第17話 シルバーフォックス2

「どうだい? 助けて貰った恩もあるし、そのダガー無料で直してやるよ」

「あら? いいの?」

「いいよ、直させてくれたらあんたの頼み聞いてやるよ」


 向こうが先に頼み事してきたわけだし、こっちもそれ相応の条件を出そうとしたルーク。商売魂がこんな所で湧き出てきた。


「つまり、あれ? 私達の無実を晴らす変わりに、君が私のダガーを鍛え直してくれるて事かな?」

「そう言ったつもりだがな!」


 暫く考え込むタニア。この少年を信用していいものか? 腕は確かなのか? そして、折れた聖剣セラフィムに目を向ける。


「ねぇ? この剣もしかして、聖剣セラフィム?」

「そうですのぉーご主人様が折ったようなものですけどね!」


 まだ根に持っているのか? と、ルークの顔が呆れる。どこで聖剣セラフィムと見抜いたのか謎ではあるが。


「あれ? ちょっとハッタリ仕掛けてみたけど本物だったんだ」

「ハッタリかよ!」

「まぁいいわ...君にこのダガーを託すね」


 ダガーをルークに託し、街まで後すこし、街の灯りが見えてきた。


「俺はルークだ! こっちはロゼッタ。タニアさん、ダガーを直したら俺の部屋のベランダにそっと置いておくから、二日後に取りに来てくれ」

「そうね、身バレしちゃいけないからそうするわ!」


 交換条件が成立し、解散した一行。どうやってシルバーフォックスは無実だと証明するか? そこはロゼッタに任せる事にした。ルークよりロゼッタの方が話術に長けているから。


「じゃあねー」


 ウィンクと投げキッスを放ち、ルーク達の目の前から姿を消したタニア。まるで風の様に何事もなく去っていった。

 無事に帰ってきた。ロゼッタの両親には随分と泣かれては十分なくらいお礼を言われ、ルークとロゼッタを強く抱きしめていた。


「ルーク! 聖剣折れてるじゃねーか!」

「あぁ、悪い親父、聖剣を直すついでに仕事引き受けて来たから、直すまでは親父の仕事手伝えねー」

「まぁ、それはいいけどよー

 セラちゃんがボロボロじゃないの!」

「そうですのぉー! お父様、ご主人様ひどいんですのぉー」


 とことん根に持つセラ、早い所直してあげないと後々面倒になりそうだから、早く直してやろうと決意したルーク。

 翌朝、折れた聖剣の修理に取りかかる。


「ルークこれを使え!」


 手渡されたのはチタン合金。一体どうしたんだ? とルークは尋ねると冒険者から譲り受けたらしく、使い道に困っていたサックスが聖剣に使ったらどうだろうか? と結論を出した。


「これ、鉄より軽くないか?」

「そうなんだよ。だからな、聖剣様をアップグレードするには丁度良い」

「サンキュー! 有り難く使わせて貰うぜ!」


 静けさと共に、ハンマーの音が鳴り響く。タニアのダガーもチタン合金を使用してみようと考え出した。


「はぅあ! い、いけません...ご主人様ぁ...そ、そんなに激しくしては」

「だから...いちいち変な声を出すな! よし、完了」


 生まれ変わった聖剣セラフィム。ついでに、タニアのダガーも直して、聖剣とダガーが軽量と鋭さが増していた。ボロボロだったセラも、綺麗なワンピース姿に綺麗な羽が光を放ち生えている。


「ご主人様ぁ、お肌ピチピチですのぉー」

「良かったな」

「ルーク! 行くよ」


 ロゼッタがルークを呼びに来た。タニアとの約束通り、騎士団にシルバーフォックスは無実だと伝えに行く為、王城へと足を伸ばして行った。

















 




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