第67話 デート(1)
そして
日曜日。
天気は快晴。
高宮は夏希のマンションの前で所在無く待っていた。
「あ、すみませーん! 時間かかっちゃった、」
夏希が慌てて出てきた。
「あれ?」
高宮は気が抜けたように言う。
「え?」
「普通じゃない・・服。」
「え? ああ。 まあ・・結局ジーンズで。」
ストレートのヒップハンガーのジーンズに、おへそが見えそうなチビT。
めちゃくちゃ普通で
シンプルだった。
「今日、行くとこはやっぱりスカートじゃヤバイかなって。」
「で、どこに?」
夏希はふふっと笑って、
「遊園地!」
元気に言った。
「ゆうえんち?」
予想外だった。
「んで、どうしても乗りたいもんがあって~!」
嬉しそうに言う。
二人はよみうりランドまではるばるやって来た。
「・・これか、」
「はい!!」
夏希は元気に答えた。
バンデット・・。
高宮は見上げた。
「高宮さん、ひょっとしてジェットコースター、ダメですか?」
夏希は心配そうに言った。
「や・・ダメっていうか。 もう十数年くらい乗ってない感じが。 大人になってから乗った記憶ない、」
「あたし、もうジェットコースターが大好きで! ここは過激なのが3つもあるんですよお!!」
もうわくわくが止まらない。
「コドモだなあ・・」
思わず言ってしまった。
「え! 大人でも! ほらっ! あんなに並んでるし! オジサンとかも!」
と指をさし、
「行きましょうよ~。」
と彼の手を引っ張った。
夏希は並びながらも、乗っている人たちを見ているだけで興奮してきた。
「う~~~! 早く乗りたいっ!」
「そんなに好きなの?」
「最初はね、怖くてドキドキしたけど。 乗っちゃうともうやみつきになっちゃって!」
と言った後、この前春奈がそれをHになぞらえていたことを思い出し、ハッとしてうつむいた。
「なに?」
「い・・いえ・・」
別の意味でドキドキしてしまった。
行列の前が移動したので、高宮は彼女の背中に手をやって自然に押した。
それがもう
またドキドキしてしまい。
彼はそのまま夏希の肩に軽く手を回した。
なんか
こういうのがいいなあ。
青空の下で。
こうやって彼女と一緒に楽しくしゃべったり。
高宮はもう満足に浸っていた。
そして、いよいよ。
「なんか・・すごそうだなぁ・・」
二人はバンデットに乗り込む。
「あ~~~、心電図上がってきた!」
と夏希が言ったので、高宮はぷっと吹き出して、
「それを言うなら心拍数だろ、」
笑ってしまった。
「へ? そうでしたっけ?」
「もう、やめろ・・ここまできて・・」
笑いが止まらないうちにコースターはゆっくりと動き・・。
もうその後は。
頭が真っ白になってしまった。
夏希は
キャーキャー言って万歳までするほど興奮していた。
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