大牙山、早朝

「んじゃ行ってくる、白水に入るなよ?」

40才位の男は尻尾を眠そうに引きずる息子に言う

「んー分かってるわがぁ~てる」

欠伸をしながら答えるのは10才位の男の子

「せめて欠伸を隠す努力しろ」

男は呆れてふさふさの尻尾を揺らす

「行ってらぁしゃ……ZZZ 」

男の子は父を押し出そうとするが立ったまま寝始めた様子

「……起きろバカ息子」

男は息子のモフモフな耳を引っ張る

「イダダダダ!!痛い痛い痛い!!」

目が覚めた様だが痛そうに耳を押さえる

「しっかりしろ、将来の村長様よぉ」

息子に呆れた視線を向ける男

「……あぁい」

男の子は不機嫌そうに耳を伏せる

「行ってくる、白水に入るなよ?」

男はもう一度息子に言い付け狩りに出かけた

「行ってらっしゃい、父さん」

既に遠くにいる父に小さく呟いた

「……って速すぎだろ!!」

男の子は遠くにいる父を見てツッコむ








が父の姿が見えなくなったとたん……







「……自由だあああ!!」

男の子はフサフサな尻尾を大きく振って叫んだ

「やっと父さん狩りに行ったぁぁ」

男の子は少しため息吐いた

「おお、坊ちゃんじゃねぇか」

家の前で酒を呑んでるおっさんが男の子に手を振る

「はよ、また狩りサボってんのおっさん?」

男の子は子供だと思えない冷たい目でおっさんを見る

「自分が朝弱い癖にオジサンには厳しいなぁ」

おっさんは白髪を交えた尻尾ゆらゆらさせる

「うるせーニートに言われたくねぇよ」

男の子は胡座をかいているニートを見下ろす

「おー怖。最近の子供は怖ぇなぁ」

笑いながらニートは酒を呑む

「はぁ程々にしとけよニート」

男の子は呆れながら歩き出した

「おーう坊ちゃんも"冒険"程々にしとけよー」

ニートは少し心配そうに手を振った






「さーて今日は何処に冒険に行こうか」

男の子は目を輝かして歩き出す



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