あとがき
テレポートへの想い
超能力の中でも最も有名な能力の一つだと思いますが、私はテレポートについて一度たりとも腑に落ちたことがありません。
曰く、どこにでも飛べる。
曰く、念じただけで飛べる。
……何ですかそれ、全くイメージが湧かなくないですか?
もし私がテレポートを手に入れたとして、さあ飛ぼうかと考えた時、私は具体的に何をどうすればいいんですか?
そういえば昔、小学生の頃の話ですが、『ドラえもん』の『タケコプター』が「飛びたいと思っただけで飛べる」と説明されているのを見て、「怖すぎだろ」と思ったものでした。
だって、それって、たとえば一瞬でも「地面に激突しろ!」と念じてしまえば死ぬってことですよね。あるいは、誰かにそう言われた時も、聞いた言葉として認識しちゃいますよね。危なすぎる。
テレポートも同じです。
念じただけで発動するなんて、不安定にも程があるんです。
そんなもの要らねえよ。
……と、そんな不満を悶々と抱えながら、日々過ごしていたわけですが。
ある日、ふと思います。
――なら、どんな発動条件だったら、私でも安心して使えるのだろう?
本作『テレポーターの抹殺』は、そんな想像の産物であり、テレポートに対して私が出した答えでもあります。
詳しくは作中に(しかも冒頭から)くどいほど書いちゃってますが、アイデアを要約すると二つです。
一、テレポートという動作を、行き先を指定する『ポインタ』と、ポインタの指す場所へ移動する『アクション』の二つに分けたこと。
二、『アクション』として「左手を動かす」という、物理的な動作を採用したこと。
つまりはテレポートの発動手順を、『念じる』という実際問題手順でも何でもない曖昧なものから、明確にイメージを行える『手続き』へと変えてみました。
こうしたことで、テレポートに対する想像が一気に膨らむようになり、作品として形にしてみようと思えるくらいになりました。
作品の出来は未熟でお恥ずかしい限りですが、それでもこうして形に出来たことに自己満足しています。
今回はテレポートでしたが、そのうち他の能力についても手続き化してみたいですねー。
……と、ここまで手続き手続き言っちゃってますが、要するに私はデスノートが好きです。
あの作品は「ノートに名前を書く」という手続きが見事でした。あれがもし「念じるだけで殺せる」だったらつまらなかったはずです。
現在、超能力の扱いって後者みたいなものだと思うんです。
前者として扱った超能力を、そういうのが登場する物語をもっと読みたいなぁ。いつか読めるかなぁ。
あるいは作りたい。
……ただ、現状の自分では明らかに実力不足で、だからこそ本作も「チキンな主人公が、私利私欲のためだけに、先手必勝でターゲットを摘み取っていく」という、バトルとしては盛り上がりにかける展開になってしまいました。
本当は全世界を巻き込んだ頭脳戦心理戦肉弾戦の入り乱れたバトルものにしたかった。
とまあ、これが私の思いならぬ想いでございます。
あまりだらだら書いても仕方ないのでこの辺で。
本作を読んでいただき、本当にありがとうございました。
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