大牙山ら辺、昼

「なーんもねぇなー」

退屈そうに木の棒を振り回す少年、尻尾を引きずって歩いていた。


だが風が吹くと鼻を天に突き立てた

「……まさか?!潮の匂い?」


尻尾と耳を嬉しそうに立てる少年

「やっと嵐が来たああああ!!」


ガッツポーズを勢い良くしては

木の棒を投げ捨て


走った


潮の匂いを、嵐の匂いを辿りながら


狼達の将来村長、

別名大牙将軍となる筈だった少年は


村の、群の掟を破り

白水に対する自分の好奇心に従い


走った


狼の足で全力疾走した


白水と混じる海の元へ


嵐の海へ走った



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