うたかた

「よお、こんな所にいるなんて珍しいじゃねえか?」


どこかわからない浜辺で白髪の少年に声をかけたのは黒髪の少年だった。

白髪の少年よりも一回りほど大きな体格をしている。


「やあ、久しぶり。いや、はじめましてなのかな?」


白髪の少年は問いかける。


「バカ言え、知っている顔にはじめましてもクソもねえよ」

「確かに。不思議な感じだね」

「それでどうなんだ今回のやつは?」

「どうだろうね。ただあれだけの誓いのために魂を賭けたんだ。僕は応援したいな」

「なんだ、そんなしょぼい誓いだったのか?」

「ああ、彼の名誉のために僕からは口にしないけどね。いずれ聞いてみるといい」


白髪の少年の姿がだんだんと消えていく。

揶揄ではなく本当に消えている。


「ああ?んなもんどうやって聞けってんだよ?」

「何、彼はそう遠からず君に会いに行くよ」

「そうかい、期待せずに待ってるよ」


黒髪の少年だけを残し、白髪の少年は消え去った。

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