第7話 昔話(中編)
「えーっと、トキさんの次は〜…」
「はいはーい!早速話していくねー!」
元気よく手を上げてルルが話し始める。
「あの時あたしは砂漠にいたんだけどね、その時の砂漠はセルリアンのせいで水不足になってたんだ。」
「それであたし先走っちゃって、誰にも頼りたくなかったんだ。そしたらセルリアンに囲まれちゃったの。」
「できるだけ岩の上に登って凌いでたけどもうそれも限界で、もうダメだと思った。そんな時に来たのがセーバルなんだ。」
ルルはセーバルの方を指差す。
そこには相変わらずサーバルと戯れているセーバルの姿があった。
いつの間にか見物客も集まっている。
「えぇい!この!」
「……隙ありっ!」
「ふにゃぁ!?う、うぅぅぅ!!!喰らえ!」
「ぁう、そこは…ダメ…!」
「あんた達周りを見たほうがいいわよ。」
「「え?」」
周りに集まっていた人たちに気づいたサーバルとセーバルは頰を赤く染めてカラカルに抱きついた。
「……え!?」
「カラカルぅー!恥ずかしいよー!」
「セーバル、とっても恥ずかしい。顔を隠させて」
「だ、だからって抱きつかないでよ!」
「……何やってるのかしら。」
「見ないほうがいいわよトキ。」
ギンギツネはそう言うと眼鏡をかけた。
「はわわ、昔話というわけにはいきそうにないですね…」
「そうだね…ごめんね。」
「いえいえ!また、教えてもらえばいいですし…!」
「それもそうだね!」
「ほーほー、アライさん見てよ。どんどん人が集まってきてるよ?」
「うーん、なんでこんなに集まってるのだ?」
「それはあの二人が戯れて騒いでたからさー」
「そういう事なのか、ならばこのアライさんにお任せなのだ!」
そう言うとアライさんは時計と紙を見ながらマイクに向かって話し始めた。
『えーっと、ご来店のお客様!現在三階にあるお店で新たなセールをやってるのだ!お得な買い物のチャンスなのだ!』
『もうお買い物の終わった人ももう一度寄ってみると安くなかったあの商品が安くなってるかもしれないのだ!』
そうすると人はぞろぞろと歩き出し、遂にこの場所から人は居なくなった。
「アライさんの作戦成功なのだ!」
「やー、すごいよアライさん!」
「あ、ありがとう。助かったわ…、ほら!もう誰も居ないんだから早く離れなさい!」
「うううう!でも見られたあああ!」
「そんな事知らないわよ!それにセーバルはもう離れてるわよ?」
「えっ!」
サーバルが後ろを見るとそこにはセーバルが勝ち誇った顔で立っていた。
「サーバル、子供っぽい。」
ガーン!そんな音が聞こえそうなくらいサーバルはショックを受けた。
「な、なにを!セーバルだってカラカルに抱きついたじゃん!」
「でもすぐに離れた」
「それは人が居なくなったからでしょー!」
「まぁまぁ、話はその辺までにして早く続き話そ!」
「はい!ぜひ聞きたいです!」
「それで、セーバルが来たってところまで話したっけ?それでね、セーバルが来て、あたしとっさに助けてって言ったんだ。」
「するとセーバル、突然セルリアンを攻撃し始めてね。あたしは助けを呼んでほしかったんだけど…」
あははと笑いながら話すルルは、ねー。とセーバルに話を振る。
セーバルはコクリと頷いた。
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