表の記憶と裏の出来事

 武が’‘悪意’‘を持って嘘をついて俺を「シュガープロジェクト」に誘導した……?


 とてもじゃないがそんな話信じられない。


 高校の頃からの親友。オタ友の武が俺に嘘をつくなんて考えられなかった。




「……何かの違いだ……武はそんな奴じゃない!! 現に武が嘘をついたなんて証拠も確証も事ないじゃないか!! 」


 そう俺は横にいる白に聞いた。



「いいえ。被告である森園武がプレイヤーである佐藤小太郎に対して嘘をつき、選択肢を意図的にのは間違いない事実です。」


「ただ、その‘’嘘‘’が何なのかはまだプレイヤーである、佐藤小太郎には明らかになっておりません。」



「じゃあ…その武の‘’嘘‘’ってどう暴くんだよ! こんなに聞いたって分かんないだろ?」


 俺が白に突っかかった様な言い方をすると白は一瞬不敵な笑みを浮かべ


「それを暴くのが検事であるわたくしの仕事です 」


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 そう言い口元に手を当て魂の抜けた傀儡の武に対して投げキッスをした。


 するとさっきまで俯いていた武は白の方を見つめだした。


「被告人森園武、あなたの最後の行いであなたの運命が決まります。包み隠さず3問の問いに簡潔に答えよ。良いですね? 」



「……はい。白様……」


「よろしい。では審議を始める!! 」



 そう言い再び胸元から一枚の紙を取り出し読み上げた。




「では問1! 被告人森園武。あなたは2月12日のあの日どんな目的で、佐藤小太郎と会ったのか簡潔に述べよ」




 ____……2月12日。




 あの日は久しぶり武からコミケのお誘いがあって俺は気分転換に行くことにした日だ。

 武と会って大好きな声優の姫野りんごさんのグッズや18禁同人誌を買いあさって二人で飯に行った凄く楽しかった日。

 ……なんで白はその事を聞くんだ?




 そう思っていると武は重い口を開いた。


「……あの日は小太郎にあの忌まわしいURLを渡しに行った。俺のにする為に…」




 武はあの日‘’最初から‘’俺に「シュガープロジェクト」のURLを渡す気だったのか?

 俺が武の身代わり?って何のことだ……。


 頭の中が混乱する。



「続いて問2!被告人森園武は「シュガープロジェクト」をプレイしたことがあるか?答えよ!! 」




 なんでそんなことも聞くんだ?

 武はやったことない。武のサバゲー仲間からURLを聞いたって言ってた……。



「ある」



 そう一言武は返した。



「続いて問3!!2月13日の森園武の行動を詳しく答えよ!!」



 なんで‘’2月13日‘’なんだ……?


 次々に明らかになる武の“嘘“に俺の頭は混乱していた。




「……2月13日。あの日俺は小太郎がちゃんとダウンロードするか心配で、小太郎の跡をつけた。某アニメーション学院から出て、電車で帰っている時に小太郎が泣いているのを見て少し胸が痛んだ。」


「コンビニで酒を買った小太郎を見てこれから部屋に帰ってアニメを見るんだなって思って、前々から仕掛けておいた監視カメラと盗聴器で部屋の中の状況を知り、ベストなタイミングでダウンロードする様にメッセージを送り急かした 」





 ____……2月13日


 あの日俺にとって今後が決まる運命の日だった。



「佐藤さぁ……お前、才能ないわ。役者に向いてない。俺も講師を何年もやってきたから分かる。お前の為にもクラスの為にもお前はやめた方がいい。」



 そう講師に言われ失意のどん底にいた俺は、電車で泣いた。確かに武の言うように家の近くのコンビニで酒を買って帰宅した。


 どん底の気分を変える為に撮り溜めしていたアニメを見ることにしてアニメを見ていると武からメッセージがきて俺はパソコンの電源を入れたんだった。。


「小太郎‼︎後5分だぞ‼︎スタンバイできてんのか?ちゃんとダウンロードしろよ‼︎‼︎」


 そう言われて俺はダウンロードしたんだ……。




 そんな事を考えてると

「以上!!検事であるわたくしからの審議は終了します!続きまして弁護人黒子の審議に移ります 」






 武は自分のにする為にわざわざ監視カメラと盗聴器をつけ、ずっと俺を監視していたのか?


 なんの目的があってそんな事を……。


 しかも「シュガープロジェクト」をプレイしていたなんて……。


 なのにURLとまで言って。



 白が暴き出したのは俺の知らない親友の裏の顔だった。



 続く。

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