8#子猫と風船危機一髪
「あれ・・・子猫は?」
野良猫のアルは、目を離してる隙に見失った風船を付けた子猫を汲まなく虱潰しに探し回った。
「俺の落ち度だ・・・俺がもっと子猫を見守ってやれれば良かった!!
何だよ俺・・・!!情けねえ!!
チクショウ・・・何処だ!!子猫は何処だ!!」
野良猫のアルは広大な公園を、縦横無尽に駆け回った。
「子猫ぉぉぉぉぉぉぉぉーーーー!!何処だぁぁぁぁぁーーーーー!!何処に居るんだぁぁぁぁぁーーーーー!!」
ベンチの下から、
ゴミ箱の中、
草葉の中、
遊具の中、
砂場の中、
側溝の中、
トイレの中、
木々の上・・・
隅から隅まで、野良猫のアルは泥だらけ埃だらけになって行方不明になった子猫の姿を探し回った。
・・・子猫は尻尾の風船が目印なのに、何で見当たらないんだぁ。・・・?
「あっ!!」
野良猫のアルは、ひとつ見落としていた所があった。
「ドッグラン!!」
野良猫のアルにとって、ドッグランだけは脚を踏み入れたくない『敵地』だった。
アルにとって、とかく犬は猫を『敵』と見なして噛みついて攻撃してくる、厄介な奴だと思っていた。
しかし、子猫は『ここに絶対にいる』と確定した以上、そこの中に入らなければならない・・・そうと決めた。
わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!
ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!
ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!
きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!
「くそっ!!犬が怖くて猫やってられるかぁぁぁぁーーーーー!!!」
野良猫のアルはドッグランの柵をよじ登り、中に侵入した。
わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!
ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!
「ねえ・・・わんちゃん、わんちゃん遊ぼうよ・・・!!あれ?わんちゃん!!?」
きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!
ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!
「がっ!!」
野良猫のアルは、血の気が引いた。
子猫が今にも倒れそうな歩調で、吠えたてる飼い犬達に緊張しながらも、まじまじと興味を示していたのだ。
「おい、そこの猫、犬の聖地にはいってくるなよ。」
「にゃんこかわいいっ!!」
「ねえ、その風船。割っちゃっていい?僕、風船割るの大好きなんだけど?」
「にゃんちゃん、風船ちょうだい!!お願いっ!風船ちょうだい!!」
飼い犬達は、尻尾に風船を付けた子猫に向かってどんどん群がってきた。
「子猫!!危ないっ!!」
とっさにドッグランの真ん中で硬直する子猫を助けようと、野良猫のアルは飼い犬達の中へ潜っていった。
「何だよ!また猫入ってきたよ!!」
「ここは猫が来るとこじゃないぜ!!」
「早く帰った帰った!!」
「猫は煮干し喰ってりゃいいんだよ!!」
わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!わん!!
ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!
ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!ぼうっ!!
きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!
「ジェリー!猫に構うな!!」
「ナポツー!帰ってこい!!」
「サオラ!猫に引っ掛かれるぞ!!」
「カミュ!戻って!!」
其々の犬の飼い主が、子猫の首筋をくわえてドッグランから脱出しようとしている野良猫のアルを追いかける飼い犬に呼び掛けた。
バッ!!
野良猫のアルは柵をよじ登り、ぴょーん!!とドッグランから脱出した。
たっ!たっ!たっ!たっ!たっ!
「子猫!危ないじゃねーか!!犬に喰われて死にたいのかっ!!」
「だって・・・僕・・・もうじき死ぬもん・・・
わんちゃん、もっと遊びたかったなあ・・・」
「子猫・・・オメエ・・・」
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