狂詩曲 第一幕
『ラプソディー』
愛について謳った曲だと感じてしまうのは、響が似ているからだろうか。
今日もヘッドフォンからは彼女の歌声が聴こえてくる。
先日、久しぶりに歌った…。
とても楽しくて、『もっと歌いたい』と思う事が出来た。
…あれ、最後に歌ったのっていつだったっけ……。
まだ、あの店で歌った余韻が残っている。
今の私なら…
『君の空はどんな色をしているの?
水色 藍色 青い空
雨雲 土砂降り 暗い空
夕焼け 朝焼け 茜空
様々な色に変わる空
様々な色に変わる白
2つは似ていて でも違う』
少しざわついた気配に目を開けると、ベンチを囲むように人が集まっていた。
その光景に言葉が詰まる。
以前、昔、どこかでこうして歌っていたら、世界が紅に染まってしまった事を思い出す。
あの時は…何も知らずに歌った私も悪かったのかもしれない。
人前で歌うのは…やっぱりまだ抵抗がある。
もしかしたら…今の歌にも何かあるかもしれない…。
また…あの時みたいに大事になってしまったらどうしよう。
私の体も心も不安が襲う。
ヘッドフォンからは声が聴こえない。
私は風に背中を押されながら劇場に駆けて行った。
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