第11話

 カレンは姿見の前に立ち、着ていく服を選んでいた。いまは山吹色を基調としたウィンドウ・ペンのハーフパンツにピンクのシャツと白いカーディガンという、気温が微妙な季節でも体温調節がしやすい格好だった。

「すこし子供っぽい?」

 カレンは首をかしげながら、隣にミネコが歩いているときの自分を想像した。道行く人たちは必ず自分とミネコを比較するだろうから、ただでさえ幼く見られがちなのに、と開いたクローゼットに目を向けた。そこにはデニムのロングスカートがあったが、カレンにとってその服装は彼女っぽい、という思い込みがあり、ミネコと出かけるときに履くことは照れくさく思っていた。

「でも、釣り合わないよなぁ」

 カレンはクローゼットに手を伸ばしたり、すぐに引っ込めたりをくりかえした。

「デニムオンデニム。これは……あり、かな?」

 勇気を出したカレンはインディゴブルーのロングスカートを手に取り、白地に細いピンクのボーダーシャツにライトブルーのデニムジャケットを合わせた。デニムジャケットを着ると、途端にカレンの目を引いたものは白いマキシ丈のワンピースだったが、さすがにまだ季節じゃないかな、と手を止めた。服装はこれで大丈夫だろう、とカレンが安心して時計を見ると、そろそろ出発しないと約束の時間に駅前に行くことができない時刻に迫っていた。カレンは慌ててトートバッグを肩に掛け、自室から出て行った。


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