本当の父親

固定視点なし


オルゴール「〜♪」


レイア ふと仕事の終わった母さんの部屋からオルゴールの音が聞こえた………そういう時は俺は部屋には入らない………そのオルゴールは母さんが愛した人が自分が死ぬ直前に送った歌の無いメロディー………音はなくとも和やかで激しさもあるメロディーを母さんは好いている………「まるで彼のよう」とも言っていた………殺し屋で敵同士でありながら恋人で最後は俺を託して死んでしまった不老の青年………母さんが若い頃に育てた顔に傷跡のある子供がその人だった………「護りたいモノのために」と彼は言い残して母さんから離れていったと聞く………そしてその最後は千切れた母さんのネックレスを、今にも出血で死にそうなのにそれを掴んで最後は抱きしめるかのように死んだという………俺は本当にうっすらとその人のことを覚えてる………頬から血を流しながらも俺に優しい笑みを向ける若そうな人………母さんの話では彼は誰よりも人間らしくとても殺し屋には向かない性格だったらしい………確かにあの笑みは殺し屋がするような怖い微笑みではなく………人情に溢れ愛しい我が子に向けるような………愛の溢れる微笑み………俺からすれば父に値するその人を………俺は赤ん坊の頃のうっすらとした記憶でしか見たことが無い………



???「レイア様」


レイア「カルス」


ふと名を呼ばれ声のする方を見るとカルスがいた


カルス「レイア様 あのオルゴールには本来歌があったのをご存じですか?」


レイア「歌があったのか?」


カルス「ええ レギスさんにお伝えをしていないだけで」


カルス 母さんには伝えていないのか………


カルス「大きな太陽の光 大きな花の園 同じ花の中に1本だけ違う種類の花 周りはみんな白なのに 私だけが赤い花 そんな私を受け入れてくれた花の園 大切な人に「大好き」と言えない私を許してください 「愛してる」と言えない私を許してください 「ありがとう」は口に出せないけれど せめてこの場を明るく照らしましょう 皆が枯れないように 皆が輝けるように 私は赤い花 けれど寂しくはない 私は生まれてきて幸せでした 皆の愛をくれてありがとう せめての恩返しを受け取ってください Forever I love everyone 強く照らして太陽 輝いて希望の光 皆が道に迷わないように 皆の為に私は光り輝く光になりましょう……… ここまでが俺が教えて貰ったオルゴールには入らない部分も含めた歌詞です」


レイア「もしかして続きがまだあるの?」


カルス「あるそうなんですが………どんなに聞いても「秘密」と言って笑うばかりで教えて貰ったことは無いです」


つまりその歌の続きは本人にしかわからない


???「激しくなる部分で……轟け我が御霊 愛する者の為ならば命を捨てよう たとえこの身朽ち果てようと 愛する者のいる世界の為に 我命を捧げん 愛する者よ 明日を生き希望を持て 我が魂弱まろうと 希望あらば輝かん 輝け魂 この世に欺かれようと 希望あらば立ち上がらん の後も歌は続く」


カルス「ガージェス様」


歌の続きを言ったのは組織につい最近加入したレギスの愛した人の過去を知る人物


ガージェス「レオン………いやスウェルタは首領に本音は言えずとも言葉を伝えようとした………だから歌で表現したんだがオルゴールには歌を入れなかった 俺や元部下、自宅にあるモノで歌は繋げられるからな」


カルス「つまり自宅に行けば歌詞の続きが?」


ガージェス「ある だがスウェルタは隠すのはかなり上手いし簡単にはわからないぞ?しかもスウェルタの自宅は隠し部屋だらけだし部屋数は滅茶苦茶に多い」


???「それでいて歌詞が様々なところに分配されているから繋ぎ合わせる必要がある」


そしてもう1人ガージェスと同じ日に加入した人が来た(実の兄弟でスウェルタの過去も知る)……彼は戦闘で重傷を負い怪我を全回復させる代わりに片腕を失ったので今は義手


レイア「レイガ」


レイガ「俺は曲を全部知ってるけど口止めされてるんでね それに今歌った歌詞は第1節の少し………まだまだ歌詞は長い」


ガージェス「………今では一緒に住んでた頃が懐かしいよ」


レイガとガージェスはスウェルタと一時(いっとき)一緒に住んでいた………だから今ではそれが懐かしい


レイガ「スウェルタは様々な才能があった………それこそ音楽の才能もあったしそれ以外の才能も無数にある中………スウェルタは殺し屋としての才能を開花させ上位に立った………強くも孤独を知るスウェルタが唯一愛した人の為に自らの命を落とし………君がスウェルタの魂を継いだ」


