準決勝1/2

控え室に戻るとアルフレッドがこれから始まる準決勝のための準備をしている最中だった。


「よお、さっきちらっと見てたけど、あの赤毛強かったのか?」


先程の準決勝のことだろう。

準決勝で戦った赤髪の少年カイム。


「ああ、うん。多分戦場では会いたくないかなあれは」

「お前がそんなこというなんて珍しいな」

「騎士団に誘ったみたけどガラじゃないってさ」

「おいおい、だいぶ見込みあるんだな」


おそらくだが、あのカイムという少年は本気ではなかったと思う。

何処と無く剣の扱いに慣れていない雰囲気があったから得意の得物ではなかったのだろか。


「まあけど、次は俺と戦うことを考えとけよ」

「まだアルと戦うかはわからないだろう?」

「言っとけ!」


アルフレッドの試合を見るために観客席に戻る。

アイリの座っている席まで行くと見慣れた顔がいた。


「あれ?リュド店はどうしたの?」

「よお、ハルト。決勝進出おめでとさん」


クリアバードの店主がなぜかアイリと一緒に闘技大会を観戦していた。


「マスターさんとはさっき偶然会ったんです」

「ああ、お前さんが闘技大会で勝ち進んでるって聞いてな。応援に来たぜ」

「仕事しろよマスター。臨時休業で泣いてる客がいると思うぞ」

「大丈夫大丈夫。若い奴に任せて来たからな。ほれ手軽に食えるもんしか持って来てないが腹減ってるだろう」


へえ、あの店にもお店を任せられるだけの若い人間がいたんだと少し驚いた。

普段料理は基本的にリュドしか作っていないと思っていたので、リュドが休むと店も休みになるものだと思っていた。


「アルフレッドさんの試合始まりますね」

「おっ来たな」


アイリとリュドの視線の先を追う。

アルフレッドが会場に出てきた。

そしてアルフレッドの対戦相手も出てきた。

緋色の髪の少女。

トーナメント表を見て見ると名前はカノンというらしい。


「凄いな。女の子がここまで勝ち上がってくるなんて」

「あの人の試合見てましたけど、なんと言うかハルトやアルフレッドさんの試合を見ているようでしたよ」

「そうなの?」


では可愛い外見とは異なり中身は化け物並の強さなのだろうか。

しかし、アルフレッドがあの少女に負けるイメージがまるでできないのだが。




「やあ、初めましてだね。アルフレッドさん」

アルフレッドはおちゃらけた感じでカノンに忠告をする。

「悪い。俺出来たら女とは戦いたくないんだ。降参してくれねーかな。そのかわり優勝したらデートの誘ってあげるからさ」

「ふうん?自分から負けるのは嫌だなあ。じゃあアルフレッドさん。もし私に勝てたらなんでも一つだけ言う事をきいてあげるよ」

「なんですと!?」

「その代わり僕が勝ったら一つだけ言う事を聞いてほしいんだけど」

「その勝負乗った!」


アルフレッドは対戦相手の少女と何か話しているっぽいが観客席からだと何を言っているかがわからない。

だがどうしてだろう。

なぜかアルフレッドが負けそうな未来が見えてきた。

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