第6話 昔話(前編)

「実はあの映画って偶然撮れたものなんだ」


「ぐう、ぜんですか…?」


「うん!ほんとはセーバルはあの映画に出る予定は無かったんだ、けどとちゅうでおっきな船に乗ってきたから一緒に撮影することになったの」


「そうなんですか!?すごい話ですね…」


「でしょ?ほんと、セーバルとあの時一緒に映画撮影出来て本当に良かったよ〜」


サーバルはセーバルに抱きついて頭をこすりつけた。


「…サーバル、耳がジャマ。」


「もうすこしこうさせてー!」


「それならセーバルはこうする。」


するとセーバルはサーバルの尻尾の付け根に当たる場所を触った。


「ふにゃあああ!?そ、そこはダメだよ!」


「こんな風に、猫ってしっぽの付け根を触られると面白い反応するよ。キミも、する?」


「お、おもしろそうです!」


少女が目をキラキラ輝かせてサーバルに近づいていく。


「ちょっ、ちょっと待って、ここは本当にダメなんだってー!」


「えへへ、冗談ですよ。」


「え?あ、なんだ、それなら安心だね」


「それでもセーバルは続ける。」


「にゃあああ!やめ、やめてセーバル!もう頭擦り付けないからー!」


「たーのしー」


「まったくこの二人は…、映画の撮影の話はどこに行ったのかしら?」


「はいはーい!なんかじゃれ合い終わらなさそうだから私たちが代わりに説明するね!」


ルルが手を上げてそう言った。


「はい!教えてください!」


「よし、それじゃあセーバルとの出会いについて簡単にまとめるよ!」


「私は最初から居た訳じゃないから…、カラカル!説明お願い!」


「あっさりこっちに投げて来たわね。別に構わないけど」


「まず、セーバルって見ればわかると思うけどかなりサーバルと似てるのよね。」


少女はカラカルから視点を外し、戯れるサーバルとセーバルを見る。確かによく似ている。


「それでセーバルってかなり食い意地張ってて、初めて会った時私のジャパまんを強奪したのよ。」


「えええー!?強奪ですか!?」


「それでサーバルがすぐに来てね、私サーバルがやったと間違えちゃったのよ。」


「そ、それって喧嘩しちゃったんですか?」


「そうね、後でちゃんと謝ったけどまだちょっとあの子には引け目があるのよ、本人は全然気にしてないみたいだけど。」


「そうだったんですか…、セーバルさんともその時は仲良くなかったんですね。」


「そうね、それじゃあ次はトキに話してもらいましょうか。」


「分かったわ。あの時も私は歌を歌っていたわ。でも今と違うのは歌うとセルリアンが来るのよ。」


「セルリ、アン?詳しくは知らないです。」


「セルリアンは輝きというものを奪うの。それは思い出だったり、自信だったり、様々ね。」


「そ、そうなんですか…。そんなに危ないんですね…可愛い見た目してるのに、それで歌うとセルリアンが来ちゃうってマズくないですか!?」


「そうね。だから私も困ってたのだけどそこに来てくれたのがサーバル達だったのよ。彼女達のおかげで私は歌ってもセルリアンが来ないようになったわ。」


「わぁ…!やっぱりサーバルさんはとっても良い人なんですね!」


少女はサーバルの方を見ると、どうやら形勢は逆転しているようで、今度はセーバルが尻尾の付け根を弄られていた。


「あぅ、サーバルやめて…!」


「へへーん、もうやめないよーだ!」


(ふたりともかわいいわね、あの中に入ってふたりともめちゃくちゃにしてやりたいわ。)


楽しげなフレンズ達の昔話はまだまだ続く。

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