第280話  鍵たち



「クッ、それどころじゃねーだろうが! あの引きこもりの坊ちゃん、やられちまったぞ!それにいいのかよ! それは対SSランク能力者用に俺たちが開発した最終決戦用だろ」


 ドベルクが衝撃波に耐えながら焦るように、そして呆れるようにジュリアンに言う。


「ドベルクは分かってないなぁ。水重君は強いよ、あれだけじゃやられない。それに全力では撃たないから大丈夫。この至近距離で放ったから僕らも危ないからね」


 ジュリアンは相変わらず、にこやかではあるが、その目には得体のしれない光が宿る。


「まあ……四天寺は敷地ごと消えてもらおうかな。それぐらいはしておかないとね」


 ジュリアンは力を漲らせ、血管が浮き上がった手のひらの上に濃縮した妖霊力を出現させる。その力の塊は妖力と霊力が交じり合うように脈動し、まるで得体のしれない新しい生命が誕生したかのようだった。

 そしてその球体からは誰のものとも知れぬ、断末魔や恐怖のうめき声が漏れ出ている。


「フフフ。ロキアルム、伯爵たちへの手向(たむ)けだ。せめて地獄で四天寺と戯れているがいいよ。ああ、ナファスも一緒にね」


 一瞬だけジュリアンが疲労の色を見せた。が、すぐにいつものジュリアンに戻る。


「さあ、行くよ。ドベルク、オサリバン、それと水重君、聞こえているかな? 僕がこれを放ったと同時にマリノスのところへ跳ぶよ。もう迎えも来ているはずだからね」


 そう言うと、ジュリアンは両手を天に掲げ、その上に膨大な量の妖霊力の塊を浮き上がらせる。


「ぬううううううううああああ!」


 ジュリアンが声を腹の底から絞り出すような声を出した。


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更新が遅れてまして申し訳ありません。

しかも短くてすみません! あまりの忙しさに吐血する時間しかなかったんです言い訳

今日は報告があります。

「魔界帰りの劣等能力者2.神獣の契約者」の発売日が11月30日に決定しました!

HJ文庫のホームページ等でカバーイラストと嬌子たちのイラストを公開しています。

この子たちを世に出せて嬉しいです感涙



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