第21話 寝起きセーバル
朝が来る。
空は月の支配から外れ、新たな支配者、太陽が現れた。淡い、白に近いオレンジの色の太陽は、この地に暖かな光と灯りを与えた。
そして、夜行性の少女二人は目を覚ます。
「ん……むぅ…?」
サーバルは目を覚ますと座ってギューっと伸びをする。その後潤んだ目を拭くために手で目をこすった。
「セーバル!朝だよ!起きてー!」
そう呼びかけたがセーバルは起きる気配がなく、サーバルに寝転んだまま抱きついて来る。むにゃむにゃ、口の中でそうごにゃごにゃ何かを言い、頭を擦り付けて幸せそうな顔をする。
「セーバルー、起きてくれないと立てないよー」
サーバルは困った顔をしていると、遠くの草がガサリと鳴る音が聞こえた。すぐにサーバルの耳はその方向へ傾いて、顔もそちらへ向けて誰が来るのかを聞いて判断しようとする。そして、その足音は昔から何度も聞いた、とある親友のものだとわかる。
「あ、カラカルだ。なにしに来たんだろう?」
サーバルは尻尾をパタン、パタンと左右に揺らして考え事をする。すると、突然痛みが走った
「いたたた!?な、なに!?」
尻尾を見てみるとそこには反応したセーバルががぶりと尻尾を咥えて食べていた。
「痛いよセーバル!」
しかしスヤスヤと寝ているセーバルはその声が聞こえず、次はペロペロとフレンズになった今では滅多にしない毛づくろいまで始めてしまった。
「むにゃ…うにゃにゃ…」
本能を掻き立てられてしまったサーバルはそのままセーバルに飛び付いてペロペロと舐め始めてしまった。
セーバルのほっぺを舐めたサーバルに反撃するかのように舐め返すセーバル。繰り返すうちに時間は過ぎて…
「なにやってんのよあんた達は…」
「はっ!か、カラカル!違うのこれは…!」
「そんな猫みたいなことしちゃって、恥ずかしー」
「もー!違うんだってばー!」
恥ずかしくて顔を赤くして大声を出すサーバルにカラカルは悦を感じていた。そして、未だに尻尾を舐めているセーバルに気づいた。
「この子ったら…ほら、セーバル、起きなさい」
しかし、その声に反応せずにサーバルの尻尾を舐め続ける。またもやうずうずして来たサーバルは自分の手を舐めることでなんとか抑制している。たまににゃーと鳴いたりしながら
仕方がないのでカラカルはセーバルを揺すって起こそうとした。が、セーバルはなんと次はカラカルの手を舐め始めたのだ
「ひょわ!?ちょ、ちょっとやめなさいよそんなの…」
仲の良い猫に舐められたら舐め返す。
そんな本能を呼び醒ませられてしまったカラカルは目の色を変えてセーバルに毛づくろいする。サーバルはもう諦めてしまい、セーバルの毛づくろいを再開した。
こうして三匹の猫で毛づくろいし合っていたのだ。
「やってしまった…」
「えへへ、カラカルも道連れだよー!」
「うるさい!」
「良い目覚めだった」
ニコニコするサーバルとセーバルに恥ずかしくて怒鳴るカラカル。
そんな時、セーバルのお腹からぐう〜と音が鳴る。
「お腹へった、ジャパまん食べたい」
「そういえばお腹も減って来たわね…早く何か食べないと」
自分のお腹も鳴ってしまうと思った矢先、カラカルのお腹からも音が聞こえてきた。
「あ、カラカルお腹まで鳴らしちゃってー♪」
「屈辱よ…!」
完全にサーバルとセーバルのペースに乗せられてしまったカラカルであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます