彼女の覚悟と背徳の味
想像していたよりずっとずっと甘いちーちゃんの唇に柔らかな肌。
濡れた瞳が綺麗でちーちゃんにえっちな息遣いに俺は自分の欲望を抑えることなんて出来なかった。
長く舌の絡まるキスをしてちーちゃんの顔を見る。
ちーちゃんは息も絶え絶えにいやらしいく俺を求めた。
「はッふぅ……小太郎さん……もっともっと……して欲しいなのです」
理性の切れる音がした気がした。
ちーちゃんの柔らかくて可愛い胸。
強く握ったら壊れてしまいそうなくらい華奢な腕や腰。
口から漏れるいやらしい吐息や声をもっと聞きたくなる衝動に駆られるのは男の本能なのか……。
甘い香りに誘われて禁断の果実に手を出す背徳感。
もっと欲しい。
もっと味わいたい。
己の欲望が赴くままちーちゃんの声も聞こえなくなって
周りの見え無くなるほど夢中になり、俺は貪るケモノのように求めた。
童貞の俺が見たことがない領域に手をかけようとした瞬間。
「あらあら。ふふふ……盛りのついたケモノの様に見境がないのですね佐藤小太郎 」
いきなりの声に俺もちーちゃんもビックリし
「ちッちょっと、ちーは用事ができたのであっちに行くなのです〜また時間になったら戻ってくるなのです 」
恥ずかしさのあまりちーちゃんは胸を隠しながら赤面して走って行ってしまった。
ちーちゃんが行ってしまった後、声のする方を見ると一瞬虫けらを見る様な目で俺を見下し俺と目が合うと途端に恍惚の表情を浮かべた白がいた。
今の状況を理解するのは容易いことだった。
白には未遂とは言えちーちゃんとの情事を重ねようとした事を見られてしまったのだ。
高鳴る心臓。重い空気。流れる沈黙。
どう言い訳するか、全部がうまくいく様に考えるが思いつかない。
ショコラちゃんが好きなのも、白とキスしたいのも、ちーちゃんと肌を重ねようとしたのも事実だった。
選ぶことから逃げた俺は、全てを手に入れたい。
何一つ努力も決断もしないまま失うことだけを恐れていた。
白はそんな俺の汚い心も見透かしている……。
俺が気まずい空気に耐えられなくて何か話そうと言葉を絞り出そうと口を開けた
「……あの……」「 佐藤小太郎 」
白の声は俺の声に被せる様に名前を呼び
「……間も無く麗しの乙女ショコラもこちらに到着いたします。それに間も無く最終裁判の被告も到着します。衣服の乱れは心の乱れと言いますし、敵にこちらの手の内を悟られてはなりません。ですから今から白と口付けして下さい 」
この流れどうしてなんだ……
そんな事を考える間も無く白は俺の目の前にきて唇を重ね出した。
長い長い口付け。
甘くゆっくり溶かされて行く様な感覚は、俺の脳を刺激し先ほどしたちーちゃんとのキスとはまた違う気持ち良さがあった。
罪悪感も背徳感も全て無くなって行く不思議な感覚。
何度も味わってしまうと戻れなくなる様なそんな甘美な快感に俺は虜になっていた。
「あぁ……その顔がたまらなくいいのです。佐藤小太郎……ふふふ…… 」
白がニヤリと笑うと後ろから
「……何を……また……」
俺が後ろを振り返ると腕組みしたショコラちゃんが立っていた。
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俺は慌てて言葉を探そうとするがいい言い訳が見つからない。
そんな俺を見て何を思ったのかショコラちゃんは俺に近づき抱きついてきた。
「……なにも……なにも言わなくて……いいの……今はただ……抱きしめて……」
俺はなにも言うことはできなかった。
今はただ彼女の望むまま抱きしめるのが精一杯だった。
「麗しの乙女ショコラ……気にすることはないのです。わたくしは佐藤小太郎が例え望んでも現世には住めぬ定めです。私の戯れに過ぎぬ行為で裁判を優位にさせるための作に過ぎません。ですので今佐藤小太郎の背中に突きつけているナイフはお納めください 」
「……はい」
ナイフがショコラちゃんの手から離れ床に落ちるとナイフは溶けた様に消えてった。
訳が分からず状況が飲み込めずにると
「佐藤小太郎……気にすることはないのです。人というものは愛情の深さ故に暴走し、愛憎に変わる生き物。貴方が作りし乙女も徐々に人間に近づいている証拠なのです。その胸の引っ掛かりも忘れなさい。それが弱い貴方の望みです 」
そう言い白は真っ白な粉を俺にふりかけた。
一瞬目の前が真っ暗になったが徐々に目を開けると笑顔のショコラちゃんと心配そうなちーちゃんがいた。
「小太郎さん!大丈夫なのです?シュガーキッチンのアイドルであるちーがわかるなのです?」
「……小太郎さん……裁判始まる……」
俺は今までなにをしていたのか思い出せないがどうも寝ていたらしい……?……。
重い体を起こし起きる。
「では、プレイヤーである佐藤小太郎が目を覚ましたので裁判を開始します。黒子被告人を前へ!!! 」
「は〜い!ハク姉!被告「秋姫苺」を連れて来ましたぁ」
目の前に連れてこられたのは第1案内人の「苺」だった。
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づづく
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