魔性のルビーと癒しのサファイア
「……二択裁判を開始する!!! 黒子!被告を前へ!!」
そう言って目の前に連れてこられたのは「森園武」俺のオタ友の「武」だった。
「…なんで武が!?どうして!?……俺に嘘を……武がついたのか?なぁ!!……武ッ!!」
予想だにしていない人物が出てきて、内心動揺が隠しきれない。
虚で光もなく焦点も合わない目に、やつれた様に見えるその姿にいつもの武の元気な姿はない。
俺は武に近づき肩を揺さぶった。
「……本当に武なのか?……なぁ!武聞いてんのか……おい! 」
俺が問いかけても揺さぶってもなんの反応もしない。まるで魂が抜け落ちてしまった様な異様な姿に言葉を失った。
「
白はそう言いながらうっすら鼻で笑った。
「
「いいえ。違います。魂を現世に置いて来なければ外の世界の人間が「シュガープロジェクト」の中には入れないルールになっております。」
「そう〜!!だから私がこのミリオタの
「まぁ。そういう事です。わたくしがこの傀儡に話しかければ反応いたします。」
「尚プレイヤーさんに注意事項ですが今後、入ってきた被告への接触は禁止です。守られない時は特別試練は不合格になり、二度とチャレンジ出来ません。ので肝に命じて置いて下さい。」
俺はコクリと頷いた。
「今、お席を用意いたしますのでプレイヤーさんは黙って見ていてください。」
そう言い白は白い角砂糖を下に投げた。
すると大きな天秤の前にテレビでよく見る様な裁判所の椅子やテーブル、柵が出てきた。
「ではプレイヤーさんは審判の天秤から見て右側の検事席に。被告は真ん中の被告人席に。黒子はいつも通りに弁護人席に。麗しの乙女は柵の外で見ていて下さい。」
「……あの!!……重要アイテム……貰ってない……です」
ずっと俺の横で黙って真剣に様子を見ていたショコラちゃんが重い口を開いた。
「そういえば肝心の重要アイテムを渡していませんでしたね。失礼いたしました。では、プレイヤーさんに「慈愛のかけら」プレイヤーから寵愛を受ける乙女に「幸せのかけら」をお渡しします。」
「では、まず麗しの乙女。ショコラに渡すします。」
そう言い一粒の光る赤い角砂糖をショコラちゃんの手に乗せると赤い角砂糖は弾け綺麗な宝石になった。
「こちらがショコラさん専用の「幸せのかけらです」」
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赤く輝く綺麗なルビー。見つめれば見つめる程、ルビーの虜になり心を奪われてしまいそうになる。
そんな’‘魔力’‘の様なものを感じた。
「プレイヤーさん。余りそちらを見つめるのはおよしになった方が宜しいかと。昔の話ですが、あるプレイヤーさんが特別試練にお越しになった際。愛していた乙女が持っていたそのルビーに心を奪われて頭が狂い、「ルビーと一つになりたい」っといい自ら喉を掻き切り、自害した。そんなプレイヤーもいます。なのでプレイヤーさんが見つめる事はおススメしません。」
その一言でその場は、凍りつき俺はその不思議な魔力のあるルビーを見つめるのをやめた。
「……では続いてプレイヤーさん専用の「慈愛のかけら」です。 」
そう言い一粒の光る青い角砂糖を俺の手に乗せると青い角砂糖はショコラちゃんの時同様、弾け綺麗な宝石になった。
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力強く輝きを放ち、時折優しく冷静に輝くサファイア。見ていると温かな気持ちになる。
「プレイヤーさん。その宝石はプレイヤーさん本人の写しです。大事に持っていて下さい。けして
そう言われ一瞬動揺したが、俺はコクリと頷いた。
そして俺と白は検事席に座り。武の傀儡もフラフラな足取りではあるがなんとか真ん中の被告人席に座った。黒子も弁護人席に座り。ショコラちゃんも傍聴人席に座って準備は整った。
「では、所定の位置についたので二択裁判を開始する!!」
そう言い白は服の中から徐に一枚の紙を取り出しを読み上げた。
「被告森園武はプレイヤーである佐藤小太郎に対して、嘘をつき意図的にこの「シュガープロジェクト」を悪意を持ってダウンロードさせ、プレイヤーである佐藤小太郎の健全な選択肢を妨害した疑いがある。」
「よってこの者をリセットっと言いたいところだが、プレイヤーである佐藤小太郎はリセットをして欲しいと現在、求めていないので検事であるわたくしは不服ですが、現状維持を求めます。」
「尚、嘘が暴かれ次第、プレイヤーである佐藤小太郎の気持ちがリセットに傾いた場合、こちらはリセットを求めます!!以上が罪状提示。」
武が’‘悪意’‘を持って嘘をついて俺を「シュガープロジェクト」に誘導した……?
とても信じられない今にも出てしまいそうなその言葉を飲み込んだ。
俺は心から信じていた。あの武の笑顔を。
続く。
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