トロンシリーズ
「どうやらまだ生きているようですね」
「言ったろアイリ。僕は君より先に死なないって」
あと数秒、アイリが来てくれなかったら正直危なかった。
カノンの斧を防ぐ術も無かったし。
「あんた、もしかしてエルフ?」
アイリはその台詞を聞くと少し反応したようだが、無視をして言葉を紡ぎ始めた。
「荒ぶるは灼火。業火をもたらす罪の焔よ」
アイリの周りの景色が歪み、熱気で陽炎が出来ている。
そしてアイリの周りに手のひらサイズの炎の球体が5つ現れた。
「炎属性の魔術か、ユキアとは相性悪そうね」
カノンは腰に手を当てて、深いため息をつく
「全く、もうちょっとで終わりそうだったのに邪魔しないでよね!」
「アイリ!」
手に持つ斧をアイリ目掛けて放り投げた。
だが、炎の球体の一つが勝手に動き出し、
投げつけて来た斧にぶつかり爆発する。
斧はその場で落下し、カノンが手をかざすと、一人でに斧がカノンの手に戻った。
「くそ、厄介な魔法ね」
「大人しく降参するなら、痛い目には合わないですよ」
「エルフに同情されるほど落ちぶれちゃいないわよ!」
カノンがアイリに向かい走り出す。
炎の球体が3つ。
自動的にカノンに向かっていく。
「はああああ!」
一つ。
二つ。
三つ。
カノンは向かって来た炎の球体を真っ二つに斬った。
「逃げろアイリ!」
この距離からじゃアイリを助ける術がない。
それでも大声を上げ、駆け出す。
瞬間アイリとカノンの間に王国騎士の鎧を着た男が現れる。
男がカノンの斧を何撃か打ち合った後、槍で弾き飛ばした。
「助けに来たぜ。ハルト!」
アルフレッドが駆けつけて来たのだ。
そして手に持っている槍は彼の愛槍。
名匠トロンが創り上げた7つの武具の一つだ。
それらはトロンシリーズと呼ばれている。
闘技大会の会場には持ってくていなかったので、王国騎士団の宿舎まで取りに戻ったのか、誰かが持って来てくれたのだろう。
アルフレッドは鞘に入った剣を僕に向かって凄い勢いで投げつけた。
「助かる!」
それを受け取り、鞘から剣を引き抜く。
アルフレッドの槍と同じ、名匠トロンシリーズの剣。
トロンライトというのがこの剣の名前だ。
アルフレッドが僕の剣を持ってきてくれたお陰もあり、3対1のこの状況。
負ける気がしない。
「んじゃ、反撃させてもらうよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます