惑わす唇と男の欲望

 


「無罪です。 森園武を現世に返します。 リセットはされません!現状維持のまま、以上第一次裁判終了!!!! 」



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 白のその掛け声で第一次裁判は終了した。





「これより15分間の休憩を挟み、第二次裁判……つまりは最終裁判を開始します。最終裁判は重く苦しいことが予想されます。プレイヤー佐藤小太郎は十分心のリフレッシュをして下さい 」




 ____……次が最終裁判



 次は誰が来るのか。


 どんな内容でどんな結末が待っているのか。



 そんな事を考えているとショコラちゃんが突然腕にしがみつき


「……小太郎さん……無事……終わりましたね!! 」


 満遍の笑みに甘える様な上目遣い。

 どこかいつものショコラちゃんとどこか違う気がするのは気のせいなのか?



「……小太郎さん……大好き…」



 より一層強く左腕にしがみついたショコラちゃんの胸の柔らかさが伝わって、潤んだ瞳の熱い視線に次の裁判の事より目の前の可愛いショコラちゃんの事でいっぱいになった。



 ショコラちゃんにドキドキしていると

「あぁ〜! なにちーの目の前でイチャイチャしてるなのです〜!!ショコラちゃんはその大きな乳を押し当てるのをやめるなのです!!!」



 そう言ってちーちゃんも右腕にしがみついてきた。



「ちーも小太郎さんと公衆の面前で本当はイチャイチャしたいなのです!でもシュガーキッチンの唯一無二の孤高のアイドルであるちーはみんなの恋人。みんなの奥さん。みんなのアイドルなのでそんなこと出来ないなのです。だ.か.ら.……暗がりの個室で二人で汗だくになりながら二人っきりのコンサートを開くなのです〜小太郎さん行きましょうなのです 」



「……だめ……小太郎さんは私とお殿様ごっこにお医者さんごっこするから……」



「なに言ってるなのです〜!! 小太郎さんはそんな ‘’ ごっこ ‘’ 遊びなんてしたくないなのです〜大人のねっとりした時間を今からちーと過ごすなのです。ショコラちゃんは腕から離れて小太郎さんから振られた事を自覚するなのです。 選ばれたのはちーなのです!! 」



「……そんな事ない……今小太郎さんの……大事な部分は……私で反応して……大きくなったんだから…」


 ショコラちゃんはそう言い、俺の大事な部分に触れる。



「うわわわわ〜こんな公衆の面前で触っちゃダメなのです! それにそんな、はしたない言葉乙女は言っちゃダメなのです〜」


 そう言い慌ててちーちゃんは離れていく。赤面した顔を隠しながら指の間からこちらを見ていた。


 遂にあのショコラちゃんが俺の大事な部分に触れてる。

 俺の童貞人生ではまずあり得ないであろう出来事。

 本来ならそのままえっちな事をしてレッツ脱童貞と行きたいところだが……ここは特別試練の場だし、時間ももうあまり無い。


 それに今すぐえっちという事よりさっきした白としたキスの方が忘れられない。

 白の唇の柔らかさ、甘い香り、全てにビビッとくる気持ち良さは童貞の俺にとってかなり強い刺激だった。

 あの唇が忘れられない。もう一度したい。そんな欲望が俺の中で芽生えていた。



 それに今日のショコラちゃんはなんだかいつもと違う気がする。

 そう……ああやって俺の腕にしがみついて上目遣いに俺を見つめる所。


 なんだかどこか苺に似ている気がする……。




 そんな事を考えていると


「小太郎さん……私を見て……ください!」

 恥ずかしそうに顔を真っ赤にして涙目で必死に俺を見るショコラちゃん。

 恥ずかしいのに俺を喜ばせたくて頑張っている様に見えた。


 出会ってすぐの時……ショコラちゃんの髪が余りのも綺麗で触りたくてその時触らせてくれた時もこんな顔していた。


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 なんだかさっきまでショコラちゃんがいつもと違うってどこか思っていた違和感は俺の勘違いだったんだなって思った。

 ショコラちゃんはいつも一生懸命俺のことが好きなだけ……。


 その気持ちに答えないと……いけないよな。

 また俺の悪い癖がでた。今俺は白も気になっている。

 いつもフラフラする俺の気持ちを見透かしてのこの行動なんだと俺は思った。



 でも俺は白ともう一度キスがしたい。

 だから俺は白にもちーちゃんにも聞かれない様にショコラちゃんも失わないように……


ずるい俺は全てがうまくいく様にショコラちゃんの耳元で囁く。


「ショコラちゃん……そんな大胆なことしなくても俺はショコラちゃんでいっぱいだから! 安心して。だからもうしなくていいよ?俺はショコラちゃんが大好きだから 」


 ショコラちゃんは嬉しそうに頷き

「……はい……小太郎さん……小太郎さんの言葉……信じてます……」

 そう言いながら微笑んだ。



 づづく

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