でもいずれかが死にますよといい、いいでしょうと部屋を出て行、

ったのです、榎本が辞めなさい土方に勝てるわけありませんと言うと、ユキがいいえ、旦那様も武士です逃げるわけには行きませんと言うと、大久保がさすがに武家の奥方だとうなず、

いたのです、


土方が帰って来て真一に木刀を渡したので庭にでたのです、正眼に構えると、土方が一刀流ですねと言うので貴方の天然理心流には欠点がありますというと、どんなと聞くので、闘えば、

分かりますと言ったのです、間合いをちぢめて土方がえ~いと面を打つてきたので踏み込み胴を払ったのです、この状態で胴に入るわけありません、真一の木刀は土方の右の肘に当た、

つたのです、


皆が卑怯なという目でみています、土方は暫くは右手は使えないはずです、真一がえ~いと面を打つと、土方は木刀で受けましたが、右手が痺れているために握りが弱くなり支えきれず、

木刀を落としたのです、真一が上段に構えると、土方がまいったと左手を上げたので、木刀をしまったのです、卑怯と思ったのか誰も手を叩きません、座ると大久保が酌をして随分、

卑怯な手ですなと皮肉を言うと、


土方がいや村上さんはこれが私の天然理心流の欠点だと言ったわけですよと言うので、大久保がどうしてと聞くと、天然理心流は面、胴、小手の他どこを打ってもいいと言う実践剣法な、

のです、したがって私の肘を打ってもいいわけなんです、私が多摩で修行していた時はそうだったのですが、江戸に出て道場で防具をつけて戦うばあい、面、胴、小手しか一本になら、

ないわけです、


いつのまにか他の流派と同じななってしまったわけです、だから村上さんは木刀でと言ったわけです、真剣で切りあいをするときにはどこを打とうと関係ないわけですよと言ったのです、

真一がもう一度真剣でなんて言わないでくださいよ、絶対お受けしませんと土方に酌をすると飲み干し、負けてこんなに愉快なのは初めてですと返杯したのです、


榎本がなるほど村上さんは負ける勝負はしないわけだ、そういえば合戦で武士の面子が大事だったのは一騎打ちの戦国時代の前のはなしだよ、戦に卑怯もくそもないわけだと笑ったの、

です、土方が加減して打ってくれたからいいようなもんで、本来なら二度と右で刀はもてないところだったですよといい、もうすっかり大丈夫ですと言ったのです、


それでは村上さんを軍師として迎えたらどうなのと大久保がいうと、真一がここには大鳥という軍師がいるではないですか、大鳥さんの作戦は隙間がありませんよと言うと大鳥がどう、

してそういえるのと言うので、総裁室にあった函館の配置した陣形の模型は大鳥さんが考えたのでしょう、隙のない陣形でしたよと言うと、大鳥があれを見てわかるとは村上さんも、

軍師だなあ、


だから土方さんに勝てたわけだというと、土方が大鳥さん僕だって猪突猛進だけで闘っているわけではないよ、引くところは引くんだよとハイをグイ飲みするので、大鳥が申し訳ない、

と頭を下げたのです、なんか和やかな雰囲気でみんなが酒を酌み交わしていたのです、女将がそれをみてほんに不思議な人、天敵同士を仲良くさせるなんてと不思議がっていたのです、

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