あとがき

 初めましての方は初めまして。日々ご愛読頂いている方はお久しぶりです。

 相も変わらぬ挨拶ではありますが、そこはまぁ様式美という事で。


 今回のお話は私自身の持論を題材として描かせて頂きました。如何だったでしょうか?

 人によっては意味が分からず、または弱者の妬み嫉みと捉えられるかもしれません。ですが本当にそれだけでしょうか?


 好きだった作品が回を重ねる毎に色あせてゆく。素晴らしい終わり方をした作品だったのに、欲に負けて盲目のままに続きを渇望してしまう──そんな経験は無いでしょうか?


 。これが私の持論です。

 手がけた作品は必ず完成させねばならないという訳ではありません。ifやアナザーストーリー、続きを書くべきではないという訳でもありません。


 という事です。


 作者はその世界の住人ではありません。ましてやヒーローヒロインでもありません。彼らのずっと続く、続いて来た人生の一端に触れて、全力をもって応えるのです。

 同時に神様でもありません。所詮私達は世界を創った程度の存在で、彼ら全ての人生を背負う程の存在でもありません。だからこそ物語には余白が生まれ、作品に触れる方は各々の解釈をもってして世界を補填するのです。


 確かに創作を生業にして日々生活している方々は要望やニーズに応え、派生する作品に関わる方々にも応えるために続きを用意しなければなりません。

 それはプロとして立派であり、先生方が生活する為に大事な事ですが、創作者としてひとつの作品に留まり続ける──生み出さなくなる事は、私は最適解とは思いません。

 今回の作品はそういった思いを込めて、あえて描かず表現をぼかして書く事で、読んで下さった方々にどういった事があったのか考えて貰えればと言いたい事を抑えて書きました。


 読者の方々は自分が好きな作品に無理な期待を押し付けてはいませんか? 素敵な終わり方で感動させてくれたのに、失うあまりないものねだりしていませんか?

 作者の方々はこれを機にいちど執筆中の作品があれば最初の設定を見直してみては如何でしょうか? 今描いてる作品は本当に自分が終わらせたい着地点へと向かっていますか? 誰かの意見や功を急くあまりぶれてしまってはいませんか?


 一度世に出た我が子は、見る人の数だけ大きく姿を変えて空を飛びます。作者一人で養える大きさなど、同じ人である多くの読者が描く世界を賄えません。作品は個となり、群となって各々に応えるのです。


 もはやそうなった我が子に養ってもらう事はあれど、もう一度我が子を養おうとするのなら……あなたの下にも【親喰らい】が現れるかもしれません。


 それではまた次のお話で。

 ではでは~


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親喰らい 夢渡 @yumewatari

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