レイア「本当に強かったんだな その人」


ガージェス「俺達よりも詳しい人が千葉にいるよ アポは取っておくから行ってくれば?」


レイア「千葉のどこ?」


レイア 熊本から千葉って結構遠いぞ………


カルス「迎えを寄越しますので千葉に行けばわかります チケットどうぞ」


レイア「まさかの新幹線?」


カルス「駅に迎えを寄越します」


と言われてレイアは千葉に向かうため新幹線のある駅へ行く


レイア「…………」


レイア 新幹線に乗ったは良いが………


乗客「(<●>ω<●>)」


レイア めっちゃ見られてるんだよな………


自分以外の乗客の視線を感じずっと窓の外を見ているレイア


乗客「お隣いいですか?」


レイア「どうぞ」


ふと乗客の1人に相席を申し込まれて「どうぞ」と言って持ってきていた愛読書を読む


乗客「お兄さんはどこまで行くんですか?」


レイア「千葉」


本を読みながら受け答えをしているので返事が素っ気ないレイア


乗客「私と同じですね お名前は?」


レイア「クロウバーウルフ お兄さんは」


癖で本名ではない二つ名を言ってしまうレイア


乗客「琥神(らいが)です」


レイア「珍しい名前ですね」


琥神「よく言われます」


2人「…………」


軽い自己紹介を終えた2人は話がなくなり無言で千葉につくのを待つ


〜千葉〜


レイア「…………」


カルス『確実に左右に1本の赤い線が入ったアヴェンタドールが迎えに来るのでそれに乗ってください』


レイア とは言われたが………


迎え「レイア様でしょうか?」


レイア 堅気に見えねぇ………


恐らく私服なのであろうスーツ姿はスーツ姿を見慣れていないレイアには堅気に見えない



???「琥神 彼どうだった?」


琥神「流石雅の孫って感じです 読書をしていても一切の隙がなかった………火牙刀(かがと)様から見てどうですか?」


別の場所で迎えの車に乗った琥神は「火牙刀」と呼んだ人と話をする


火牙刀「見た目は似ていないが中身は同じだ 雅の息子達もそうだが孫にも引き継がれるなんてな」


火牙刀は車を運転しながらそう言う


琥神「彼瑠伊とは血は繋がっていませんよ」


火牙刀「「瑠伊とは」だろ?聖君と繋がっている 少し意地が悪いんじゃないか?「白鴎家5代目当主 白鴎 琥神」?」


琥神「まさか本人も雅の孫だってことを知らないでしょうね それは人のことを言えませんよ?「初代白鴎家当主 白鴎 火牙刀」様?」


レイアが出会った「琥神」が白鴎家5代目当主だと知るのは家に着いてから♪



レイア「いやもう城じゃん」


迎え「ツッコミを入れたい気持ちもわかりますが 抑えてください」


レイアは車で到着したその場所が昔からあるであろう城でついツッコミを入れてしまう


迎え「雅様のお部屋まで案内します」


と言われてレイアは迎えの人に案内をしてもらうのだが………何分広くて迷いそう


迎え「雅様 お連れしました」


雅「入ってきていいよ」


迎え「どうぞ」


レイア 正座で確認とってふすま開けるとか………ここだけ時代戻ってね?


