第5話 蕁麻疹
友人から聞いた話
友人は小さいころよく蕁麻疹になっていた。
風邪を引いて体力が落ちた後、極度に緊張した後、食べ物が合わない時などだ。
友人が風邪を引いてそれが悪化、さらに蕁麻疹まで出て最悪の状態で寝込んでいた時、夜中にうなされて目を覚ました。
横向きになっていたのだが、後ろから声が聞こえる。
ブツブツと小声で何かを言っている。
何を言っているのか分からないが、一人の部屋で自分以外の誰かがいるという事実が恐怖だった。
そのまま小声を聞いていたのだが、体のだるさ、眠気には勝てずいつしか眠ってしまっていた。
次の日、しばらく風呂に入れなかったということで、母親が濡れタオルで体を拭いてくれることになった。
服を脱いだ瞬間母親が悲鳴を上げた。
「背中、気持ち悪いわよ。やだこれ、ほんと?」
友人には見えないが、母親が言うには背中の蕁麻疹が丁度人の顔に見える様に発症しているらしい。
それを聞いた友人は昨日の夜の事を思い出して、立ち上がって壁に背中をこすりつけ始めた。
ゴシゴシとこすり続ける。
次第に背中が痛くなってきた。
母親がさすがにやり過ぎだと止めた。
擦り過ぎたせいか、背中から透明の汁が出てきていた。
その後数日間はズキズキ痛かったが喘息が完治するとともに蕁麻疹も治った。
友人はその時以外変な声は聴いていないという。
もしかしたら熱による幻聴だったのかもしれないな、と話していた。
ただ、数年前ひどい風邪を引いたとき久しぶりに蕁麻疹も発症したらしいのだが、
携帯のカメラで何とか背中を取ってみると蕁麻疹で出来た苦悶の表情があったらしい。
「蕁麻疹幽霊も物理的な痛みには弱かったんだな。」
と話していた。
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