隠居が通る18 正直達は下関に上陸して一路防府に向かったのです、長州藩の毛利輝元は関が原で西軍の大将となり、全国の大名に家康打倒の文に大将の署名をしていたが、吉川元春の


隠居が通る18


正直達は下関に上陸して一路防府に向かったのです、長州藩の毛利輝元は関が原で西軍の大将となり、全国の大名に家康打倒の文に大将の署名をしていたが、吉川元春の諌言により、

関が原では戦わず撤退した、しかし、西軍の領主に担がれていた為、120万石から36万石に減俸され、幕府は西国街道筋には本拠地を置く事を禁止したので、本拠地は日本海側の萩、

にあり、


防府は支藩になっていたのです、下関は当時北海道から日本海を通り、玄界灘から瀬戸内海に入り上方に達する、北前船の一大海運港に発展しており多くの豪商がいたのです、下関、

で逗留せず防府で一泊する事にしたのです、街道では特に襲って来る者もなく平穏な旅だったのです、程なく防府につき旅籠に馬を繋ぎ足をすすいで部屋に入ったのです、女中が、

お茶を持って来たので、


この辺の美味しい酒のつまみは何かと、聞くとふくと言う魚ですだ、肝に猛毒があるが料理人が裁けば問題ないですよ、白身の魚で美味しいですといい、居酒屋に行けば、色んな、

ふく料理がありますだと言うので、出かける事にして、いつものとおり、手分して見回りをする事にしたのです、町に出ると人通りも多くて大変賑わっており、歩いていると喧嘩、

喧嘩だと言う声がしたので、


行くと、5人対6人の遊び人風の男が殴りあっています、まつたく人の迷惑かえりみない連中だほうておこうと、見物していると、1人の男がここは鬼頭一家のシマだと言うともう1人、

の男がばか言えここは元々龍神一家のシマ内だ、とっとと帰れというと、最初に言った男が先生みんなたたんで下せえと言うと、1人の浪人が前に出て来て刀を抜いたのです、なんで、

用心棒を雇いやがったのかと言うと、


その浪人がまかせておけと、踏み込み上段から刀を振り下ろそうとした時に、正直が石を拾ってその浪人の手をめがけてピシーと石を投げると、ぐわ~と言って刀を落としたのです、

これこれ町人の喧嘩に刀を抜くとはと言うと、何だ手前は邪魔するのかと言うので、もう一つの石を相手の男の足に投げると、いて~と言ってひざまついたのです、これであいこ、

ださあ殴り合えと言うと、


くそ~覚えていろ浪人と一緒に逃げようとするので、刀を拾い忘れ物だとヒシ~と投げると浪人の又蔵に刺さったのでです、ひえ~と言って飛び上がり、刀をつかみ鞘に治めて逃げ、

さつたのです、見物人から拍手が上がったのです、野次馬がいなくなったので傍の居酒屋に入り酒とふく焼きを頼んだのです、女中が見ていたらしく、浪人さんは強いんだね、胸が、

すか~としたよと言うので、


酒とふく焼きをくれと言うと、ハイと言ってお銚子二本出したのです、おみなが酌をして乾杯すると、弱そうな用心棒でしたねと笑うと、顔は強そうであったなと酒を飲み干したの、

です、女中がふく焼きですよ、おまけしときましたと笑うので、これはすまんと言うと、湯のみにふくのヒレを入れて蓋をしたのです、こうするとヒレの香ばしい匂いが酒について、

美味しいよと言ったのです、


蝋燭を取り出し蓋を開けるとパッと青い火がついたのです、おみなの分もやってこれでいいだ、と言うので飲むと、香ばしい匂いがついて美味しいので、成るほどこれはうまいと言、

うと、二回やったらヒレを交換するだ、ヒレもおまけしといたよと言うので、それはすまんと言い、あの者達は仲がわるいのかと聞くと、最近鬼頭一家がのしてきて龍神一家は押さ、

れているだ、


まあどっちもやくざだからいい奴はいないよと笑ったのです、何を家業にしているのだと聞くと、鬼頭一家は女郎屋、料理屋で龍神一家はテキヤ、籠屋、料理屋だよ、なんでも龍神、

一家の熊蔵親分が病気らしくて、小頭の長吉さんが喧嘩が弱くて押されきみとの事だよ、鬼頭一家の駒蔵親分は役人とつるんで十手を預かっており、悪どい稼ぎをしていると言う噂、

だと言ったのです、


熊蔵だと言ったぞ、熊蔵が聞いたら怒るだろうと笑うと、病気の熊蔵親方に味方しますかねとおみなが言うので、弱いものの味方するだろうと言ったのです、さっき石が当たった男、

が店に入ってきて、先ほどはありがとござんした、龍神一家の長吉といいやすと言うので、足は大丈夫かと聞くと、見てご覧なせえ、ミミズばれになりやしたよと見せるのでまあ、

喧嘩両成敗だから仕方ないだろうと言うと、


へいと言って、帰ったらちゃんと謝って来いと怒られやして、ここはあっしの驕りでと言うので、そうか、それはすまんな、まあ上がれ、足は崩してもいいぞと言うと上がったので、

女中に長吉の驕りだそうだ、酒二本出してくれというと、女中が酒二本持って来て、喧嘩が弱いくせに向かって行くからいけないのよと言うと、おみつ、うるせえな喧嘩が弱いは、

余計だろうと言うと、


だつてみんなそう言っているよと言うので、あっちいてろと言うと、ハイ、ハイと席を離れたのです、お侍さんはいい腕をしてなさるねと酌をするので、それほどでもないよと言う、

と、あの用心棒は目を白黒していやしたよと酒を飲み干すので、相手は刀を持っているのだ、どんなに弱くてもケガしてはつまらぬだろうと言うと、どうですか、竜神一家の用心棒、

を引き受けてくれませんかと言うので、


旅の途中ゆえここには長くいないぞと言うと、明日1日でいいんですというので、なぜだと言うと、多分明日には今日の仕返しで出入りを仕掛けてくるはずです、旦那がいないと又、

あの浪人が出てきやすので何とか手を出させないで欲しいのです、かたは龍神一家の者でつけやすと言うので、親分がそう言っているのかと聞くと、ヘイ、と言うので、わかった、

喧嘩には手を出さんぞと言うと、


それで結構ですと言って2両出して用心棒代ですと渡すので、ほうこれは大金だなと言うと、しのぎは儲かっていやす、決して鬼頭一家みたいなあこぎな稼ぎはしておりやせん親分、

にきつくいわれておりやす、みかじめ料も貧乏な店からは頂いちゃおりやせんと言うので、おみつを呼びこの話しは本当かと聞くと、ハイ、本当です、この店もたいして払っていま、

せんよと言うので、


よし分かった引き受けてやろうと言うと、おみながいいんですかと言うので、これも人助けだと言い、それではじゃんじゃんやろう、おみつ、他に肴はないのかと聞くとふくちり、

ふく刺しがあるよと言うので、注文したのです、おみなが箸をつけて美味い、美味いと喜んでいたのです、暫くすると、おみなに満足したかと聞くと、夕餉はいりませぬと言う、

ったのです、


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