チーズケーキと甘い罠

二人が大きくなることに反対して泣きだし嫌だと言って怒っていた苺も最後は許してくれた。

そんなヤキモチ焼きな苺を愛おしく感じ俺は、そっと苺を抱きしめて頭を撫でた。


苺の頭を撫でている時の俺の頭の中には苺とショコラちゃんで一杯だった。

俺が苺の事だけをずっと好きでいれたら‥‥そんな気持ちも頭に浮かぶ。

でも俺はショコラちゃんの事が好きで忘れられない。でもだからと言って苺の事が嫌いという訳でも無く、いつも全力で俺を好きでいてくれる苺に対して俺は前とは違った、異性として好きという気持ちも芽生えていた。正直、二股の様で二人に対して申し訳ないという気持ちはある。だが今まで恋愛経験の全くない俺にとってこんな可愛くて、ちょっとエッチな女の子が俺の事が好きだなんて現実世界ではあり得ない。二人に対しての罪悪感より二人から好かれる喜びの方が優っているし普段から何事も曖昧で優柔不断な人生を歩んできた俺には一人に絞る事なんて事出来ない。このまま二人に好きでいて貰いたいしこのままで居たい。その為に二人に悟られない方法は無いかと、そんなゲスい事をぼーっと苺の頭を撫でて考えていると

さっきまで苺と喧嘩していたちーちゃんが苺が泣いてるにも関わらず空気を読まずに

「やっと苺も観念したなのです!!早速、ちーを大きくしてくださいなのです〜!!」と言いってちーちゃんは俺が返事をする間も無く‘’本物のクリームチーズ‘’になってしまった。


俺はショコラちゃんから元の大きさに戻すつもりだった‥‥。

シュガーキッチンにある大きなかまどは1日一回しか使えないし人型の型も一つしかない。

本物の素材に変わってしまったまま置けないし‥な‥。


明日にはショコラちゃんを戻せるし仕方しいいかと決め、抱きしめていた苺に「苺‥ショコラちゃんと一緒に少し部屋に行っててくれるか?生地を作ったりしなきゃいけないんだ。」と言うと苺は「苺もお手伝いしたいですぅ〜!! 」と言うので俺もその手があったかと、俺も楽になるし苺にお手伝いを頼もうとした瞬間


「それはならぬぅ!!!!」という大きい声が上からした。

あまりの大きい声にびっくりした俺と苺は思わずその場にしゃがみ込んだ。そして声の主は続けて

「理想の乙女作りは、プレイヤーのみが出来る唯一無二の神聖な儀式!!それを乙女に成り立ての案内人とまだ乙女にもなれておらぬ案内人風情なんぞが手伝うなど言語道断!!案内人の消滅はもちろん、もし手伝えば即時ゲームオーバーになるが良いのかのぉ。」と言う声が聞こえ苺もショコラちゃんも青ざめた表情になりすぐさまその場に跪いた。

そして直ぐに強張った声で「シュガー源老師様!先程の苺の行いをどうかお許しくださいですぅ!ゲームオーバーだけは‥本当にゲームオーバーだけはお許しくださいですぅ!」と言いショコラちゃんも「源老師様‥どうか‥お慈悲を‥」必死に二人共泣きながら謝っていた。

俺はいつもと違う苺やショコラちゃんの言動や行動に、呆気にとられ呆然とその場で立ち尽くしていると「選ぶ事が出来るのはプレイヤー本人のみ!プレイヤーよ!選ぶがよい!!」と声がし二人共黙って俺を見詰めている‥二人共震えていた。


重い空気が流れる中、俺の答えはもちろん一つだけだった。

「‥もちろん俺の答えはゲームを続行したい!!みんなで今まで通りにだ!!だから俺一人で作る!!苺やショコラちゃんには手伝わせない!!約束する!!だから許してほしい‥」と言うと声の主は「良かろう!!先程の規定違反。許そう!但し、プレイヤーがちーを大きくする間、残った案内人は全員新たな試練を追加で受けてもらうぞぃ!!案内人は良いかのぉ?」と言われ二人共頷きすぐさま「はい」と言うとフォ〜アン〜という音がし二人共消えた。

「プレイヤーよ!!これで気兼ね無く理想の乙女を作るが良い!!案内人もかまどが終わり次第戻ってくるから安心するんだぞぃ!」と言って声は消えていった。



色々気になる点はあったのだが、それよりも二人の為にも早くちーちゃんを作らないと‥と言う気持ちが専攻して俺は元となる生地を作り始めた。


まずは”本物のクリームチーズ’‘になったちーちゃんを溶けるようにボールに入れ生地作りを始めた。

3回目の生地作りは今までよりメレンゲも泡立ち、いい生地が出来た。

残るは仕上げの5種類の粉のみ。


俺は真剣に考えたが苺とショコラちゃんの事で、頭がいっぱいでちーちゃんを恋愛対象としてみることも出来ない。

ちーちゃんには悪いが細かい粉の比率も今は考えられないのが俺の今の正直な気持ちだった。

ただ、理想では無いがちーちゃんが生活する上で必要な粉の配合にする事と、小さい時の性格を考えて

最終的に今回の粉の比率は全部20%にした。


体型は痩せすぎではなく巨乳でも無が貧乳でも無い肉付きで感情は喋るのが好きで歌うのが好きなちーちゃんの元の性格を考えて。

知能はずる賢そうなで世渡り上手そうなイメージがあったし官能や行動はみんなと一緒にした。



俺は急いで粉を図り、最初に作ったケーキの生地を混ぜ合わせ人型の型に入れてかまどに入れた。


不思議なかまどを見つめながら俺は二人の事とさっきの事を考えていた。

苺とショコラちゃんの怯え方といい、あの毎回上の方からする声の主はシュガー源老師という事だったり二人に罰を与えるかの様なタイミングでの追加の試練の事だったり‥短時間に色々起きすぎて頭の中が整理出来ずにいると、かまどの方から甘いく香ばしいチーズの香りがして、中から勢いよく茶色と淡い金色の二色の髪色で、ツインテール がより一層ロリっぽい見た目を際立せるがスタイルは良く胸もBカップくらいはありそうな可愛い女の子が歌いながら出て来てた。

そして俺が話しかける前に「再びシュガーキッチンに舞い降りた天使♡シュガーキッチンの唯一無二のアイドル♡殿方を誘惑し魅了する惑わしのチーズケーキこと!みんなのアイドル♡ちーちゃん参上なのです!!!小太郎さん!ただいまなのです♡」と言った。


相変わらずのちーちゃんの雰囲気に俺は今まで頭の中で整理が出来なくて妙に張り詰めていた気持ちの糸がプッンときれ、吹っ切れた気持ちになり思わず笑った。


続く

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