隠居が通る8 桔梗屋が実は将軍様から使いが参りまして、飫肥スギを運ぶ便で書状を届けよと、お持ちになったのですと渡すので、受け取り、読むと隠居して故郷に帰りして楽しんで


隠居が通る8


桔梗屋が実は将軍様から使いが参りまして、飫肥スギを運ぶ便で書状を届けよと、お持ちになったのですと渡すので、受け取り、読むと隠居して故郷に帰りして楽しんでいる事と思う、

じやが、正直がいない江戸はつまらん、ひようたん屋も正直と行くから楽しかったと気ずいたのじあ、隠居の身なれば参勤交替はないが、そちには特別に参勤交替を命ずる、国元に、

一年いたら江戸に一年住む事、


なお三松藩は正直に預けるゆえ、どこぞに子を作ったら分家しても構わぬ、三松には城代が置いてあるゆえ直接の統治は必要ない、江戸三松藩屋敷に逗留すべし、なお登城には及ばぬ、

用あらば余から呼び出すゆえ登城すべしと書いてあったのです、みんなに呼んで聞かせると、みんなが考える事は同じにございますなあと大笑いしたのです、祐兵がならばそれがしが、

出府の時に一緒に参りましょうと言うので、


大名行列は勘弁してくだされ、気まま旅にしとう御座ると言うと、そうで御座ったな自由にしなされと祐兵が言ったのです、桔梗屋がようござんした、これで又、江戸も楽しゅうなり、

ますと酒を飲み干すと、忠長がわしと同じじあなあと喜んだのです、翌日は忠長と別れて桔梗屋をともなって、材木の積み出し状況を検分して風田に戻り、桔梗屋にここに今日は逗留、

するように言ったのです、


桔梗屋が用を済ませて夕刻には参りますというので城に戻ると、お絹とおみなが出迎えたので御座所に入り、茶を飲んで家光の手紙を見せると、まあ、隠居してもまだ使われるのです、

かと聞くので、そう見たいじあ、じやが度々戻るゆえ安心せいと言うと、みなが私はと言うのでわしと一緒に江戸と風田をいったり来たりじあと言うと、お絹がみな良かったではな、

いか、


大殿の事は頼みましたよと言うと、承知つかまつりました、大殿と旅ができるのですねと喜んでいたのです、熊造を呼んでくれと言うと、呼びに行き部屋に入って来たので事情を話す、

と、それは又難儀で御座いますなあと言うので、そなたも一緒じあ、奥方に叱られるかのおと言うと、何の殿が行かれるところにはついて行くのが仕事にござります、留守の間はお方、

様にお頼み申しますと言うとと、


お絹がお任せあれ、母上もお喜びになります、家にいるとうるさくてかなわんと、こぼしておられましたよと笑つたのです、夏が終りそろそろ出府するぞと言って桔梗屋の船に途中の、

宿場を書いた道中予定を家光に届けて、緊急に用向きが出きれば船にて急ぎ立ち返りますれば、お知らせくださいと書きおくったのです、馬に乗りみな、熊造、配下の黒木をつれて、

一路豊後に向かったのです、


祐兵、忠長も江戸に出府しているのでそのまま、通過して佐土原で宿を取る事にしたのです、旅籠にはいると足をすすぎ女中が部屋に案内したのです、風呂に入りると夕餉のしたくが、

してあるので4人で盃を重ねたのです、黒田は示現流の目録をもつているそうだがと聞くと、東郷重徳先生にまなびましたと言うので、そうか、しかしなるべく峰打ちにせよというと、

承知いたしておりますと言うと、


鉄砲の腕も中々に御座いますので、今回の供に加えたのでございます、鉄砲は馬の横腹に隠して御座いますと言ったのです、関所があると難儀ですがと言うので、心配いらんここに、

上様の道中見回り役のお墨付きがある、これを見せれば荷物を改める事はかなわん、わざわざ送ってくだされたのじあと言ったのです、手紙には道中の様子も見聞して話してくれ、

と書いてあった、


ゆるりと陸路を行こうと話したのです、飯を食ったら町を二手に分かれて検分しょう、居酒屋に入るのだ、さすれば城下の様子もわかるぞと言うと、承知致しましたと熊蔵言ったの、

です、しかし、みなの若侍姿はよく似合うのうと言うと、これで白粉と紅を塗れば役者で御座いますと黒木が言ったのです、ことによっては芸者に化けてもらうかも知れんぞという、

とフスマが開き、


熊造と黒木が刀に手をかけると、弥助の旅姿とすみれの鳥追いの姿です、それがし達もお供しております、芸者の役は私にお任せ下さいとすみれが言って、それではと障子を閉めたの、

です、黒木が何者ですかと聞くので、熊蔵が殿のお使いの草のものだ、いつも傍で警護しているのだと言ったのです、すみれもいい歳だ弥助と一緒にしてやるかと言うと熊造がそれは、

いいですねと言ったのです、


もう一度両名の者と言うと、再び障子が開いて隣の部屋に逗留していると言うので、路銀は大丈夫かと言うと、ご家老から頂いてまいりました、十分にありますると言うので、聞こえ、

たであろうが、そち達は夫婦になるのだ、これはわしの命令じあ、江戸にもどったら祝言を上げてやろう、その前に情は交わしても良いぞというと、ご命令なら従いますると言った、

のです、


ところで源蔵はどうしておると聞くと、正春様に手の者と使えておりますると言うので、そうか、それなら安心じあと言うと、それではと障子を閉めたのです、熊造が若様も老中に、

おなりになりご苦労されている事でしょうと言うと、そうじあなあ、幕閣なんぞは魑魅魍魎の世界だからなあ、じあがあ奴は肝が太いから大丈夫だろうと言うと、剣の腕も一刀流の、

目録持ちですし、中々の腕で御座りますと言うと、


黒木が分家なさる前ですが、道場で立ちおうた事がございます、それがし一の立ちは難なくかわされてしまいました、懐に飛び込まれたのはビックリしましたと言うので、あ奴はわし、

のお株を盗みおったのじあと笑ったのです、よき、上様の警護役になろうと言うと、源蔵の話しではお忍びではいつも一緒との事ですと熊造が言ったのです、さて出かけるとしょうと、

言い旅籠を出て町に出たのです、


中々の賑わいです、一件の居酒屋に入り酒と肴を注文したのです、みなが酌をして盃を重ねたのです、肴を見るとサバの塩焼きと高葉の漬物です、箸をつけてサバも中々美味いなと言、

うと、殿は本当に光り物好きなんですねとみなが笑ったのです、回りを見渡したが別段おかしなところはなく、職人達が話しをしながら飲んでいたのです、娘が傍に来て旅の方かねと、

聞くのでそうだがと言うと、


地鶏の串焼きがあるだが、いらんかねと聞くので、そうだな4本貰うかというと、ありがとう地鶏だから美味いよと言って、串焼き4本と頼んだのです、中々はやっているではないかと、

言うと、お方様の新しい御殿を作っていなさるので、大工が沢山城下にはいっているだと言うので、新しいお方様なのかと聞くと、お子が生まれるそうなので江戸から来なさったのだ、

そうだ、


話しでは正室のお方様には子がないので悋気されているそうで、こちらに来なさったということだよと言うので、そうか、大名になると大変だなと言ったのです、みなが私は殿が他の、

女子に子をお作りになっても悋気しませんよと言うので、いい、心かけだなそういう女子に天は子を授けるのだろうと笑うと、それでは旅の間は頑張りましょうと言ったのです、


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る