ジャンクエンジンってど~なのよ?⑤

 さて、腰下の部品が揃ったのですが、腰上の部品はまだまだ揃える部品があります。一番の問題は錆びついたシリンダーとガビガビになったピストンです。


「ボアアップキットまでは要らんか、もう72ccが有るしなぁ」


 ゴリラとスーパーカブには90ccの4速エンジンが積んであります。72ccの純正クロスミッションを組んだエコノパワー改のエンジンもあります。


「せっかくや、50ccは持ってないし作ろうかな」


 ボアアップするならバルブも大きくしたいと思ってしまう私。ライトボアアップキットを組んでノーマルヘッドのままでという手段が有りますが、今回は安上がりにしたいので『ボアアップされて要らなくなったノーマル』を探してみようと思います。ピストンもセットで在ればラッキーかなと思いながら探すとありました。しかも1500円(笑) ボアアップキットを買うより安上がりです。送料込みで3000円以内で入手できました。


 ここまで来て思い出したんですが、ヘッド周りは手付かずでした。カーボンが溜まってるな~と思っていたのですが、吸気側のポートには白いアルミ錆が浮いています。排気側は真っ黒なカーボンが牡蛎の殻の様に積層されています。タペットカバーからのオイル漏れを止めようとしたのでしょう。液体パッキンが着いていて見た目が汚いです。


 とりあえず分解です。ペットボトルを切った小物入れに吸気側と排気側の部品を分けて入れていきます。ご家庭にあるペットボトルは耐油性も十分です。何個か部品入れとして作っておくと良いでしょう。


「プラグレンチをリテーナ―に当ててハンマーで衝撃を与えればこの通り」


 磁石入りのプラグレンチでスプリングリテーナ―へ魂の一撃!コッタ―がプラグレンチにくっついてバルブスプリングが外せます。あ、『コッタ―』はスプリングの押さえ金具であるリテーナーをバルブの軸にセットするための金具です。


「この時に外したバルブスプリングは上下が解るようにしておきましょう。サージングを予防するために上下のピッチが違う場合があります」


 ドンドン部品を外していくとバルブが外せるようになりました。念のためにバルブステムオイルシールを外して潤滑剤を吹き付けておきます。見た感じからしてしばらく放置してあったのでしょう。バルブやバルブガイドが駄目となれば大出費です。幸いな事にバルブステムの固着は無く、ポート内に突き出した部分に若干の錆やカーボンの付着が認められる程度でした。バルブガイドのガタは少しあるかな~程度でした。このエンジン、オイル交換はそれなりにしてあったみたいです。


 外したバルブ周りの部品は洗い油で清掃します。灯油に少しだけオイルを混ぜてあります。オイルを混ぜてあるのは錆予防になるかと思ってです。効果は解りませんが気分です。不思議な事に、このエンジンはオイルは真っ黒でしたがオイル焼けが殆ど有りません。洗い油で汚い所を洗うと新品みたいに……とまではいきませんが綺麗になりました。


 バルブはドリルに咥えて回しながら磨きます。磨くと言ってもステムを磨いたらダメです。クリアランスが広がってオイル下がりの原因になります。磨くのはカーボンが着いている所だけです。


 部品の点検・掃除・調達がほぼ終わりました。次からは組みつけていきます。


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