京仕様のエンジン第二弾・完成

 注文していたフランジ付きキャップナットとフランジ付きナットをヘッドカバーに取付け、適切であろうトルクで締め付ければエンジン本体はほぼ完成します。


「続いてジェネレーターベースを取り付けます。ジェネレーターベースのOリングやオイルシールはもちろん新品に交換します」


 キックスターターやチェンジペダル、あとはカウンターシャフトのオイルシールも新品にするのは言うまでも有りません。


「キックスターターやチェンジペダルのシャフトにはスプラインが切ってあります。傷つかない様にマスキングテープなどでスプライン部を覆ってオイルシールを傷つけないようにしましょう」


 最後にオイルを入れて完成です。


「おおっと、チェーンアジャスターにオイルを注入するのを忘れていました」


 チェーンアジャスターのボルトを外し、エンジンオイルを注入してから新品のアルミワッシャーを介してボルトを締めます。


「アルミワッシャーは必ず新品にしましょう。実は二台目のエンジンを組んだ時にケチって再利用したらオイル漏れしたことが有ります」


 さぁ、エンジンが完成したところで季節が進みました。すっかり寒くなってバイクに乗ってお出かけするどころではなくなりました。世間は新型コロナ肺炎の第三波が来たかと騒ぎになっています。


「オイル注油口から規定量のオイルを入れてっと、フライホイールを手で回してオイルを巡らせておきます。キチンと組み立てが出来ていればオイルがヘッドに回ります。出来ていなければオイルがヘッドまで上がらなかったり、オイル漏れをしたりします」


 残念ですがバイクシーズンに間に合いませんでした。それでも今回組んだエンジンは六年間、ホンダゴリラやスーパーカブを触り続けた自分なりの考えで部品をチョイスして組んだエンジンです。


「エンジン内部のプライマリギヤをハイギヤにしてスプロケットの選択肢を増やし、停止前にニュートラルに入れられるようにCD五〇のミッションで四速化。クランクシャフトと腰上はカブ九〇の部品でスープアップ、ヘッドも九〇用だからビックバルブ化。それを遠心クラッチでイージードライブ……」


 カリカリのチューンではありません。恐らく五〇㏄ベースで八八㏄にしたフルチューンに比べれば鈍くさい回らないエンジンでしょう。でもいいんです。エンジンを組んだ京が『鈍くさくて回らない』ですから(笑)


 さて、京仕様の八五㏄エンジンが完成しました。第一弾はカブのエンジンなのに純正四速クロスミッション。だから今回のエンジンは第二弾です。完成したエンジンはエンジンスタンドにセットして保管します。


「エンジンスタンドに乗っていた汚いエンジンは段ボールの上に移動します」


 ホッと一息ついて秘密基地を見回すとスーパーカブのエンジンが二機あります。一機は部品取りで購入したプレスカブらしきエンジン。もう一機は使い倒したスーパーカブから降ろした走行距離八万六千キロオーバーであろうエンジンです。


「おおっと、汚いエンジンを触ったら手が汚れてしまいました。汚いままでは状態が解らないし補完するにしても見苦しい事この上ない」


 趣味のスペースが汚いなんて言語道断です。


「まずエンジンの吸気口をマスキングテープで塞ぎます。排気口もボロ布などで線をしておきましょう」


 何をするかって? エンジンの丸洗いです。今回洗うのはプレスカブのジャンクエンジン。プロのお願いする(頼まれて嫌やby先輩)と数千円の出費かもしれませんが、ご自分ですれば数百円で出来ます。


「次は何を組みましょうかねぇ、部品取りからノーマルヘッド対応八十八㏄アルミシリンダーキットとか大容量オイルポンプ、更に強化クラッチが採れてるし、ベースのエンジンは二機ある。CD九〇のクランクケースとかカブ七〇互換のクランクシャフトも有ったなぁ……」


 こうして京の『無限カブ』は続くのでした。

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