第8話 シロ「この世界にラーメンはあるのか」


 旅に同行するのはレオンさんになりました、一応ガーネットさんはギルドマスターなので周りからの反対もあり、なしです。そりゃそうだ。

 本人は「おばあちゃんさっさと仕事やめてくるからね!! 先に行って待ってておくれ!」と鼻息荒く叫んでいたけれど。何を気に入ってもらえたのかはよくわからない。


 レオンさん一人で子ども二人の面倒をみれるのか? と私とクロは心配していたが、私達のギルドカードを発行した際にランクが判明した。


 ちなみに私とクロは名前や年齢、種族を書くことができないので、ガーネットさんに代筆を頼んだよ。あと本来登録時には魔法の水晶というものに触って犯罪の有無なんかを調べたりするらしいけど、私達は迷い人なのでやらなくてもいいということで無し。


「Gランクのカードは緑色の枠だ。ランクごとに色が変わる。ちなみにAランクは金色の枠だ、俺のカードがそうだな。カードを受け取ったら自分の血を一滴落して登録を完了させろ。失くしたら金貨一枚で再発行だ」


 さらりと自分がAランクと自慢してきたが、多分強さをアピールしといて安心させようという大人の余裕だろう。きっと、多分。

 子守の経験は無いが、腕っぷしはたつということだ。


 ガーネットさんも「レオンはAランク以上しか所属出来ないパーティーの一人でね。剣の腕はぴかいちだから安心しておくれ!」と言っていた。何でAランク以上のパーティーに所属しているのに単独行動を取っているんだろうかという謎はあるが、私達の知ったところじゃないので置いておこう。



 ということで、旅に必要なものを買いに行くことになった。


 はぐれないよう私とクロは手を繋いでいるように、何度もガーネットさんに言い含められたのだが、レオンさんは「見た目よりもしっかりしてると思ったら十二歳か、多少は楽だな」と言っていた。

 日本人は若く見られがちだけど、異世界でもやっぱりそうですか、おっけーわかった。


「旅に必要なものは俺が大体揃えておく。だが、服や防具、武器などは自分に合ったものを買え。金はギルドからの支給だ」 

「ギルドにあとから金返せとか言われませんか?」

「その心配はない。ギルドは迷い人と子どもには金を惜しまないからな。迷い人はこの世界にはない知識で繁栄をもたらす者が多く、ギルド本部があるヤマトノ国は子どもの保護と教育に積極的だ。本来、国とギルドが接点を持つのは禁じられているのだが、国王が元Sランク冒険者でな。ヤマトノ国だけは少々別だ」


 「その辺の知識は追々覚えていけばいい」と道を歩きながら説明してくれるレオンさん。

 多分ヤマトノ国王はチートだな、迷い人らしいし。でもどうやって王様になったんだろうか。婿入りでもしたんだろうか? 謎である、まぁ私達には関係ないか。



 石畳で出来た道に西洋的な建物が並んでいる。

 右をみても左をみてもやっぱり自分のいた世界のものではなく、溜息を吐きながらレオンさんの後ろについて行く私とクロ。


 普通は異世界の街をみたらテンションあがるだろって?

 そうだね、上げたいところだけど教師として一応経済的にも社会的にも安定していた人生を思うとなんともね。過去で人の生き死にをたくさん見てきたからこそ尚更だ。

 元の世界の現代というやつは生きにくく死ににくいが、一応平和で金があれば二十四時間好きなものが食べれて、娯楽も沢山。

 対して異世界は、まだ二日目ですが初日で人にポイ捨てされたわけですよ。このディクタチュール国が可笑しいだけなのかもしれないが。


 とはいえガーネットさんやレオンさんは良い人(仮)だ。信じてもいいかなーというレベル。まだ異世界二日目ですが高感度は結構高いので、ギルドは多少信用していいと思う。



 街を歩きながらレオンさんは水や食料を買う。見て覚えろということかな?

 私達も過去に旅をしたことがあるので野営の知識はある、ちょっとだけだけど。

 かといってそれが通用しないとは分かっているので、固定概念は捨ててレオンさんの買うものをよくみておく。今後二人で動くようになった時に困らない様にしなくては。


「荷物は俺のマジックバックにいれる。容量に制限があるがそれさえ注意すれば便利な鞄だ。身軽になるからな。だがマジックバックは高額だ、その辺には売っていないぞ」


 とのこと。ラノベ定番来ましたね! 欲しいなぁとは思うが早々ゲットはできなさそうなので大人しく自分の荷物は背負おうか。動きが鈍るので出来るだけ身軽にしたい。魔法に『空間魔法』があったから収納的な魔法が使えるかもしれない、あとで考えよう。


 買い物ついでにお金の使い方を教えて貰った。

 

 基本的に通貨はどの国でも同じで銭貨、銅貨、銀貨、金貨。

 銭貨が十枚になると銅貨一枚。銅貨が十枚になると銀貨一枚。銀貨が十枚になると金貨一枚。


 ってことは私達は銅貨五十枚に銀貨二十枚持ってるから、既に金貨二枚分はあるってことか。結構金持ちじゃねぇすか。びっくりだよ。日本円だとお昼代しかもってないというのに……あぁ、お昼にラーメン食べるつもりだったことを思い出した。


 この世界にラーメンはあるだろうか、過去の迷い人よ期待してるぞ!!

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