隠居が通る13 旅籠に戻ると熊蔵達も帰って来て、町ちにいたのはおよそ20名の侍だしたと言うので、そやつらも道場の近くに隠れているはずじあ、よし明日は一毛打尽だな、いつも


隠居が通る13


旅籠に戻ると熊蔵達も帰って来て、町ちにいたのはおよそ20名の侍だしたと言うので、そやつらも道場の近くに隠れているはずじあ、よし明日は一毛打尽だな、いつもの通り手に余れば、

切り捨ててもかまわんと言うと、承知とみんなが言ったのです、夕餉の膳を孫衛門と女中達が持って来たのを見ると、タイの刺身、カレイの刺身にアジの叩き、サバの味噌に高菜漬けに、

味噌汁です、


さつそく箸をつけてこの叩きは美味いと言うと、ここら辺の魚は潮の流れの速い、ところに住んでいますので身がしまっています、おかわりも沢山ありますのでどんどん食べてくざさい、

と言うので、それはあり難い、酒の魚には不自由しないなと言うと、先ほど武家がこれを殿様にと置いていきましたがと差し出すので、見ると果たし状です、来たかと拡げると山田信綱、

からである、


あした正午だそうだと言うと、それまでに準備して起きますと言うので、たのむぞ、今日は前祝いだと乾杯したのです、すみれが入って来たので、すみれも食べろと勧めると、ハイと言、

って酒を一口飲み、道場には15人程が詰めています、道場主は山浦玄才と言う男で、直新陰流の使い手だそうですと言うので、すみれに庭につぶて用の、石を置いておいてくれと言うと、

承知と言ったのです、


弥助が帰って来て、秋正様が軍勢1000を率いて夜明け前には陣を張るそうです、もう、張り切っておられましたと言うので、何と言っても初陣じあからのうと笑うと、付け家老の屋島様、

がわしも久方振りの出陣じあと、秋正様の前で槍をぶん回しておられましたと言うので、そうか、みんな張り切っておるようじあのう、武士はそうでなくてはならんと言うと、熊造が、


あしたは稲葉定通殿は、ひったまがりますよと言うと、何といい訳するのか楽しみじあのう、いっその事城を囲むかと言うと、みながお殿様ならやりかねませんねと言うので、みんなが、

大笑いしたのです、源八がそれがしも戦は久しぶりでごさいます、うでがなりますなあ、ほれこの通り、武者ぶるいしておりますと言うので、源八そなたは江戸までついて来いというと、


もちろんで御座います、殿の為に一働き致しますと言うので、頼りにしておるぞと言うと、ハイ、お任せくだされと嬉しそうに酒をのんだのです、翌日は正午に山浦の屋敷に行くと門人、

が道場に案内したので座り、果たし状を貰ったので参上したが、なぜわしと立ち会いたいのだと聞くと、正直殿の剣客としての腕はなり響いております、拙者も剣客のはしくれで御座れ、

ば一手ご教授いただきたいというので、


して獲物はと言うと、真剣にてお願いしたいと言うので、わかり申したならばと立ちあがると、山田が刀を抜いて正眼に構えたので、正直も刀を抜き峰に持ち帰ると、愚弄なさるのか、

と言うので、その構えでは大した腕ではないと思うたまでだ、と言うまもなく踏みこんで一気にふり降ろすと山田は右から刀を振りぬくとガキ~んと音がして刀と刀がぶつかった音がし、

て山田の刀か真ん中がポキリと折れて先が床に落ちたのです、


正直は上段から左肩めがけて振り下ろし肩先3寸でピタリと止めると、山田は左手を上げてまいったと言うので、刀割りの極意で御座るよと言うと、お見事で御座る到底それがしがかな、

う相手ではござらん、さあ首をはねなされと言って座ったので、それには及ばん、そなたの命はこの正直が預かっておくと言い、山浦玄才とやらかかって来るかというと、おのれ生き、

てこの道場を出すなと言うと、


門人15人が一斉に刀を抜いたので、正直が踏みこんで手をパシ~と打つと3人がぐえ~と言って刀を落としたので、一本を拾い山田に渡し、お前は消されるぞ、わしに味方するのだと言、

うと、承知と言うと刀を受け取ると、山浦が裏切るつもりかと言うと、一度死んで身なれば義理は果した、あとは正直殿の義理を果すのみと言って、切り込んでいったのです、あっと、

いう間に15人が転がってのです、


山浦に後はお前1人だと言うと、おのれと言って刀を抜き切りかかって来たので、横合いからみなが小太刀を目にも止らぬ速さで、振りぬくとぐえ~と言って、前え向きに倒れたのです、

見事じあと言う、大した腕ではありませんねと言うので、だから山田を雇つたのだと言い、刀が折ってしもうたので山浦の刀を使うが良いと言うと、ハイと言って山浦から大刀を抜き、

取ったのです、


さていくぞ鉄砲が狙っているので気つけろというて、死んでいない者にカツをいれると息を吹き返したので、立たせて歩けと言って門まで連れて行き、直ぐに伏せるのだと足で蹴飛ばす、

と門の前に出るとパン、パン、バンと銃声が聞こえて門人が転がったのです、次ぎにバン、バン、バンと銃声がすると塀の上から男が転がり落ちてきて、次々と転がって落ちて来たの、

です、


10人が転げ落ちると、正直が石を拾い塀の木の根元に投げつけてゴチン音がして男が転がったのです、おまえはが頭かというとハイと言うので、後は何処にいるのだと聞くと、直ぐ傍に、

います、直ぐ駆けつけるはずですというので、みんな降りてこいと言い門の横に隠れると、走る音がして門から20人が走って入って来たので、おう、奉行だな、ばかめわしが倒せると思、

うたのか、


ほれこの通りだ、道場の者も全員切り捨てた、命の惜しくないものからかかって来いと言うと、奉行が生きて城下を出すなと言うと一斉に刀を抜いたのです、両脇から熊造、黒木、みな、

弥助、すみれ、山田がおそいかかり、乱闘となったのです、正直はすみれの用意した石を片っ端か投げつけたのです、直ぐに撃滅したのです、奉行が刀を抜いてかかって来たので弥助が、

わき腹を払うと前にどたっと倒れたのです、


そのころ城では国境の関所ら早馬が来て、国境に中津藩の兵1000人が押し寄せてきました、関所に鉄砲を向けていますと言うと、稲葉定通が下田にどういう事だというと、国境は越えら、

れませんから大丈夫ですと言うと、首席家老の白根が中津藩は我々外様大名の監視役を幕府から命じられています、不穏な動きあれば直ちに軍勢を動かす事ができます、正直様暗殺に、

失敗すれば、


ここに雪崩れ込んできますぞ、だからそれがしは反対したので御座ると言うと、下田がもう片付いているころです、いかな何でも50人の手勢を送り込み鉄砲隊10人もおりますれば大丈夫、

でござると言ったのです、連絡が来て大変で御座いますわが方の手勢はことごとく、正直様達に討ち取られたよしに御座いますというと、定通が何と言う事だ下田どうするのだと聞くと、

こうなれば、


総かがりでかかるしか御座らぬと言うので、首席家老がわしは賛同しかねるというと、それがしの手勢300で討ち取りますると言い、失敗すれば腹を切りもうすと言って部屋を出て行った、

のです、定通が白根どうしょうと言うと、全て下田がやった事にするしかありのません、このまま、静観しましょうと言ったのです、下田は配下の者に三の丸に集まるように下知したの、

です、


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