第19話 19雨降って地固まる
放課後、晶と一緒にお見舞いに来た高宮さんは、病室に入ってくるなり、頭を下げてきたんだ。
「ごめんなさい」
まさか、高宮さんからこんな言葉が聞けると、俺は思ってなかったから、数秒間ポカンとしてしまった。
「 夕陽さん? どうしたの?」
「 んにゃ! ごめんなさい。ちょっとボケっとしてました」
「 私が素直に謝ったからかしら?」
「 うん 」
高宮さんって、今までの言動から、絶対に自分の非を認めないタイプだと思ってから、意外なんだんだよな。
「 晶から言われた一言が効いたの。あと、お母さんとお父さん。それとお姉さんから、たっぷり叱られたの」
高宮さんは、ここに来る前、一度自宅へ寄ったらしい。その時、今回の事を話ししたら、家族全員から説教を食らったらしい。特にお母さんからは、キツイお灸をすえられたみたい。
「 自分勝手な事で人に危害を加えるなって、皆から言われたの」
「 そうなん」
家族全員からのお説教かあ。それはそれで、大変な気がするけど、両親から沢山罵られた事はあっても、俺の為を思って、説教された事すらない俺からすれば羨ましいかも。
『 なんで、あんたみたいな子が生まれのかしら? 目障りだから、私の前から消えてちょうだい』
『 そうじゃ。わしらの子は、朝陽と律だけでええんじゃ。じゃけど、お前を追い出したんじゃ、世間から何言われるか分からんけぇの。情けでこの家においといてもらっとん忘れなよ』
『 分かりました』
『 隆史! また、お前は、自分の子をそよに扱ってから。ミキちゃん!はよ、ゆうちゃん連れってって! 』
『 ゆうちゃん、おいで』
『 でも 』
『 ええから!』
「 夕陽さん?どうしたの?」
高宮さんの声で、はっとなる。昔の事を思い出して、ちょっとボーッとしてたよ。今は、昔の事は、いいや。それより。
「 なんでもない。ねぇ、さん付けやめてほしいんよ。名字以外で、さん付けられると、変な感じがするけ 」
「 なら、夕陽って呼んでいい? 私の事は、
「 うん、わかった。夏音 」
夏音と仲直りして、新しい友達が出来たけど、母さんが病室へ入って来て、二人の退室を促したため、お開きとなってしまった。でも夏音が、去り際に、『 また、学校でね 』と言ってくれたのは、嬉しかった。
ただその日の夜は、俺にとって思い出したくない事を、繰り返し夢で見たから、ちょっとあんまり寝た気がしなかった。
翌日、朝食を食べたあと、あまりにも眠いから、再びベッドに横になって寝てたんだ。
こんこんと、ノックする音で、目が覚めた。俺が、返事する前にそっとドアを開けて、二人の男女が入ってきた。
男性の方は、着てるスーツが、はち切れんばかりの筋肉質な肉体の持ち主だ。
女性は、長い黒髪を一つに結んで、グレーのパンツスーツを着た美人な人だ。目元が、ひなちゃんや茂兄さんに似てる。
「
「 なんでって。僕達の可愛いもう一人の娘に会いにきちゃいけない?」
「 えーと」
会いに来てくれたのは、嬉しいけど、この二人が来ると、色々大変なんだけど。
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