もうツッコミどころが満載過ぎて疲れてしまうレイア


雅「初めまして 君が「レイア」君だよね?華理(かりあ)から話は聞いてる」


レイア「華理?」


雅「カルスの事 カルスはここの身内なんだ38代目の当主の孫」


レイア 初耳なんだけど………


雅「カルスもカルスであまり本名を公に出さないからな 知らないのも無理はない」


レイア「なら「カルス」って名前は?」


雅「瑠伊(るい)がつけた名前 実家で顔を合わせたことはないけど名前が「華理」だから似た様な名前がいいってことで、「カルス」って名前を襖越しから渡したんだ」


レイア「へー………」


レイア 普通会って渡すもんじゃねぇのそれ………


レイア「「瑠伊」って?」


雅「スウェルタことレオンの本名 白鴎 瑠伊………俺の息子の息子で孫ってことだ」


レイア「つまりカルスとは身内同士?」


雅「簡単に言えば……な………だが少し複雑な関係でもあるんだ」


レイア 複雑な関係………


雅「瑠伊の親友でもあった拓翔(たくと)………ユレイトと名乗っていた青年もここの身内だ」


レイア「つまり身内同士で殺し合いを………?」


雅「言ってしまえばな だがユレイトとレオンは自分が身内だと知らなかった………瑠伊は俺の息子の末っ子の兄の瑠夏の息子………拓翔は俺の息子の末っ子の弟の拓海の2人いる息子の中の弟………かなり近い身内関係だった………拓也に聞けば拓翔がどれほど家族を愛していたのかを知れる……気がついていなかった恋心も含めてな」


レイア「でも普通知りますよね?自分達が身内だってこと………」


雅 普通はそう思うよな………


雅「両方共暗殺者として双方の親を殺した………しかも俺と会う前にな………だから知らなかったんだ だが何を思ったのか2人共急所は狙わず出血死をさせようとしたらしくて一命を取り留めた」


レイア「つまり生きていると?」


雅「今はアメリカに………」


???「雅 昼だぞ」


雅が話している最中に縁側の方から声が聞こえ話が中断


雅「もう?早くない?」


???「神我人様が「客人も来てるし早めにしよう」と言っていてな」


雅「分かりました レイア君 案内するよ」


雅の言葉にレイアは雅と一緒に大広間へ


レイア「あれ?」


レイア あの人………


琥神「さっきぶりだね レイア」


レイア「…………」


雅「5代目と知り合いなのか?」


レイア「5代目………?」


レイア 言われてみれば確かに風貌が普通の人と違う………


琥神「帰りの新幹線で相席したんだ 所でギルーヴァはどうしたんだ?」


雅「また道に迷ってるのか………ちょっと迎えに行ってきます」


神我人「気をつけてな」


雅は人を探しに行ってしまいレイアはその場に立ちすくみ、呆然としているところにたまたま「客人」として来ていた人の隣に促され座らされる


レイア「えっと………」


???「白鴎 柊矢(はくおう とうや)アメリカでの名前は「ジーファ・フォン・ルーグ」」


レイア「アルタイル2代目最高司令官ですか………」


ジーファ「よく知ってるね」


レイア 有名だしな………特徴的な人だし………


雅「いい加減道を覚えろギルーヴァ」


ギルーヴァ「同じような部屋が多すぎて無理」


雅「無理言うな」


時間にして2分で雅は帰ってきて所定の位置に座るが………


雅「柊矢」


ジーファ「(無視)」


雅「ジーファ こっち来い」


ジーファ「…………」


雅とジーファの場所が遠くて雅が唸る


雅「………高級和菓子」


ジーファ「………」


雅「と俺が作った和菓子」


ジーファ「隣失礼」


雅 最初から俺の和菓子食いたいならそう言ってくれよ………


客としてきた時に雅は全ての事情を説明したしギルーヴァのことも話したのだが、何分今まで雅の作った料理を食べて育ったので実家の料理は合わないらしい


神我人「全員揃ったと言いたいところだが1人いないな」


???「遅れました」


ジーファ「聖(あきら)遅かったな」


聖「仕事が立て込んでさ」


レイア あれ………?


雅の息子であろう聖が遅れて到着しレイアの隣の席に座ったのだが………微かに香る香水の匂いをレイアは知っている


レイア どこかで会ったことがあるのか………?


