第68話 デート(2)
「だいじょぶですかあ?」
コースターを降りてよろける彼に言った。
「すっげえ。 ジェットコースターってこんなに進化してんだ・・」
「も~。 しっかりしてください。 ずうっとわーわー叫んでましたよ。」
夏希は彼の腕を思わず取った。
え・・。
ドキンとした。
腕が彼女の胸に触れ。
「わー!とかヤバイ!とか、意味不明なこと言ってたでしょ~。」
彼女は意識せずにまだ彼の腕を取っていた。
「覚えて、ないよ・・」
どぎまぎしてしまった。
ほんと。
この前もちょっとびっくりしたけど。
わりと、着やせするよな。
胸も
しっかりあるし。
そんな彼の妄想を振り払うように
「んで! 次はモモンガに行きたいんですけど!」
「モモンガ????」
にっこり笑う夏希の顔を見た。
立ち乗りコースター
『Momonga』
死ぬ・・。
それを降りてきた高宮は近くのベンチにドカっと座ってしまった。
「え~~? 気持ち悪くなっちゃいましたぁ?」
夏希は心配する。
「や、足が。 ガクガクしてる・・」
もう魂が抜けてしまった。
「でも、おもしろかったぁ。 前に友達と来たときはモモンガばっかり3回も乗っちゃって!」
「3回も・・」
若いなぁ・・。
悔しいけど思ってしまった。
「あ~、ほんとはバンジーもやりたいんですけど~。 無謀かな。」
「バンジー???」
びっくりした。
「あるんですよ! ここは。」
「そんなのシロウトがやってもいいのかよ・・。 おれはヤダ!」
激しく拒絶。
「けっこう、KKSですか?」
「KKS?」
「も~! 高所恐怖症のことですよ!」
夏希は笑って彼の背中を叩いた。
若い・・。
再びそれを実感した。
それでも
それなりに楽しかった。
昼間っから彼女と手をつないでベタベタと歩いたり。
「は~。 楽しかったぁ。 久々にコースター、乗り倒した~。」
夏希は満足そうに言う。
「ねえ、」
高宮は彼女を見た。
「え?」
「やりたいこと、3つあるって言ってたけど。 あと、なに?」
「え・・ああ・・」
夏希は気まずそうに曖昧に頷く。
「くっだらないんで・・」
急にテンションが下がった。
「くだらなくてもいいから、教えて。」
高宮は夏希がまた想像を絶することを考えていたのではないかと思い、ワクワクし始めた。
「1つは・・ジェットコースーター乗り倒しで・・」
「うん、」
「2つ目はラーメン博物館。」
「ラーメン博物館? 横浜の?」
「そう! 一回行ってみたくって。 ま・・でも、食べてばっかなのもどうかなあって思って、」
エヘヘと笑う。
「・・らしいね、」
高宮は苦笑いをした。
「んで、3つ目は?」
「えっと・・」
夏希は恥ずかしそうにうつむく。
「なに?」
「どこにも行かなくても。 ずっと一緒にいたいかな、とか・・」
消え入りそうな声でモジモジしはじめた。
「え・・」
「や、別に。 あたしも行きたいとことかなかったしって・・感じで。」
真っ赤になっている彼女を見て。
う・・
わ~~~~。
高宮は壁にもたれて額を押し当て動かなくなってしまった。
そして。
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