フランケンシュタインの誘惑
番組名:フランケンシュタインの誘惑
放送:特番2015年、レギュラー放送2016~2018年、再放送不定期
+E(Eテレ版)2018年~2019年
(スピンオフ20分番組2020年~)
こんな人にオススメ:
・科学(化学や工学など)のつかいかたに興味がある人
・ナレーションの吉川晃司氏のファン(声聞き放題に近いです)
・トークパートの武内陶子アナウンサーや頻繁に出てくる池内了氏のファン
こんな人にはお勧めしない:
・深刻な話や暗いトーンが好きじゃない人
・性善説がぶっ飛び過ぎて、ヤバい人や技術の使い方なんて信じられないという人
・理科なんか嫌いだ!寝る!な人
* * *
私が最初にこの番組と出会ったのは、他の番組前後に入っていた宣伝である。予告では、当時(たったの1、2年前のこと!)までに名前は聞いたことがあっても何なのか全くわからない物の名前を強調していた。
ナパームである。
* * *
皆さんは、『ナパーム』って知ってますか? どこで見聞きしましたか?
ナパーム弾は、簡単に言うと、調合した薬品によって火薬などにとろみや粘り気をつけ、消えにくく、広がりやすいという特性を持たせた爆弾です。
ナパームという名前は使われる薬品の名前から来ているという説があります。その薬品によって、たとえばより広範囲へ発射できる火炎放射器や、消えにくく日本だけでなくあちこちを火の海にした焼夷弾などが生まれました。
私は、驚きました。恐怖しました。このナパームという奴、やけどの人や火炎放射器使用中の映像も怖いですが、こいつ一番怖いのは、純粋に戦争で使うために開発されたということ。人を殺し、施設や兵器を効率よく焼き尽くすために考え出された、生粋の化学兵器なのです。
そんな、戦争のために作り出された技術や、現代にも残る大きな問題を抱えた技術、良い面が世界を助けているがその裏では恐ろしい兵器に変貌する技術など、いわば『科学の闇』を紹介する番組が、フランケンシュタインの誘惑です。
中には、技術自体よりも真っ黒な悩みや願望を抱えている人もいました。例えばアメリカのでっかいロケットで有名なフォン・ブラウンさん。
彼はとにかく、ロケットを月に飛ばすことが第一なので、存分に研究させてくれるし予算がいっぱい!とナチスドイツでミサイルづくりに励んだり、ヤバくなったらアメリカに逃げて、ナチス時代の成果をアピールしつつうまくポジションをもらって、自分のロケットで月へ行く宇宙船を打ち上げるというかたちで夢をかなえました。
これだけだと当時としてはありがちに見えるかもしれませんが彼は闇が深いのでロケットに興味のある人はぜひ。
それはさておき、個人的闇深いなー回は他に、
★実験内容も発案者もヤバい!心理学実験のモンスタースタディー回
★「だいたいこいつのせい」感のするナチスの優生学者回
★おそロシアだけじゃなかった!旧東ドイツによるドーピング回
あたりが背筋が寒くなりました。
私は、おそらく世の中の人々よりも、科学技術を信頼しているほうだと思います。宇宙開発の話とか好きですし、ニセ科学とか嫌いですし(オカルトや宗教でやれ。でなければ現状のシステムでまっとうな論文を出せ話はそれからだオラァ)、工学とか話は分からなくてもでかいスーパーコンピュータ本体さんとか謎のメカとか大好きですし。
でも、初期のジャン君と違って、私は科学が万能(未来にはいつかそうなる、も含む)だとか考えもしないし、いい事ばっかりみたいな話は幼いころから、どこか信じていなかったんですよね。
なぜなら、ロケットやシャトルの打ち上げにワクワクするよりも前に、夜空にミサイルが飛び交う湾岸戦争のニュース画面を覚えているから。そして、ジャン君が知っていったように、誰かがそうしようと思えば、その闇は生まれ続けるのだろうと、数年の間に知ってしまったからかもしれない。
超科学なんかなくても、人類は自らを滅ぼす闇の光を、あるいは人類を滅ぼす被造知性を、作りだせるすべを既に持っている。私はそう思っています。
おまけ:+Eの、ドクター・フランケンシュタインさんが好きだったので、新シリーズとかストック貯まったらまた+Eもやってください……
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