しかしジーファと似てかなり特徴的な聖と会った記憶はない


レイア 同じ香水を使っているだけか?でもここまでリラックスできるってことは何かしらあると思うんだけどな………


雅「全員揃ったし食べます?」


レイアが色々考えている間に食事が運ばれていて雅がそう言う


神我人「そうだな いただきます」


全員「いただきます」


レイア「いただきます………」


レイア 高級料理にしか見えないな………


ジーファ「茶碗蒸しとデザートは親父?」


雅「よくわかった」


ジーファ「そりゃ何年も食べてれば自然と」


レイア 親子の会話だな………


聖「君名前は?」


ふとレイアがジーファと雅の会話を羨ましがっていると聖が声をかけてきた………低いけれど確かに響く優しい音色を持つ聖は、レイアを見て訳あって別の人に育ててもらった息子を連想した……しかしその人達が死んだと聞かされ息子も殺されたと思い込んでいる


レイア「レイアです」


聖「海外国籍?」


レイア「いえ日本です 単に本名を隠すためにその名前を使ってます」


レイア 正直にいえば本名を知らないだけなんだけど………


聖「そう 俺別の名前で「アキリア」って名前」


レイア「「聖」だから「アキリア」?」


レイア 覚えやすい………


聖「それもあるよ 唯昔………訳あって息子を別の人に育ててもらってたんだ………その子の名前が陸叶(りくと)だった………本当はアキアだったけどその子を忘れないためにそれにした」


レイア「息子さんを………」


聖「育ててもらっていた人が死んで息子の遺体が見つからないってなって………どこか別の場所で死んでしまったのかもしれないって………生きているのかもしれないけれど」


そう聖は話しながら食を進める………悲しそうな顔をして………


レイア「もし生きていたら?」


聖「生きていたら?………そうだな………抱きしめたいよ………だいぶ年数が経ったからきっと成長しているだろうし………何があったのかや何故別の人に育ててもらったのか………全部話して……もう一度あの子の温もりに触れたい」


レイア「…………」


聖「息子を別の人に育ててもらってたやつが何言ってんだかって話だけどね」


そう聖は話して食事に専念する………レイアは唯胸の奥が疼くのを抑えるしかない………


レイア やっぱり知ってる………この人を………


でも何故知っているのかまでは分からない


聖 似ているな………目付きや目の色が………


聖はレイアが息子に似ているとは思っているがなにも気がついていない


雅 気がついてはいないが似ているとは思っているんだな………


そして雅も2人のことに気がついた


聖「レオン 1つ思ったことがあるんだけどさ」


雅「ん?」


聖「隠しナイフから血の匂いしてるよ」


雅「これは隠してないけど………マジで」


雅 あっ本当だ………いつ血がついたんだ?


聖に指摘されて雅はナイフを見てみると確かに血がついていた………なんで血がついているのかを思い出してみるとあることを思い出す


雅「そういえばこの前力を使って遊んでる時にいきなり携帯が鳴って驚いて、使ってた力が切れちゃってナイフを取ろうとした時に手を切ってたな」


聖「手入れしないと駄目になるよ」


雅「そうだな 気をつけるよ」


レイア と言うか持ってる本人が気が付かなかったのによく気がついたな………


レイア「鼻がいいんですね」


聖「親譲りだよ」


雅「その親が気がついてなかったけどな」


聖「力使って抑えてるからだよ」


雅 なんで知ってるんだ………


雅「なんでそういうことは気がつくんだ?」


聖「感覚 レオンが力を使って抑えてる時は抑えてる感覚がある」


ジーファ「まぁ確かに」


雅「え 何気がついてないの俺だけ?」


息子2人に言われて少しショックを受ける雅


レイア ずっと思ってたけどこの味付けどこかで食べたことがある気がするな………


食事中レイアは食べている物の味付けを知っているのだがどこで食べたかは分からない


神我人「雅 この味付け聖君か?」


雅「今日の食事は聖のチョイスですよ 昨日の夜まではここにいたので作ったと」


聖「今日は緊急で出ていたのでレシピを置いていったんです」


琥神「流石雅の息子 料理も美味いな」


レイア アキリアさんが作ったのか………


レイア「…………?」


ふとレイアはあるものを見て手を止めた………自分が持っているネックレスと同じものを聖は首に下げていた………ペアリングであるそれはレギスには「親御さんは持っていなかった」と言われていて………「もしかしたら育て親と言うだけで本当の親御さんがいるのかもしれない」と………


