第2話 脱ニート予備軍

あっという間に土曜日になってしまった。

昨日までは何とも思わなかったが、いざ行くとなると緊張する。というかめんどくさい。

…まずい。行きたくなくなってきた。なんであの時行きますなんて返事をしてしまったんだ。

なんでせめて誰か誘わなかった。俺のバカ。


そんなことをウダウダと考えながら、なるべくゆっくり靴紐を結び、ドアを開けては閉めるのを2、3回繰り返したところで、ゴミ出しに来た母さんに見つかった。


「優斗!あんたまだここに居たの!?」


早く行きなさいよと言わんばかりに、ゴミ袋でケツを叩いてくる。地味に何かの角が当たって痛い。


「今行こうとしてたんだよ!」


慌ててドアを開けて飛び出すと、ゴミ攻撃は止んだ。


「気をつけて言って来るのよー。」


背中に飛んでくる弾んだ声に、俺は小学生か!と心の中で突っ込む。

まあ、起きるのが昼近く・食ったらゲーム三昧な俺が、今日は朝から社会貢献に出るんだ。母さんが嬉しそうなのは仕方がないのかもしれない。

仕方がないからたまには頑張ってくるか。


――8時30分。

いつもの登校よりも遅いくらいの時間なのに、太陽が随分と眩しいように感じた。

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