恩恵1/2

「アイリ、怪我してない?」

「ええ、大丈夫です。それよりハルト怪我は?」

「よくわかんないけど治った」

「よくわかんないけどって」


涙目だが呆れたような顔をするアイリ。

しかし実際よくわからないんだから仕方がない。


「けど無事でよかった」

「……貴方、何か雰囲気が」


アイリが何か言いかけたところにアルフレッドが駆けつけてきた。


「ハルト大丈夫か!?」

「多分アルよりは怪我してないよ」


見た目的にも片足を引きずっているアルフレッドの方が重傷そうなんlは明白だ。


「げっお前その胸どうしたんだよ!治ってんじゃん!」

「よくわからんが治ってた」

「よくわからんけどって」


先ほどのアイリと同じような呆れ顔をして、辺りを見渡した。

アルフレッドの視界にうずくまっているカノンの姿が目に入ったようだ。


「アル、あっちでうずくまってる子頼む」

「わかった。そっちは任せていいんだな」

「うん。大丈夫」


アルフレッドはカノンの元に拘束するために向かった。

さて、こちらも拘束しなければならないがその前に聞きたいことがある。


「さて、そのうち他の王国騎士も来るだろうから、その前に聞きたいんだけど何でこれ狙ってたの?」


右手の甲を見せながらユキアに問いただす。


「答えるとでも?」

「答えるなら相方と一緒に逃がしてやる」

「はあ!?ハルトそれは」


アルフレッドが咎めるように声を荒げる。

少し距離が離れていたが聞こえていたようだ。

普通に考えて許されるわけがない。

もし騎士団長にバレでもしたら騎士団追放レベルだろうさ。


「そんな言葉信じられるわけないでしょう?」

「こっちもそれなりにリスク高いんだ」


少し一考してからユキアは口を開いた。


「私たちは誓約の紋章、それも魂を賭けた者の誓約を狙っていたわ」

「紋章を?」

「ええ、魂を賭けた紋章を身につけていれば恩恵が手に入るからよ」

「恩恵っていうとこの回復力のこと?というか僕も今日まで誓約の紋章にこんな恩恵があるなんて知らなかったんだけど」


右手の紋章を見てみる。

恩恵なんて力があるなんて未だ信じられない。

しかし、自分の胸に空いた穴を治したのはおそらくその恩恵だろう。

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