レイア もし母さんが言っていたことが本当ならアキリアさんが俺の本当の………


聖「レイア君?どうした?俺になにかついてる?」


レイア「え?あっすいません何でもないです」


ふとレイアの視線を感じたであろう聖が言うとレイアはそう言う


レイア 確かめたいけど………どう確かめたら……


レイアの中で父の存在を確かめたい気持ちが芽生えた………


〜その後〜


雅「聖 お前気がついただろ」


聖「………まさか会えるなんて思わなかった」


食後聖は雅の部屋に来ててレイアのことに気がついた………しかしいざ言うことは勇気がなくて出来ないのか少し顔が暗い


ジーファ「言わないのか?彼に」


聖「………俺は息子を別の人に育ててもらった人間だぞ 「父親」と呼ばれる資格はない」


ジーファ「あの時はそうするしか息子を生かす方法がなかったんだろ?」


聖「それでも俺は息子を手放した鬼だ」


聖は自分が息子を手放した日の事を嫌という程鮮明に覚えている………それこそ自分は死にかけている状態で預けた………自分の心に蓋をして……


レイア「雅さん」


雅「ん?レイア君?どうした?」


聖「…………」


レイア「アキリアさんいらっしゃいますか?」


聖 よりにもよってなんで俺………?


雅「入っておいで」


レイア「失礼します」


聖 逃げたい………


聖「どうしたの?」


レイア「これ アキリアさんのとペアのものですよね?」


聖「…………」


レイア「…………」


レイアは聖と面と向かって座りネックレスを見せる………リングの片側が凹(へこ)んでいるそのネックレス………聖の持つネックレスはリングの片側が出っ張っており………一旦ネックレスを外してそれを合わせてみる………すると綺麗に嵌(はま)りそれが「親子」の証となる………2つのネックレスを合わせるとわかる子と親の名前………「聖」と「陸叶」の文字………


レイア「…………」


聖「…………」


雅、ギルーヴァ「…………」


ジーファ「…………」


ネックレスを合わせて2人は無言になりその場にいた人が静かに見届ける


聖「………俺は理由があったとしても息子を手放した鬼だ」


レイア「何故………手放したんですか………」


聖「………君は26年前の「無差別殺人事件」を知ってる?」


今から26年前………聖と妻はまだ産まれたばかりのレイアと一緒に大型スーパーに来ていた………兄の誕生日プレゼントと息子の出産祝いで2人で買い物に来ていた時………その事件に巻き込まれ妻は即死し聖も息子を身を呈して護り瀕死の重傷を負った………生まれ持った力を酷使して何とか知り合いの夫妻に息子を託した………その後ジーファに保護され2年間も身動きが取れなかった……その際に息子を託した夫妻の死を告げられ息子の遺体が見つからないと言われ………生きているの思う反面で聖は己を責めた………息子を手放したこと………夫妻を巻き込んでしまったこと………全てを………


聖「今から26年前………俺と妻はまだ産まれたばかりの息子と一緒に大型スーパーに来ていた………兄の誕生日プレゼントと息子の出産祝いで2人で買い物に来ていた時………その事件に巻き込まれ妻は即死し俺も息子を身を呈して護り瀕死の重傷を負った………生まれ持った力を酷使して何とか知り合いの夫妻に息子を託した………その後ジーファ兄に保護され2年間も身動きが取れなかった……その際に息子を託した夫妻の死を告げられ息子の遺体が見つからないと言われたんだ」


レイア「…………」


聖「夫妻を巻き込み君を………手放した」


そう言って聖はレイアの頬に触れる………悲しげな顔をしながら聖は言う「父親と呼ばれる資格はない」と………


聖「…………」


レイア「…………」


聖「………俺仕事あるから帰る」


聖がそう言って自分の分のネックレスを外して首にかけて立ち上がる


レイア「っ!」


聖「…………(振り向いた)」


聖が襖を開き出ていこうとした瞬間レイアが聖の手に触れ止めた


レイア「………ん」


聖「…………」


レイア「父………さん………」


聖「…………」


レイアは目の前にいる聖を「父」と呼んだ………それこそ今にも泣き出しそうなそんな顔で………


レイア 本当の父だ………俺の………正真正銘本当の父親………


聖「…………ごめんな 陸叶」


レイア「え?」


ジーファ「………力を使ったな」


聖はレイアに対して力を使って消えレイアは手に残る温もりが少し冷たくて震えていたのを、レイア自身その理由がわかるからこそ動揺


レイア「俺の本当の父親は………」









聖こそがレイアの本当の父親なのだ………

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希望の光 ガルガード @Garugard

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