彼女の悲鳴と真実の序章
「では、プレイヤーである佐藤小太郎が目を覚ましたので裁判を開始します。黒子被告人を前へ!!! 」
「は〜い!ハク姉!被告「秋姫苺」を連れて来ましたぁ」
目の前に連れてこられたのは第1案内人の「苺」だった。
「なんで苺が……」
俺は戸惑いを隠せなかったが傍聴席にいるショコラちゃんとちーちゃんは驚いていないようだった。
「当然の報いなのです。今までちーやショコラちゃんをいじめてたなのです!苺は悪い子なのです 」
そう言いながらちーちゃんはほっぺたを膨らまして腕組みした。
その横でショコラちゃんは下を向きながらコクリと頷くだけだった。
連れてこられた苺は武とは違い、意識がしっかりしているようでいきなり連れてこられた事に動揺しているように見えた。
<i315298|24036>
「……小太郎しゃん……苺は、何にも悪い事してないのですぅ〜!信じてくだしゃいですぅ 」
そう必死に訴えかける苺の目には大粒の涙が浮かんでいた。
それを俺の横で見ていた白が
「被告人が勝手に発言するなど
みんな過剰に苺を責めているように俺は見えた。
その様子を見て俺の胸は苦しくなり締め付けられるような感覚になった。
大粒の涙を浮かべて必死に訴えかける苺を裁くなんて俺には出来ない。
何も言えずにいると
「そうなのです〜早く苺を追放するなのです!小太郎さんにはもうシュガーキッチンのアイドルであるちーがいるなのです。だから苺なんて必要ないなのです!ぷんぷん 」
「……私もいるから……苺ちゃんはいらない……」
「美味しい甘いケーキも時間が経ち、鮮度が落ち、賞味期限の切れたら、デザートは体に悪影響を及ぼし害を与えます。即刻処分するべきです。佐藤小太郎」
そう畳み掛けるように俺に決断を迫る。
「ちょっと!みんな目がマジ過ぎなんだけど。ストロベリーに対してちょっとキツくない⁈ 怖過ぎなんだけど 」
黒子のその発言がきっかけで俺も
「みんなちょっと苺に対してあたりがキツくないか? 苺は仲間なんだからそんないじめみたいなことしないでくれないか? ……頼む」と言えた。
男らしくないがこの重い空気にとてもじゃないが発言できそうになかったから黒子の発言はとてもありがたかった。
「む〜!! ちーは反対なのです。早くそのデカ乳だけが取り柄の意地悪女も成敗するなのです!ぷんぷん!」
「……おっぱいの大きさは……関係ない……気が……ボソッ 」
「とにかく!! ちーはぜ〜たい反対なのです!!小太郎さんは優しいから性悪苺も裁かないかも知れないなのです。だ . か . ら!ここで決めて始末した方がいいなのです。ぷんぷん 」
「……確かに……」
「お二人共お静かに!決めるのはプレイヤーである佐藤小太郎です。佐藤小太郎がいいと言うなら従うのが乙女の務め! お二人共、御自身の立場をわきまえなさい。」
そう言われさっきまでうるさく騒いでいたちーちゃんも黙った。
辺りが一瞬にして重い静寂に包まれた。
「やっと静かになりましたね。……ゴホン!では仕切り直して第二次裁判を開始します。今回の被告はこちらの世界の住人の為生身での参加になります。なのでリセットも魂のみではなく肉体ごとの完全消滅なりますので予めご了承ください。因みに消える時はこの世のものとは思えないくらい絶望が襲います。被告人の秋姫苺も十分に心してください 」
「小太郎しゃん!!! 苺は嫌ですぅ。こんなの…こんなの……怖いですぅ!助けてくださいですぅ 」
助けを求めて泣き叫ぶ苺。
これから自分がどうなるのか分からなく、不安で混乱しているようにも見えた。
苺の気持ちを考えると辛かった。
胸が締め付けられ、息も出来ない感覚になった。
こんな光景見たくない。
俺は見たくないんだ。
どうしてこんな事になったんだ?
………____苺の完全消滅
その言葉が脳裏に焼き付いて離れなかった。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます