第16話 おもいっきりおもしろく!
「よし、起動!」
「え?」
すると突然ミライさんの足元にあった四角い布のようなものが一気に膨らみだし、巨大なギンギツネの人形となった!
「!?」
後ずさりしそうになったミライさんにすかさずルルが走り寄り、自慢の速さと体力でミライさんの周りをひたすら回る!
「おりゃおりゃおりゃおりゃーっ!!!」
「い、いったいなにが…!?」
混乱状態に陥ったミライさんに更なる追い打ち!今度はいつの間にか音を立てずに背後ヘ回り込んだサーバルとカラカルがミライさんの肩を掴み
「「がおおおっ!!!」」
「ひょ、ひょえ〜〜!?!?」
大きな声を出して驚かせる!
そして走りこんで来たシロサイがそのまま廊下の壁と壁に槍を突き刺し、大車輪を披露する!!
「ふんっ!ふんっ!ふんっ!!!」
「あわわわわわ!!」
その迫力満点な大技にミライさんは声を出すことしかできない!
そして、部屋の奥に佇むトキが…!
「♪〜〜〜、♪〜〜!!!」
「あっ……」
「ぎにゃーーー!!!」
「あぁ!耳が壊れる!!!」
猫二人を巻き添えにして大音量ボイスを直送!!そして、最後に!
「がおー」
セーバルが上からぶら下がり、ミライさんに背中を向けて声をあげた!
「はわわわ…うっ」
ばたり!そのままミライさんと猫二人は倒れてしまった!
「あ、ちょっとやり過ぎちゃったかな?」
「大丈夫よ、ほら見て、サーバルとカラカルがクッションになったせいか、とてもニヤけてるわよ。」
「大丈夫そうだね!」
そんな会話をルルとギンギツネがして、ミライさんが目を覚ますまでの間プレゼントを渡すためのちょっとした準備を始めた。
「………あ、逆だった。」
セーバルはぶら下がっていた状態から地面に降りようとする最中に滑ってしまったのか、あっ。と呆気ない声を出してそのままゴツンと頭から落ち、ミライさんに向かって倒れた。
「ぐべぇ!?ふっふへへ、ふへへへへー」
しかし、顔にセーバルの尻尾、足元にサーバルとカラカルの柔らかい感触が当たっていたためか、ミライさんはとても幸せそうな顔をしていた。
「う、うぅ…とても、世にも恐ろしい歌を聞いた気がする…」
「奇遇ねサーバル…。私もそうよ」
「いたた、頭打っちゃった。けど、へーきー」
「あ、ガイドさん寝てるよ?どうしちゃったんだろ?」
「たぶんあの混沌とした状況のせいで気を失ったんだわ」
「シロサイ、壁、壊れてない?大丈夫?」
「ご安心を、セーバル様。見ての通り壁には一切傷がありませんわ。これが私のフレンズの力を使った曲芸ですわ」
「色々と無茶な話ねそれ」
ギンギツネが帽子を持ってツッコミを入れた。そして、帽子をサーバルに渡す。
「はい、サーバル。これはあなたが渡すべきだと思うわ」
「え!どうして?」
「あなたが最初にコレを買いに行こうと言ったのだし、この帽子を選んだのもあなた。羽根を付けようと考えたのもあなただからよ。」
「うにゃ…そこまで言われるとなんだか照れるなぁ」
「ほらサーバル。そろそろガイドさんが起きそうだし、早く立つわよ。」
カラカルがサーバルにそう催促すると、立ち上がる。そして、部屋の中で一行は並んだ。
「うぅぅ…なんだかとてもビックリしたような…。あれ?サーバルさんにみなさん?いったいどうしたのですか?れ
「えへへー、ガイドさん、こっちこっち!」
ミライさんはサーバルに誘われるがままに部屋の中へと入る。手を背後に回したサーバルを不思議に思って、問いかけた。
「どうしたんですか?サーバルさ…」
「はい!どーぞ!!!」
そして、ミライに帽子が突き出された。
その帽子は以前、ミライさんが被っていたものとはあまり変わりが無かったが、その羽根には美しい、緑と赤の羽根が付けられていた。
初めのうち、ポカンとしていたミライさんだったが、やがてその帽子とサーバル達の笑顔を見ているうちに、涙が目から溢れかえってサーバルに抱きついた。
「っ!ひっぐっ!みなさん!本当にありがとうございます!!一生の思い出です!!」
「言い過ぎだよガイドさん」
しばらく部屋にはミライさんの泣き声とサーバル達の黄色い笑い声が響き渡った。
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