蝉の鳴く、暑い季節。



私は恋をした。




クーラーの無い教室があまりに暑くて、何故かクーラーのある図書室に来ていた。

カウンターには図書委員と思しき生徒――リボンの色を見るにおそらく年下――がいた。

綺麗な色をした茶髪を肩の少し上ぐらいに切り揃え、前髪を横に流している。

率直に言うと可愛かった。

自分の顔が赤くなるのが分かる。

私はその女の子が好きなのだと気づいた。

そう気づいて、更に顔へと熱がよる。

耳まで真っ赤なんじゃないだろうか。

手元に鏡がないから分からないけど。

好きと、気づいて。

不思議と、自分がおかしいとは思わなかった。

明らかに一般的に見て、女の子が女の子に恋をする、というのがおかしいというのはわかっている。

でも、だって。

私は多分小さい頃から女の子が好きで慣れてしまっている。

誰にも言ったことは無いけど。

これでも一応生徒会長だから、そんなことをいったらみんなから軽蔑されるのかも知れない。

それがこわいから。

だから、誰にもいわずに、図書委員の女の子に恋をする――――――




8月 登校日

夏夜 若葉

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