恩恵2/2
正直言って、紋章の恩恵がどうこうという話は一から十まで信じられる話ではない。
だってそうだろう?
そんなものは今までお伽話くらいにしか思っていなかったんだ。
だけど、仮に、本当にそんな力がこの世界に溢れているのだとすれば、自分の探している物が見つかるかもしれないと思ったんだ。
「恩恵って具体的に回復能力なの?」
「いいえ、様々としか言いようがないわ。前に見つけた紋章持ちは半端ない攻撃的な力だったわ」「じゃあ、長生き出来る恩恵っていうのもあるのか?」
「あるわ。以前アスラタシア大陸にそういう恩恵の持ち主がいたと聞いたことがあるわ」
ユキアは質問にすぐに頷いて答えた。
「この紋章の恩恵ってのを持ってるのはどれくらいの割合でいるんだ?」
「そうね。私とカノンが恩恵を持っている紋章持ちを見つけたのは貴方で二人目。正直一つの国に一人いれば運のいいレベルよ」
「そうか」
聞きたいことは全て聴き終えた。
ああ、彼女の言っていたことが全て真実ならば世界は不思議なことで溢れているな。
たとえ前粒みたいな可能性だとしても、僕は突き詰めてみたいと思ってしまったんだ。
「アル!悪い。その子解放してあげて!」
「はあ!?お前本気で言ってるのか!?」
「約束しちゃったししょうがないだろ?アイリもそんな心配そうな顔しないでよ」
二人の表情は優れない。
それもそうだ。
この騒ぎの犯人を独断で逃すというのだから。
「貴方、本当に?」
「約束は破らないタチなんでね。けど見逃すだけだから、自力で逃げてね?」
アルフレッドはカノンの拘束を解いてユキアの元に送る。
カノンはユキアに抱きつき、そのまま動かなくなってしまった。
様子を見るとどうやら気を失っているようだ。
「恩とは思わないわよ?」
「ああ」
そう言ってユキアは魔法を発動させ、カノンと共に地面から現れた植物に包まれ、その場を去った。
さあ、問題はこの後だ。
団長にはなんて言い訳しようかな。
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