第3話 戒禁

 一通ひととおりの儀式ぎしきえ、天使エンジェル最後さいごおれげる。

戒禁かいごんは、探求たんきゅうすることで進化しんかをする。それを悪用あくようしてするではないぞ」

 その言葉ことばを、むねつよく、ふかく、きざんだ。

 そして、天使エンジェルから、おおきく、中央ちゅうおう赤色あかいろ宝石ほうせきのようにかがやかしいいしまれてあり、そのほんは、むらさきのようなあおっぽいいろをした魔導書グリモアールばれるほんもらった。

 それをギュッとにぎりしめた。

 おれは、れてここの生徒せいととなったのだ。

 天使エンジェルは、おれをずっとていた。

冬馬とうま、もうひとつわすれていたことがある」

「な、なに…?」

「その魔導書グリモアールには、われおもいつよくある、必要ひつようときぶといい、ただ、登録とうろくする必要ひつようがあるんだ」

 天使エンジェルとこれからはこの学園がくえんで、ともにあるための登録とうろく

 おれは、この天使エンジェルならと信用しんようしていたのかもしれない。

登録とうろく…?」

われ名前なまえめてほしいのだ」

 すこずかしいのか、おれではなく、よこほうらしている。

名前なまえか〜、そうだな、、」

たのむぞ」

 ここぞとばかりに、かがやかせている。

 すごい、かおのぞむかのように、まえのめりになり、天使エンジェルかおは、おれすうセンチという距離きょりだった。

「ち、ちかいよ」

「あ、すまぬ……」

「よし、おれ二人ふたりつく戒禁かいごん真実しんじつ、おまえ名前なまえは、まことでどうだ!」

 すごくってくれたのか、えみがこぼれてるのがつたわる。

 天使エンジェルはすごいこころはずんでるようにもえた。

 名前なまえまって、まことおれに、最後さいご確認かくにんをした。

戒禁かいごんひらくのには、それ相応そうおう代償だいしょうともなう。それでも、われともたたかえるか」

 おれは、不安ふあんももちろんあった。

 でも、理事長りじちょうられ、ここまできたのだから、やるほかない。

 今更いまさらすこともできない。

おれは、この学園がくえんのこと魔導書グリモアールのこと、それに……まこととか、戒禁かいごんとかまだなんにもわからないけど、絶対ぜったいやりげるから」

 おれはいつにもして強気つよきだった。

 まことはホッとしたかのように、おれて、しばらくして、姿すがたした。

 まことえると、まっていたもんはまたひらきはじめた。

 そこにっていたのは、理事長りじちょうだった。

 おれなにもなかったかのように、魔導書グリモアールにぎりしめて、理事長りじちょうもとあるきだす。

 理事長りじちょう無表情むひょうじょうのまま、ずっとっていた。

 おれ理事長りじちょうまえくと、ふたたもんまった。

「おかえりなさい」

 理事長りじちょうくちから、そんな言葉ことばがでてくるとはおもわなかった。

「ただいま」

魔導書グリモアール戒禁かいごん儀式ぎしきどうだったかしら?」

 理事長りじちょう純粋じゅんすいいてくる。

「まぁ、、、ぼちぼち…ですかね……」

 おれはとにかく、魔導書グリモアールとその戒禁かいごんを手に入れた。

 おれたちは、理事長室りじちょうしつに戻ると……

「お、お、おかえりなさいませ…」

 さっきおれのことを校舎こうしゃなか放置ほうちしたおんなだ。

「な、なんでおれ放置ほうちしたんだよ、おかげで三時間さんじかんあるいたんだぞ」

 おれは、いつにもして、歳上としうえだろうがおかまいなしにおこった。

 かおらす。

「なんでげたんだよ」

「あ、そういえばこの学園がくえん手続てつづわってなかったわ」

 そうってはぐらかすと、おれつかはしっていく。

 カランコロン

 なにかがポケットからちる。

「ま、ま、、って」

「なに?」

 おれりはらい、なに金属音きんぞくおんのしたほうあゆみよる。

 そこにちたのは、天使の指輪エンジェルリングだった。

「どうしたの?」

「なんでもないよ」

 理事長りじちょうが、ひそかにかえしてくれたのだろうか、そういうとおれは、それをポケットにしまい、そのおんなもともどる。

 そして、よこならびながら、おれはついていく。

「あ、あのそういえば名前なまえいてなかったよね?」

「あ、わたし名前なまえ?」

「うん……」

わたしは、校区内こうくない第五位だいごい竜胆綺凛りんどうきりんだよ」

 竜胆綺凛りんどうきりん綺麗きれい名前なまえだ。

 綺凛きりんさんは、笑顔えがおでこちらをのぞむように、微笑ほほえむ。

第五位だいごいってなんですか?」

 この学園がくえんには、順位ランクけられてるらしい。

「これは、学園がくえんもっとつよひとあたえられ、そのトップ十人じゅうにんを、十戒じっかいぶんだよ」

 そううが、実感じかんがわかない。

 だとしたら、ここにたとき、理事長りじちょう名前なまえぶだけでおびえてたのは、これと関係かんけいがあるのだろうか。

「なんでこの学園がくえん生徒せいとは、理事長りじちょうくだけで、けるんですか?」

 すると、綺凛きりんさんがビクッとしたのがかった。

 それでも冷静れいせいもどすかのように、いきむ。

たんつよいのよ。文姫あやめあたえられた戒禁かいごんそのものが、つよすぎる。それがゆえに、校区内こうくない第二位だいにい称号しょうごうつんだよ」

「ん?、、、、二位にい?」

 そんなに綺凛きりんさんがつよいと第五位だいごいひとですら、そうわしめるだけのちからがあるのに、第二位だいにい不思議ふしぎだった。

 第一位だいいちいはどれだけつよいのだろうか。

「それは……」



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