心の支配と狂気の記憶

俺はパソコンの前に戻り、ゲームを始めようと

「小太郎しゃん〜!!これどうですぅ〜?」と苺が元気よくドアを開けて部屋に入ってきた。


挿絵(By みてみん)


「小太郎しゃんに敬礼ですぅ〜。敬礼はかっこいいですぅ〜」と右手をしっかりおでこに当て、少し首を傾げながら楽しそうにニコニコ笑っていた。



 胸元のボタンが今にも取れてしまいそうなくらいぴっちりとした水色のシャツ。


 紺色のタイトなミニのスカートに同じ紺色の帽子をかぶり、ネクタイに関しては胸の谷間に埋もれていたがまさにミニスカポリスになっていた。



「小太郎しゃんミニスカポリス似合ってますですぅ〜? 小太郎しゃんのハートを逮捕するですぅ〜」


 苺は無邪気に定番のセリフを言いながら嬉しそうにぴょんぴょん跳ねていた。


 俺もそんな嬉しそうな苺を見て照れ臭そうに笑っているとテンションの高い苺は俺の両手を握り俯きながら


「そして〜ですぅ〜♪ 小太郎しゃんを物・理・的・に・も・逮・捕・して一生牢屋にぶち込んで歩けなくして、ずーっと苺の事だけ考えるように苺の監視下に置くですぅ〜」


 一瞬にしてその場が凍る。


 何を言ったのか頭の中は混乱状態になったが、次第に言葉の意味を理解した途端、冷たい空気に全く動けなくなる。



 握られた両手から痛いくらいの力が伝わる。



 そんな張り詰めた空気の中、苺は顔を上げて無邪気にニコニコ笑いながら俺の両手を離し飛び跳ねながらドアの近くに行き

「嘘ですぅ〜冗談ですぅ! 小太郎しゃんを牢屋なんかで飼い殺しになんてしないですぅ〜苺にはそんな残忍な事できないですぅ〜」


 強張った顔をした俺に無邪気に言う。


 俺も何か返さないとと思い「お‥おう」とだけ言った。


 すると苺はにっこり笑い「この服、おっぱいがきついから変えてくるですぅ〜小太郎しゃんは良い子で待ってるですぅ〜いい子じゃないと逮・捕・す・る・ですぅ〜」と言って部屋から出て行った。




 バタン!!!!!






 ドアが閉まったと同時に全身の力が抜け、緊張感から解放されたからなのか震えが止まらず俺はその場に座り込み失禁した。



 苺は冗談だと言っていたが一瞬にして凍りついた空気に男の俺の手首に残る赤黒い手跡。


 そして何より目だけ笑っていた苺の顔が俺の頭から離れなかった。


 あの言葉は本気なんだと思うと情けないが震えが止まらない。


 さっきの出来事のインパクトは今まで苺に対して抱いていた淡い気持ちが一瞬にして恐怖心に変わるほどだった。


 これからどうしょう‥そんな事も考えていたが苺がまた来ると言って出て行った言葉を思い出して急いで

「と‥とりあえず苺が来る前に汚れた服と床をかたずけてくれ!」


 そう言うと濡れた服も床も綺麗にした。


 いつ苺が来るか分からず部屋でそわそわしていると突然、ドアが開き

「小太郎しゃん〜検査の時間ですぅ〜」


 ナース服を着て左手に注射器を持った苺が来た。


挿絵(By みてみん)




 ピンクのナース服はとても苺に似合っていたしいつもなら白衣の天使に感じられるのだが今は凶器を持った悪魔の様に思えた。



 左手に持った注射器には濁った黄色い液体が入っていてそれがなんなのか気になりつつも聞くのが怖くて聞けなかった。


「小太郎しゃん〜?どうですぅ〜?苺のナース姿ですぅ〜」と聞いて来るが口元だけ笑っていて目が全然笑っていない。


 俺は勇気を振り絞り

「に‥似合ってるよ!!まっまさに白衣の天使‥だよ!! 」と言った。


 すると

「あれ〜?どうしたんですぅ〜?小太郎しゃん暑いですぅ〜?汗びっしょりじゃないですかですぅ〜」

 そう言いながら俺に近づいてきた。



 俺はとっさにパソコンの前から左のベットの上に逃げる様に移動し


「だ‥‥‥大丈夫!! 大丈夫だから気にしないでくれ‥!!」

 そう言ったが徐々に近づいてくる。


「この薬は汗に効くんですぅ〜何でも解決出来る魔・法・の・薬・ですぅ〜」と左手の注射器を見る。



 明らかにやばそうな薬に俺は

「ほっ本当に大丈夫だからそんな物騒なもんから手を離してくれないか?頼む!!お願いだ!! 」


 そう懇願するも苺は「気持ち良くなるですぅ〜魔・法・の・薬・ですぅ〜」と言って俺の話を聞いてない様だった。



 徐々に近づいて来る苺。俺に逃げ場はもう無い。



 そんな状況で

「待ったなのです!!♡」とちーちゃんの声が聞こえた。



 続く

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