脱退



「ハルト。残念だが除名処分だ」


会議から戻ってきた団長からの一言が胸に突き刺さった。

だが自業自得でもあるし、ユキアに提案をした時点でこのことは覚悟はしていた。

だがそこでアルフレッドが団長に抗議をしだした。


「ちょっと待ってください団長!それは流石に罪が重すぎるでしょう!?」

「団長会議で決まったことだ。それにそもそも、ハルトクラスじゃなきゃ団長会議なんてせず、即除名レベルの問題だ」

「でも!」


アルフレッドが団長に抗議してくれている。

正直嬉しいが、あまり団長に文句を言いすぎるとアルフレッドの処罰が重くなってしまいかねない。団長会議で決まったことだ。

ここから決定事項が覆ることはないだろう。


「アルフレッド」

団長に抗議をし続けるアルフレッドに止めるよう声をかける。

アルフレッドは自分に迫ってきて胸倉を掴んできた。


「お前はそれでいいのかよ!!」

「あの時それも覚悟していたから」


団長に告げられた決定に抗おうともしない僕の態度を見てアルフレッドは我慢の限界がきたのだろう。

すごい剣幕で顔を殴られた。

そのまま僕は吹っ飛ばされて、アルフレッドは部屋を出て行く。

アルフレッドが切れても当然だろう。

僕がなんで騎士団の規則を破ってまで、彼女らを逃した理由を説明してないのだから。


「ハルト、お前がなんでこんな馬鹿な事をしたかは知らねえし別に問いただす気もない。だが、今じゃなくてもいいからあいつにはきちんと話せよ」

「ああ、そのつもりだよ」


立ち上がって団長の方を向き頭を下げる。


「お世話になりました!」


団長は何も言わずに部屋を去り、部屋には頭を下げままの自分しかいなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る