第一章 異世界召喚
第1話 鈴木「俺はモブです」
こんにちはこんばんは、俺の名前は
得意な科目は国語、好きなものはアニメに漫画にゲーム、あと小説と言えばわかるでしょう。俺は生粋のオタクです。
あ、外には出ないのでインドアオタクといいましょうか。ほら最近のオタクってゲーセンに一日籠ってたり、イベントに行ったりして結構アクティブな部類も多いじゃないですか。俺はどちらかというと一人でアニメ観るか、オフラインでレベル上げか、漫画や小説を読んでる方が楽しいのでインドアの中のインドア。
そんな俺が唯一外に出るのは学校くらいなものである。
俺の学校内でのカーストは、中の下くらいだろうか。所謂モブである。
極端に頭が悪い訳でもなく、顔も普通よりは良い方だろう。オタク趣味も暴露していない俺ならば、中の上くらい狙いたいモブなのだが、如何せん俺のクラスには『主人公』がいた。
サラサラの金髪に、青い目。凹凸のはっきりしている顔立ち。祖父がイギリス人という設定盛りだくさんの男の名前は『
見た目もさることながら、中身も正道を行く生粋の主人公だ。生徒会長とバスケ部の部長もやっている。
そんな一之宮の幼馴染『
千尋の友人である姉御肌で日に焼けた肌と白い歯が可愛らしい『
あとよく一緒にいる生徒会役員の『
おわかりいただけただろうか。
一之宮が自分の席に座り女子三人と話している様子を、俺は忘れていた古典の宿題を超特急で解きながら横目で見ていた。ハーレム羨ましいとか思ってないもんね!!
モブには永遠に関係のない青春だ。それよりもこの宿題を片づけねば、先生の小言を喰らってしまう。
国語の先生は今年きた人で、深山先生という。
前任の佐々木先生はお母さん先生という感じだったが、深山先生はサッパリとした性格の女の先生だ。
宿題を忘れた俺に深山先生は怒らなかった。
が、「あとで痛い目見るのは君だよーてきとーでもいいからがんばんなー」と笑顔でいう先生でもある。
一之宮ハーレムに居ないタイプの先生なので、これがラノベだったらハーレム入りしてしまうんだろうか、見たくない画面だな。
ちなみに主人公を持つクラスの担任は黒田、体育担当の男の先生だ。
黒田先生も体育教師にしてはアッサリとした性格で「てきとーにでもいい、やってる振りはしとけよー」という先生だ。
おっと噂をすれば、黒田先生が教室の扉を開けて「一之宮いるかー?」と一之宮を呼んでいる。その後ろには深山先生がいて「鈴木君、終わった?」と声をかけられた。
「すみません深山先生、もう少しかかります」
「いいよいいよ、宿題はやってこそ意味があるからね。宿題を放置しない自分を褒めなさいな」
「今日の放課後までなら待ってる」と笑う深山先生は神だろうか。今は昼休みなので放課後まで終わる気がしないが、忘れた俺が悪いので「はい!」と返事をする。
そんな俺と深山先生が話していると、一之宮と黒田先生の会話も聞こえてきた。
「一之宮、生徒会の体育祭企画書を放課後までに上げられるか?」
「はい、大丈夫です。先生方の参加はどうなりましたか?」
「職員会議で担任は強制、他の教師は参加自由で許可がおりたぞ」
「ありがとうございます。黒田先生には頑張ってもらいますよ」
「ははっ、まぁ頑張るよ」
「じゃあ頼む」と会話を終わらせた一之宮と黒田先生。体育祭に先生たちが参加だと?
数学の巨乳先生のジャージ姿を拝めるだと!? パッツンパッツンの胸元が!? とハッスルしかける。いかんいかん、ハウスハウス。
そうだ、落ち着く為に深山先生も参加するのか聞いてみよう。先生が運動できるのか知らないが、スラリとした体型なので元運動部っぽいし、いや逆に運動音痴でもいいな。
「深山先生も体育祭出るんですか?」
「オーバーキルだからでないよー」
「え?」
「ははっ、何でもないよ。それじゃ宿題頑張って」
「あ、授業中の内職はしないようにね」と釘を刺され言葉に詰まる。オーバーキルって、深山先生もゲームとかしてるんだろうかと、俺は首を傾げた。
先生二人が教室を出る。
瞬間、目の前が真っ白になった。
「え」と誰かが声を出すと、不明瞭だった目の前が明確になり、幾何学模様のようなものが光り輝く床に俺達は座り込んでいた。
目の前には黒い髪、黒い髭で豪奢な服装の男と俺達と同じ年齢くらいの美人な女の子。あとローブとか鎧を着こんだ人が複数。メイド服もいる。
右をみても左をみても黒板どころか使い慣れた机すらない。
上をみるとキラキラ輝くシャンデリア。
前をみれば一之宮と上瀬、畑中、滝下。あと何故か子どもが二人。
おわかりいただけただろうか。
所謂、巻き込まれ召喚である。
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