第32話 ちょっぴり危険な冒険の始まり
「よし、サーバル達を待つとして、詳しく教えてくれるかな?マルカ」
うん。そう言ってマルカは言葉を紡ぎ始めた。
「今日はキョウシュウの近くまで泳いでたの!そしたら、海の底におっきな船が沈んでるのを見たんだ!凄いでしょ?その後近づいて見たんだけど、なんかすっごい視線を感じて、気味が悪かったから逃げたの」
「なるほど、その場所ってもしかしてこの近くだったりしないかい?」
園長はマップをマルカ達に見せてあるポイントを指差す。その場所はキョウシュウの近く、そして侵入が禁じられている海域から少し遠くに位置する場所だ。このポイントで超巨大セルリアンを感知したのだ。
三人はその場所を見て、ナルカがそこだと思いますと、応えた。
「そっか、ありがとう。…恐らくこの超巨大セルリアンはみんなが見た沈没船の中に潜んでると思うんだ。隠れているのがバレるのが嫌だったから、みんなが近づいた時に睨みつけたんじゃないかな」
おー、なるほどー。そんな声が上がってくる中、ナルカは園長に質問をした。
「セルリアン達は……、そこまで賢かったでしょうか?」
そういえば、そうだったと園長は頷いた。そして同時に疑問を抱いた。
今までこちらの姿を認めればすぐに飛びついて来たあのセルリアンが、どうしてこの個体は隠れるなどという行動をしたのだろうか、と。
顔が険しくなってきたところでドタドタと大きな音が聞こえてきた。そして、扉はすぐに開かれ、そこから猫二人が飛び込んで来た。
「園長!なにかあったの!?」
「来てくれてありがとう、二人とも。とりあえずそこに座って休んで」
二人は息を乱したまま頷くと、マルカ達の向かいの椅子へと腰をかけた。
「さっきぶりだねサーバル!凄く疲れてるけど大丈夫?」
「うぅ、ちょっとダメ。息が整わないし汗が酷いし、夏はこういうところが辛いよ」
「はぁ、こんな暑い日には海にでも行きたいわね」
「泳げるわけじゃないけどこれから海に行かなければならないんだ。例のセルリアンの件でね。そこで二人には頼みがある。付いて来てくれるかい?」
「園長の頼みならいいよ!」
「そうね、それにあの慌てようじゃあ相当ヤバイセルリアンなんでしょ?協力しなきゃ」
「ありがとう。よし、これから向こうに行って何をするかを話すよ。よく聞いててね」
そして園長は話し始めた。
計画は、沈没船の場所までボートで行けば園長とマルカ、ナルカ、ドルカ達の三人と共にその中を調査、そして超巨大セルリアンを撃破する。その間船にトラブルがないようにサーバルとカラカルが残っておくというシンプルな内容だった。
話し終えて、サーバルは不満そうな、心配そうな顔をして園長に質問した。
「三人で大丈夫なの?超巨大セルリアンってすっごく大きいんでしょ?」
「大丈夫だよ。マルカは8回、ナルカは9回、ドルカは10回野生解放してるからね」
「そういう問題かな…」
「それに、実はもう二人来てもらうことになってるんだ。もうすぐかな…」
「え?誰なのそれは…」
と、ここまで言ったところでサーバルの耳は廊下を歩いてくる足音を聞いた。そして、扉が開かれるとそこには一人のフレンズが居た。一本の槍を持っている。そして、後に続くように入って来たフレンズにはとても大きな存在感を、包容力を感じた。
「イッカク!それにお母さんまで!」
「頼まれたし、パークを守らねばならないからな」
「私が居るからにはもう大丈夫よ。みんなで頑張ってセルリアンを倒しましょう!」
「これで大丈夫だね!」
「……しんぱいだけど、それ以上に私も船の中に行きたかったーっ!」
「またの機会を待ちなさいサーバル」
そして一行は少し大きめの船に乗り込み、海に出た。はぁ、とため息を吐いたサーバルに気づいたのはカラカルだけだった。そして、また遊びに付き合ってあげるわよとカラカルはサーバルを慰めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます