寄り道・ジャンクCD五〇クランクケース
さて、ヘッドを分解して一通りメンテナンスを終えてからのお話です。なかなかカブのエンジンを触れない日々が続きましたが、やっとこさ時間が取れました。
「二〇二一年のGWは京の会社では四連休です」
早速ジャンクエンジンの分解にかかりたいところですが、GW初日はバスルームの天井の掃除から始まりました。
「母は高い所の掃除が出来ないので私がします。オッサンになると独身でも自由が無いんです」
風呂掃除と細かな用事を済ませてからオイルと泥で汚れきった『ジャンクCD五〇クランクケース』の中身をチェックします。シフトドラム目当てで買ったジャンクケースの中身はどうなっているのでしょう。
「私はドロドロに汚れた部品が嫌いです。汚れを落として腐食防止のオイルを塗ってから保管するスタイルです。まず汚れを落としてケースの中身を見ましょう」
何と言えば良いのでしょう、三本のボルトで仮止めされたクランクケースは泥まみれで心が痛みます。今回は汚れがひどいのでパーツクリーナーを吹きつけながらはブラシで擦ってキレイにします。
「おや? 思ったより程度が良いみたいです」
油汚れの下は腐食が少なく削れたり打ったりした跡がありません。
「外の汚れを落したら中を見ましょう……ん? ミッションが入っています。これは……四速ミッションですね」
泥まみれのクランクケースの中はオークション出品者によれば『ほとんど空っぽ』なはず。ところがシフトドラムだけじゃなくてミッション一式が入っていました。
「残念ながら一速カウンターギヤの歯が欠けています」
以前『遠心純正クロス』を組んだ時に残ったCD五〇用ミッションに無事な三・四速ギヤを移植してミッションの修理は完了です。
「クランクケース内のベアリングはゴリゴリ感が無くそのまま使えそうです。今回はこのクランクケースは使わず在庫しますが、使うときはベアリングを交換すると良いでしょう」
クランクケースやミッション一式は仮組みしてビニールで包んで保管します。バラバラで残しておくと、いざ組み立てようとした時に部品を探し回る羽目になるからです。
「カブを四速化するのに使うもよし、マニュアルクラッチとリターンシフトにしてモンキーに使うもよし。使いまわしが出来るミッションです」
CD五〇のミッションはモンキーと同じギヤ比のミッションでカブのボールベアリング支持のクランクケースに使える独特なトランスミッションです。ネットオークションでの相場は一万円台中盤といったところ、出物は少ない傾向です。
「仮組みして気が付きました。クランク・ピストン・シリンダー・シリンダーヘッドが有るのだから、そのまま組み立てればよかったんです」
……とまぁ、こんな感じで私の二〇二一年GW初日は過ぎてゆくのでした。
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