ふしぎの海のナディア 2
監督と声優と音楽担当を気にかけるオタ技能と新たな好みを獲得した幼い朝宮は、アニメ誌でエヴァンゲリオンに出会うまで、特定キャラクター以外には当該作品に何か特別な思い入れを発揮せずに過ごしていった。
エヴァと出会っても、のちに旧劇場版前後に夕方のニュースで騒がれ、監督の紹介や過去作品のVTRが流れるのを見るまで、庵野氏やナディアがファンの中で有名だという実感がなかった。
アニメ雑誌で新番組特集がなされても、私はTV版エヴァを見ることは出来なかった。
まず、当時私は天才てれびくんのほうを見ていてその直後であるエヴァの放送時間にはチャンネル主導権がなかった。水曜日だとミステリートラベラーが放送されていた。これを見て、総合にチャンネル変えて、天気予報になる前くらいにご飯だよーと母が家族を呼び、たいてい帰ってきていない親父以外は揃って食べる。チャンネル選びの主導権は完全に祖母である。関係ないが、95年~96年当時水曜日はミステリートラベラーとXファイルとボキャブラ天国を見て寝るという生活であった。
二つ目に、ずっと天てれを見ていたために、初めて主導権を取れたときにテレビ愛知は放送時間が違っているということを知らずにそのまま水曜の18時半からチャンネルを変えたので、放送されていなかった。何をやってたかは覚えがない。ローカルか別の時間の音楽とか夕方ニュース的番組をやってたと思われる。
そして三つ目、アニメージュで放送時間の違いを知ったのは1996年に入ってからである。テレ東系のテレビ愛知でのエヴァの放送時間は、なんと翌木曜日の、朝の7時35分からである。しかも一周遅れ。
当時の我が家にビデオデッキなんてなかった。どうしたかというと、録音してもらったのである。はじめは、「しずかにしてー」とかやる直接録音である。一回か二回。そして配線でつないで録音したのがやっと弐拾弐か弐拾参話。音だけ。さっぱりわかりませんよ。で、弐拾四話でなんか変な電波でも喰らったのか渚カヲルという名前だけ憶えて雑誌買いに走った。
春休み期間である弐拾五話と弐拾六話しか、本放送を見ることができていないのだ。
さて、で、皆様ご存じの通り、最終回の展開や夜中の再放送で爆発したエヴァブームで、アニメ雑誌には考察記事があふれた。謎本とかいっぱいあった。聖書関連のオカルトネタと組み合わさったやつもあった(兜木励悟氏の『エヴァンゲリオン研究序説』KKベストセラーズ 1997年と、1998年の雑誌ムーの特集が個人的に最高だと思ってる)。
読者コーナーもすごく充実していた。その中にナディアネタがあってアンビリカルケーブルにトラウマえぐられたのも今ではいい思い出だ。
その真っただ中に放り込まれて初めて、私は、本当にナディアという作品が愛されていたのだということをやっと実感した。たとえ周りには、放送時間のせいでエヴァの話する人が友人のクラスに二名いただけだとしても。
やはりというか、初期設定ではナディアと同一世界観上にあったこともあり、関連付けた考察がわんさかあった。大人になって、2012年の再放送や、それぞれエヴァの新劇場版の公開の時に、様々な考察を読んでいくと、めちゃくちゃ楽しかった。大学時代は、放映中のアニメの話や同じシリーズの過去作の話はできたが、エヴァもナディアも話はそれほど踏み込んではできていない。
だがね(名古屋弁のじゃないよ)、反則ですよ。だって再放送やってるときに、金曜ロードショーで新劇場版の『破』のあとに、『Q』の冒頭を流すじゃないですか。そんで、劇中に、ナディアの後半のBGM「バベルの光」のアレンジがばーんと流れるじゃないですか。ずるいですよあんなの。販促ですよ。これ変換ミスだけど合ってるからムカつく。
後にそのQが放送された時にはBGM「God's message」で変なものを受信して二次創作小説を書く合間に新劇場版の考察を見てて、ネーメズィスシステムっていう名称で鼻水吹いたり、ν(ニュー)ノーチラス号の曲のアレンジでヴンダーが発進するときに大塚明夫さんが声を当ててるモブキャラがしゃべると「ネモ船長!」って叫んだり(うるせえ)、したんですけどね。釣られてるよね、監督に。うん。いいのシン・ゴジラも色々かっこよかったし。
エヴァの話で大分埋まってしまったが、話しないわけにもいかないのでご了承ください。
*おまけ 2*
主題歌「ブルーウォーター」の編曲の人の名前が気になって、成人後に検索して出てきたのが、武富士のCMのアレ(「シンクロナイズド・ラブ」)である。私の祖母はあの曲が大好きだった。理由は、テンポが良くて聞いてると元気が出るから、だと言っていた。
*おまけ 2-2*
声優の今井麻美さんが声優を志した要因になったり(アイドルマスターのラジオ番組で中の人丸出しでブルーウォーター歌ってて私も笑い泣きしまくりでした)、ゲーム監督の小島秀夫さんが大塚さんと塩沢さんを縁の深い役でキャスティングしたりと、後に出会った様々な作品に影響を与えていることがよくある。素敵。
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